ADAM
A7
Product Overview of ADAM A7
今回のProduct ReviewはADAM Audio A7です。デモ機が手配できたので早速のチェックです(CFE S木サンありがとうございました)。
S&R誌でも盛んに取り上げられ、気になっていたところです。
ADAM(=Advanced Dynamic Audio Monitors)の最大の特徴といえばやはりリボンツイーターではないでしょうか。様々なテクノロジーが駆使していそうな感じです(詳細はこちらをご覧ください)。
スペックの詳細は代理店ページに譲るとして、簡単な部分は記載しておこうと思います。
- 重量:8kg
- 寸法:300 mm (H) x180 mm (W) x280 mm (D)
- ウーファー:ロハセル/カーボン6.5インチ
- ツイーター:ARTツイーター
- 駆動形態:50W Bi-Amp
- 周波数特性:46 Hz - 35 kHz
- ボリューム調整幅± 10 dB
- ツイーターレベル調整幅± 4 dB
- ルームEQ > 6kHz± 6 dB
- ルームEQ < 150Hz± 6 dB
入力はXLRとRCAです。今回はXLRでの試聴です。見かけの割りに重たく、期待が持てるSpですね。ルックスも良く素敵です。到着して早速モノラル(=1本)で聞いてみたのですがコレは良いです。見た目に対して明らかに1スケール上の音がします。
Sound Impression of A7
さて当店Annex Rec Control Roomに場所を移してのシビアな試聴です。
ちなみに僕がいつも使用しているのはKRK V4 seies1です。それと切替ながら、Reference CDや今までのMixMasterを聞いていきます。
僕がモニターに求めるものとしては、当たり前ながら、
- 正確さ
- 定位のよさ
- レンジの広さ
- フラットさ
あたりでしょうか。欲を言えば、仕事をしていて楽しい、という部分もあります。変な色付けがあるのは困るのですが、そっけなさ過ぎると盛り上がれないというか...。
理想として言うなれば、Play Roomで、Outboardで、Plug-inで何が行われているか一聴して分かるようなモニターが理想です。
Dynの0.5dBのGRを表現し、EQの0.1dBのBoost/Cutが分かる、そんなモニターがあれば、と思います(もちろんそれを聞き分ける、それなりの耳を持っていての事ですが)。正直粗悪なモニターはEQやDynをかけてもその効果が分かりづらく、OverComp/OverEQになりやすくなります。
KRK V4はサイズのせいもあって低域はさすがに再現し切れませんが、音の傾向が掴みやすく、他のシステムで聞いたときにあまり「?」とならない、という部分があったので導入しました。
また音量の変化に対して、バランスが変わりづらい、という部分も魅力です。コレは結構重要で、Annex RecのC/Rはさほど広くないので、音が飽和するような音量しかでない、というのも困りますし、爆音でMixしていると耳が疲れてくるので小音量でもしっかりした精度がほしいというのはあります。
逆に言うと、精度が高ければ、音量を無駄にあげずに済みます。
商売道具(=耳)が長持ちするのでそちらの方がよいです。さてさてA7やいかに!
CD check
いくつかのCDを44.1kHzでDAWに取り込み、聞いていきました。徳次郎との試聴です。最初ツイーターレベルなどの調整で、いつも聞いている感じの高域にしてみました。結構抑えてみたにも関わらず、解像度の高い音が得られます。35kHzまで高域が延びているからなのでしょうか?不思議です。コレがリボンツイーターの底力なのでしょうか。
最初ぱっと聞いたときの印象だと結構ローエンドがタイトな印象があったのですがC/Rで聞くとそんな事はまったくありません(最初は不安定な所においてのだったので仕方ないのかもしれません)。むしろ豊かにで、正確なハンドリングが出来そうな印象です。
しっかりとした低域で、Fl Tomや、Kickが気持ちよいです。中域はしっかりとしていてPianoやOrganが綺麗に響きます。高域は綺麗に伸び、耳に痛くなく広がります。
ツイーターレベルやEQのコントロールもしっかり作られており、環境に合わせてのコントロールが可能です。
左右の広がりはとてもワイドで、定位に関しても非常に正確に見えます。
ここでの印象はリバーブテイルがV4と比べてちょっと短く感じられるといった感じでしょうか。どちらが正しいのかは分かりません。
Multi Track Data
さてCDのcheckでかなり好印象な僕と徳次郎ですが、マルチトラックソースでのチェックに移ります。
音楽を組み立てる為のものですから、前述のポイントなども含めてどうなるのか?楽しみですね。Soloでいろいろ切替ながら聞いていきますが、非常に良いです。
やはり低域がしっかりでるので、V4に切り替えたときに寂しく感じます。
音量変化による、鳴り方の変化も少なく、「コレでミックスできるなぁ」と思わず感じました。ちょうど、そのMixしないといけないsessionが有ったので、早速ミックスです。ある程度までラフを作っていたので純粋にA7でミックスした、とはいえないのですが、DLLの分離など、綺麗に聞こえます。
奥行き感も出しやすく、とてもよいモニターです。
また非常に正確で、ある意味辛口というか、そういった部分がある感じもします。
「音がしょぼいのは俺(=A7)のせいじゃなくてオマエ(=エンジニア)の腕が悪いからじゃないの?」といわれているような感じです。
まぁここまで口が悪くないにしても(笑)、しょぼい音だと、しょぼく聞こえます。HAのクリップなどもきちんと分かる部分も持っています。
電源ケーブルなどもいろいろ切り替えて試したのですが、追い込み甲斐のあるSpです。現状が悪いというのではなく、ポテンシャルがあって、きちんと反応してくれます。
V4との切り替えたときの印象ですが(サイズのせいもあるので単純な比較は酷ですが...)やはりV4だけで作ったミックスをA7に切り替えて聞くと、低域の処理が甘いときがあります。
Recording/Mixing
さて、下にもありますが、当店Annex Recに正式採用が決定され、録音からミックスまでA7を使ってのSessionがありました。
そのときの印象を記載していきましょう。
まず素晴らしいと感じたのが、マイクの距離感をきっちり表現します。カホンのマイキングを変更したときに、2cmほどマイクを遠ざけたのですが、その場にいる人間皆が、その違いを認識できました。コレは当たり前のようで素晴らしいことです。
ケーブルを交換したときの変化や、2つの楽器が絶妙にずれたのを正確に表現します(その場での音の変化が伝えられないのが、残念です)。
高解像度のモニターをお探しの方、是非一度試聴してみてください。僕のイチオシのニアフィールドモニターです。
Afterwords
もう少しいろいろ使って、癖やキャラを掴みたいところですが、かなりの好印象です。
録音(ボーカル)でも使用してみましたが、細かなリップノイズがきちんと聞こえます。
様々なジャンルの音楽を綺麗に、正確に鳴らしきってくれます。
徳次郎に
「これいくらくらいの(価格の)音がする?」と聞いてみたところ「10万はかたいよね。10万きるんだったらコストパフォーマンスがかなり高いんじゃない?」とのこと。確かにその通りですね。
実際には1本7万円しない価格です。
モニタースピーカーの中では比較的に安価な部類に入りながらも4つの賞(TEC,Reviewers Pick,Mix certified, m.i.p.a Award)を受賞、ノミネートされる実力を持つモニターです。
近日中にADAM A5もレビューしますのでお楽しみに。
(やっと時間が作れました。楽しみにしていただいていた方(←いるのか?)お待たせいたしました。)
20080730追記:Annex Recに正式採用決定
20100518追記:Aシリーズ後継シリーズ。Axシリーズ発売決定.A7直系の後継機種A7X
date:
checker:Takumi Otani
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