Solid State Logic
XLogic SuperAnalogue™ Channel
今回のレビューは僕にとっても憧れのブランドSolid State LogicのXLogic SuperAnalogue™ Channelです。同タイミングでXLogic E-signature Channelもチェックしました。
Product Overview of XLogic SuperAnalogue™ Channel
ついに来ました(?)。流石にコンソールは買えなくてもコレなら何とか、といった感じでしょうか。それでも50万近くしますからねぇ。おいそれとは買えません。以前Alpha Channelをレビューしましたがあれと比べるとつまみの数もボタンの数も段違いです。値段も倍以上しますから仕方ないのかもしれません。
むしろAlphaシリーズはコンセプトが
エンジニアでない人間が手軽にSSLサウンドを手に出来ること
ですからそれも当然です。ではSuperAnalogue™ Rangeの実力如何に!!値段が倍以上違いますから、音が同じだったら「おいっ!!」となるでしょう(笑)
当店にある同価格帯のChannel Strip AMEK Channel in a Boxと見比べたのですが基本は同じかなという印象です。まあ当たりまえですね。どちらもChannel Stripですから。
Panel
パネルはSSLのコンソールになじみのある方ならわかりやすいシンプルなものになっています。XLogicという名前のとおり、XL9000Kのチャンネルストリップのラッキングです。
ではまず左から見ていきましょう。
HA section
入力端子は1/4"もXLRもどちらも入力可能なNeutrik Comboが採用されています。リアパネルにもXLR端子はありますのでどちらでも使用できます。
次にHA sectionです。GAINやPAD,phase,+48VDCのボタンが並びます。フロントのインプットはinst/line兼用なのですが、[INST]というボタンがありインピーダンスなどの変更を行います。6dBステップで増幅率は6-72dBです。
Dynamics ection
ついでDyn sectionですが、4000Gシリーズから続く伝統的なGate/Expander+Compressorとなっています。[Pre EQ],[Key]など周辺機能も充実です。流石です。
ただ、Attackがないのがちょっと残念です。Attack基本がAutoで[Fast Attack]ボタンでFastに固定になります。
余談ですが、SSL本社(英国)に「Gateいらないから、Attackとreleaseとholdに改造してくれ」といったのですが、さくっと「技術的には可能だけど、壊れたときにどうするの?UKに送るかい?メンテなどの関係からオススメできないよ。」と言われました。まぁ仕方ないでしょう(笑)。
Thresholdですが、ここはAuto Gainも兼ねており、output gainがないにも関わらずきちんとレベルをキープできます。
HAセクションとDynセクションの間にDynamicsの[DYN IN],[EQ PRE]等が並んでいます。
Filter+EQ section
その横はFilter sectionです。
HiとLo別々にBypassできるようになっており、好感が持てます。Lowが20-500Hz,Hiは3-35kHzまで可変です。もちろんDynamicsへのSide Chainとしても使用可能です。
Filtering PositionをDynの直後にするなどの変更も簡単です。この辺がAlpha Raangeにはないフレキシビリティの高さといえるでしょう。続いてEQセクションです。4 band full paerametric EQです。ここまで効くEQはなかなかないというパンチを持ったEQですね、というかめちゃめちゃ効きます。Metallicaの"Metallica"のkickの音はもろSSLのEQの音ではないでしょうか。もちろんEカーブとGカーブの切替スイッチつきです。EカーブはコンスタントQ、GカーブはプロポーショナルQですね。
- LF:40-600Hz ±18dB
- LMF:0.2-2.0kH ±20dB
- HMF:0.6-7kHz ±20dB
- HF:1.5-22kHz ±20dB
最後に出力段です。ここはシンプルにoutputにつまみがあるだけです。Gain幅は±20dBです。
Sound Impression of XLogic SuperAnalogue™ Channel
さあ、肝心の音です。AMEK Channel in a Boxと比較しようかと思ったのですが、ある意味ナンセンスなのでやめました。今回は録音の現場で試すことが出来たのでそれを基にして見ていきたいと思います。
まずは録音の現場です。
某バンドさんのプリプロで使用しました。
バンドさんのDigi002を使用したのですが、コレは8inなのですが、HAが4ch必要だったので、「せっかくなら...」とSSLとAMEKを持っていきました(贅沢ですね)。
KickにXlogic Channelを使用しました。HAで適正ゲインを設定し、コンプとEQをかけていくわけですが、ここまで強力に効くと思いがけずOver comp/OverEQになってしまいます。何度も出てきますがすごく効きます。
HAの特性もあってか非常に扱いやすい、Kickの音が収録できました。
もうひとつの録音ではGtのマイクとラインにそれぞれ使用したのですが、非常に使いやすい音で収録できました。
音がかっちりするというんでしょうか?にじみのない音で収録できました。タイトな低域、密度のある中域、伸びやかな高域、全体的にコシがある感じです。SL4000Gのコンソールを使ったこともあるのですが、それよりも1まわり2まわりくらい音がフレッシュです。Signal Pathが短いというのもあると思いますがが、リファインされた回路のおかげでもあるでしょう。
Afterwords
全体を通していえることは、SSLの製品は自動車で言うとフェラーリみたいなものだと思います。
強力な個性を持ち、初心者ドライバーには乗りこなすのが難しい、といった感じでしょうか?
各機能が非常に強力でわかりやすいので、ザクッとラフな設定しても何とかなるのだとは思いますが、「性能を引き出す」というところまではなかなかたどり着けないかもしれません。
選択肢が多くありすぎて、組み合わせはかなり膨大になります。
Engineeringに不慣れな人がコレを前にすると、その選択肢の多さと、強力に効く各機能に迷いまくることまちがいないでしょう。
そう考えるとAlphaシリーズはリーズナブルですね。細かい設定は出来ないが、ザクッとSSLサウンドを手にすることが出来る、という感じでしょうか。
いずれにせよSuperAnalogue™ Rangeは上級者向けの製品でしょう。
実は今回E-Signature Channelと聴き比べて、どちらをAnnex Recに採用するかチェックしていました。結果としてはこちらが採用(5月下旬には入荷予定)となったのですが、両者はSSLの良い部分を生かしつつも、別の製品に仕上がっているのが興味深いですね。E-Signature Channelが劣っているわけではなく、僕の好みです。E-シリーズの方が若干rockな音がするような気がします。
SSLはAシリーズから現在Kシリーズまでラインナップがありました(発表されていないモデルもあります)が、各製品それぞれ、似て非なる、正確にはSSLの伝統を引き継ぎつつも、新たなことに挑戦した製品になっています。店頭での試聴受け付けますのでお気軽にメイルください。
20070518追記
いまSSL製品をご注文いただくとSSL公式 SL4000Gポスタープレゼント!!
Spec of XLogic SuperAnalogue™ Channel
- 重量:4.1kg
- サイズ:D400mm×H44.5mm×W480mm
date:
checker:Takumi Otani
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