Solid State Logic(SSL)
Nucleus
きましたきました。AWSのセミナーの際にS木さんにお願いしてちょっと機能紹介してもらったコントローラー+インターフェイス SSL NUCLUES!コントロール性とDAWとの相性,Duende Native,そしてI/Oの音質など見ていきたいと思います。
Product Overview of Nucleus
前述のとおり,Nucleusはフィジカルコントローラーとしての側面とインターフェイスとしての側面を持っています。もちろんサイズや価格の面から見たと時にはフィジカルコントローラーとしての機能が大半を占めるのですが,インターフェイスとしても考えられていて,単に「入出力が行えます」というレベルのものではありません。
As Interface
比較的コンパクトに済みそうなのでI/Fとしての機能を見ていくことにします。
まず出力ですが,単純にLineアウトではなくモニターアウトとしての出力が用意されています。やはりフィジカルコントローラーに組み込まれているだけあって,ここからモニタースピーカーに接続できるように考えられています。もちろんモニターレベルノブがあります。DIMが無いのはちょっと残念ですが,意外となんとかなるのかもしれません。というのはおそらくDIMを付けると「Talkbackが欲しい」という声も出てくるのでしょう。そうなると次はCue out..というふうにだんだんCommunicationの機能が増えてきてしまうのだと思います。NucleusのターゲットとしてはプロジェクトスタジオやMixingが多いスタジオなど比較的パーソナルな制作環境向け、といって良いと思います。実際にMixの時にはDIMはあまり使用しないので特に不便は感じませんでした。ただ、monoスイッチは欲しかったかな。
ヘッドフォンも標準ステレオジャックで2つ出力が用意されています。ちょっとしたOverdubbingなどに重宝しそうです。
入力はEXTERNALと呼ばれるXLR端子がステレオで,iJackと呼ばれる端子が3.5mms ステレオジャックで用意されています。これはCDや外部ソースなどを使用できます。リファレンスCDをいちいちセッションに取り込む必要がありません。
切り替えは本体の"Σ"もしくは"EXT iJack"で切り替え可能です。"Σ"を押した場合にはサミングされ、"EXT iJack"を押した場合には切り替わります
さらに,ちょっとすごいですよ。いわゆるSUPERANALOGUE™ マイクプリアンプが2基搭載されています。もちろん+48VDC, PAD(-20dB), Hi-Z, Phase, 80Hz, Instert が搭載されています。HAの増幅率は+12dB ... +75dB,PAD時で-8dB ... +55dBと充分です。InsertもSend/Returnが 1/4"ながら用意されています。全く同機能では無いながらもXR621 X-Rack Mic Amp Moduleと同じものが2基搭載されているだけでもそこそこの値段になりますから,コンパクトで1台に色々入っているNucleusはお買い得と言えそうです。
このHAからの入力はいわゆる"0 Latency Monitoring"が可能なように[BLEND]ノブでDAWからのインプットとのバランスの変更が可能です。
BLENDノブの隣はHP,headphone出力のVolです。
出力に関してですが,Nulceus USB Control Panel
というアプリケーションが付属します。マトリクスミキサーのような構成になっており,4つの信号を制御可能です。制御可能と言っても音量の変化があるくらいなのでさほど大したことはできません。音量は-∞dBから+4dBほどまでステップで変更が可能です。ただ0dBのポイントがわかりづらいというか設定不可能(?)な様子。僕は+0.5dBあたりで使用しています。まぁこのへんはversion upで改善されるでしょうからさほど気にしていません。スピーカーに音量調節機能がないとか,あってもさほど落ちない,という時などには便利かと思います。ただ,Digital Domeinでの変更ですので僕はここを前述の設定(=Unity Gainに近い状態)にしてAtteuationをアナログ段でかけています。
As a Pysical Controller
さて,フィジコンとしての機能を見ていきましょう。NuclueusはプロトコルはHUIで動きます。また1台のNucluesでDAWを3台までコントロール可能です。さすがに同時には不可能ですが「スタジオで自分はPT9を使ってるけど,他のエンジニアははCubaseを,さらにもう一人はLogic Userだ」と言う場合には便利ですね。弊社録音スタジオ Annex RecのYAMAHA DM2000は4つまでコントロールが可能です。接続はEtherで接続し"iPMIDI"と呼ばれるソフトがホストコンピュターとNucleusを仲介します。HUIは1ポートで8ch コントロール可能ですから,Nucleusは最大6ポート割り当て可能です。
フィジコンにどこまでを求めるか、と言う部分ではいろいろ意見が分かれそうです。「FaderとPan位でいい」、と言う方から「いーやDAWがフルコントロールできるべきだ」と言う方まで。僕は...そうですね、まぁフルコントロールできるに越したことはありませんが、Plug-inなどはまちまちなのでなかなか難しいかな、と思っています。追求すると果てはAVID ICONになるでしょうから。
今回はPTの設定で試しましたが、まずPANやSENDのコントロールは当たり前にできます。AUTOMATIONに関することも切り替えが必要ながら、可能です。Nucleusには設定の為のアプリケーション(Nucleus Remote.app)が付属しますがそちらで、パネル上のボタン類の機能をアサイン可能です。たとえはシングルディスプレイの場合編集ウィンドウとミキサーウィンドウを切り替える必要があるかと思いますが、これをショートカットを覚えさせて、切り替えることができます。
左の画面で簡単に説明します。基本的に右側のV-POTとその上のボタンのファンクションの切り替えです。
USER1,USER2
V-POTの機能をカスタマイズできます。前述のとおりRemoteのソフトでカスタマイズして、ユーザーメモリーとして記憶させることが可能です。例えばですが、MixWindowの呼び出し、MixerWindowの呼び出し、Fader Groupの解除など、しかもreturnを押すことも覚えされることができるのでshift + command + W + returnで保存+session終了も可能です。DAWでショートカットとして存在しているものは簡単にこちらに登録可能ですし複合技も可能です。
余談ですが、僕は「session終了」(=shift + command + W)や「Peak Clear」(=option + C)「Group Enable/Disable」(=shift + command + G)などを割り当てています。Keyboardの方が早いと思っていたのですが、やはりマウスと同じで一度フィジコンを操作すると意外とKBに手を伸ばすのが億劫です。
ちなみにNucleus Remoteはマウス操作は覚えてくれません。なかった事になります
PRAM,EQ,REC,FLIP,DYN,AUTO
このセクションはDAWにより有効性が代わります。
- PARAM
- 対応DAW全てに有効です。PTの場合にはV-POTがプラグインのパラメーター変更に使用可能なモードに切り替わります。
- EQ
- Logicで有効です。選択されたチャンネルのEQのコントロールが可能です。
- REC
- REC Targetです。SELボタンと併用します。
- FLIP
- Fader Modeの切り替えです。上のボタンで選ばれた状態になります(PTの場合SEND A,...,E)。
- DYN
- 同じくLogicで有効です。選択されたチャンネルのDYNのコントロールが可能です。
- AUTO
- オートメーションのモードになります。
僕はPTで使用するので[EQ],[DYN]は使用できませんが、逆にこの二つによく使用しそうなshort cutをアサインしています。前述のGroupのアクティブ/非アクティブなどです。
SHIFT,OPT,CNTL,ALT
それぞれkeyboardの[shift],[option],[control],[Alt]に対応します。Macの場合はCNTL=[control],OPT=[command]です。Keyboardのボタンを押してもこちらのボタンは点灯します。このへんはUSB Keyのプロトコルなのでしょう。これを前述のNucleus Remortで変更することも可能です。
BANK/CHANNEL
BANKはFaderを8本ずつ、CHANNELは1つずつ切り替えます。
Transport
説明不要でしょう。ハイ。RTZやLOOP On/Offなども用意されており不便は感じません。
MODE
上下左右のボタンの切り替えです。
PTでは点灯時にはZoom Toolになります。左右で時間軸に沿った拡大/縮小(=[command]+[/[command]+]),上下はダイナミクス軸に沿った拡大/縮小(=[command]+[option]+[/[command]+[option]+])です。
Jog Wheel
PTの場合にはJOG/SHUTTLEとして利用可能です。ここもNUCLEUS Remoteで機能の書き換えが可能です。
さあ、如何でしょう。surfaceにそって駆け足で見てみましたが、前述のとおりHUI ProtocolなのでPlug-inのアサインや入出力の設定なども可能です。
Duende Native
さて,NucleusのもうひとつのSales Point Duende Native Essentials Bundleです。EQ & Dynamics Channel Strip と Stereo Bus Compressorが利用可能になります。Codemeterというプロテクションデバイスを使用すれば,Nucleusがなくても使用可能なようです。またSSLの本国では2011/4/23現在,X-VerbもDL購入可能です。この場合もCodemeterでオーソライズできます。実際にやってみましたが,簡単にアクティベーション出来ました。
Duende NativeはVST Plug-inですが、PT上ではWrapped Plyug-inとしてRTASで使用可能です。
パッケージで販売されいますがCodemeterでオーソライズさせておけば複数のPCをにインストールして使用することが可能です(=Codemeterオーソライズ)。さらにSSL UKから単体でDLでライセンスを取得することも可能ですので便利です。iLokとほとんど同じです。Duende Nativeインストーラーは普通にDL可能ですが、アクティベーションにはCodemeterかライセンスが必要です。ライセンスでオーソライズした場合(=ソフトウェアオーソライズ)は基本的に1台のPCのみでの使用となります。
デモ版のDLも可能です。「Duende Nativeだけちょっと試してみたいなぁ」と言う方は試してみてください。
EQ & Dynamics Channel Strip
WavesやUAD-2などと比べてみるのが面白いのだと思いますが,今現在それができないのでご容赦ください。PT9のAudio track64chにインサートして見ましたが,思ったほどCPUは消費しません。バッファーは最大にしてありますから当然といえば当然かも知れません。
各つまみの上にポインタを持って行ってクリックすると値が表示されます。また、VSTプラグインだからなのか、デフォルト値へ戻るのにoption+clickではなくcommand+clickです。
最初は「まじか!」と思いましたが分かればなんのことはありません。
元になっているのがGシリーズなのかEシリーズなのかはたまたKシリーズなのかわかりませんが,おそらくどれでもないと思います。というのは弊社Annex RecordingにはXlogic SUPERANALOGUE™ ChennelとXLogic E-signature Channelがありますが,Comp,EQの効きは アナログのそれと異なっています。
やや緩めというかあっさりと言う感じの印象です。緩めとはいってもかなり効きますからうかつにかけると、大変です。
ゆるいというよりはあのガッツがないという感じでしょうか。やっぱりあっさりですかね。ひょっとするとHAを通過しないからかもしれません。「レベルメーターは同じなんだけど音が前に出てくるあの感じ」はありません。
倍音が付加されない感じでしょうか
XLogic SUPERANALOGUE™ ChannelはHAをバイパスできないのでちょっと確認が取れませんが時間があるときにXLogic E-signature Channelで同じ設定にして試してみたいですね。
逆に素直に効いてくれる感じはあります。アナログのSSLは使いこなしにコツが必要、と言われますが、あまりそういう印象はありません。
ある意味残念ですが、アナログと同じように効かなくてある意味では良かったです。持っているものと同じ物あっても仕方ないので(苦笑)。
あともしアナログと同じ音がしたとしたらどれかひとつにインサートしたらそのトラックがくっきりするので、いろいろインサートしたくなるかもしれません。
実際にこれを使うようになってからは他のEQ/DynのPlug-Insを使用する頻度が大きく減りました。「いつもの感覚のchannel Stripを構成する。」と言う感じで一旦全チャンネルにインサートしてから「ちょっと違うかなー」というものだけ別のものに差し替えていっています。
録音でもXLogic SUPERANALOGUE™ ChannelやXLogic E-signature Channelを使用するので録音の延長の感覚で操作できるので非常に重宝しています。
もちろん融通で言うとWavesやAVIDの付属のEQの方が全然融通が効くのですが、ただただ精度や融通だけが大事だとしたら4000コレクションなどは発売されてないでしょう。
[PARAM]によりNucleusの右側V-POTでコントロールが可能なのですが、正直もう少しなんとかしてほしいです。HUI Protocolとの兼ね合いがあるのでしょうがちょっと使いづらい...。Nucleusが使いづらいというよりはアサインをうまく配置出来ればバッチリなのになぁ、というもの。パラメーターが多いだけに仕方ないのかもしれません。
ここに関してはまぁなれの部分も大きいとは思います。
Bus Compressor
これも見た目がずるいですね(笑)。G-series Stereo Bus Compressorを再現しています。Fadeのみが削られていますね。XLogicシリーズのG-series Stereo Bus Compressorと比べてみた感じ、掛かり方は同じなのですが、やはりガッツ感が違います。
X-Rackのシリーズのユーザーの方はあまり印象が変わらないかもしれませんが、XLogicシリーズのG-Compをお使いの方は「もうちょっとなぁ...」と感じるかもしれません。
ただステレオコンプというわけでは無くモノラルにも対応しますので楽器にかけて行くのもありでしょう。
出来ればThresholdの表示をdBfsにしてもらえると嬉しかったかな、と思います。だいたい0dBfs=+18dBuでしょうから大きく困りはしないといえばしないのですが。
プラグインなのでいろいろバスに挟むというのができて嬉しいですね。最近はアナログサミングのシステムがあるのでバスでだしてアナログコンプを通したりしていますが、ラフやデモの時にとりあえずPlug-inでというのもありだと思います。
2011年末 DuendeのVersinが4になり,VST,AUでなくRTASにも対応しました。早速インストールしたことは言うまでもありません。設定は引き継げないようですが....。インサートの時にPTが落ちる時があるいうバグがあるようですが,これはそのうち解決してくれるでしょう。
Afterwords
モノがものだけに使わないとわからない部分があると思いますが、Fader数はともかく、いろいろなコントロールへのアクセス具合は結構気に入りました。
Apogee DA-16XとX-Deskを併用してのアナログサミングも可能ですから結構活躍してくれています。
フィジカルなものだけに慣れもあると思いますが、正直このサイズにこれだけ入っていれば僕は文句はありません。気になる方がいらっしゃいましたらお気軽にお問合せ下さい。ご予約いただけましたら簡単なデモも可能です。
そうそうDuende Native Essentials Bundleに味をしめた僕はX-Verb,X-EQ,X-CompもDL販売にて買ってしまいました(笑)。非常によくできたシリーズです。X-EQ,X-Compはよくマスターに使っています。
どうでもいいようなことかもしれませんが,Faderの部分もAWSなど採用されている四角のモノに変えて使っています。やはりこちらの方が僕は使いやすいですし気分が出ます(?)。これも取り扱っておりますのでお気軽にご相談下さい。
date:
checker:Takumi Otani
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