特徴
入力ステージとトランスフォーマーゲイン仕様のマイクプリ
Rupert 氏のリトルシェルフォード時代の設計と同様に、Shelford Channel のプリアンプはゲインコントロールを備えるダイレクトカップル仕様のカスタムトランスフォーマーを入力段に使用しています。この新たな専用設計の入力トランスフォーマーと周辺回路との緻密な統合が、個性を際立たせるために極めて重要な役割を果たします。
この古典的なトポロジーにおいて、Rupert Neve 氏のお墨付きを得られる入力トランスフォーマーの設計は試練に満ちていましたが、遂に完成した "RN4012" は初段で15dBのゲインをもたらし、ディスクリートクラスAアンプ段とともにあわせて最大で72dBのゲインが得られるものとなりました。
近年の設計 (例 : Portico シリーズ) において、入力トランスフォーマーに続く TLA (Transformer Like Ampliers) の組み合わせが自然な低域と高域、そしてガルバニック絶縁を実現するために活用されているのに対し、Shelford Channel では入力トランスとマイクロフォンラインが直結する設計となっています。
この新しいトランスフォーマーとクラスA入力アンプとの統合により、世界で最も有名なビンテージモジュールのスムースな高域と低域がもたらされます。そして、驚くほどの低ノイズと優れたアイソレーションも特筆すべきポイントです。もちろん、このマイクプリセクションには、定評の20-250Hz可変のハイパスフィルター、マイク/ライン選択、48Vファンタム電源、位相反転機能も備え付けられています。
デュアルタップトランスフォーマー出力とバリアブルシルク回路
入力段と同様に、Shelford Channel では出力段も一新されました。Rupert Neve 伝統の質感と量感を有しながら、多様性と適応力が大幅に強化されています。
新たに用意されたスクエアコアのデュアルタップ出力トランスフォーマーである "RN2042" は、高低の出力ヘッドルームの両方に最適化されています。高ヘッドルームタップは出力段のノンリニアな動作による脚色を回避し、Shelford の高電圧設計の利点を最大限に活かすことで、より純真無垢なサウンドをキャプチャーします。一方の低ヘッドルームタップでは、エンジニアが業務用インターフェイスを歪ませることなく電圧レンジをフルにドライブできるように最適化しつつも、ノンリニア動作特有のダイナミックなトーンが加えられます。
ドラム、ボーカル、ギターあるいはその他の楽器の収録でこの出力は絶大な威力を発揮します。トランスフォーマー固有のノンリニアな倍音成分の "スイートスポット" へと容易にヒットし、他では得ることのできない、活力を宿した楽器演奏の収録が実現することでしょう。
加えて、この出力段にはビンテージモジュールには無い機能と魅力が備わっています - 定評のバリアブル "Silk" 回路によって、必要な倍音成分とトランスフォーマーのサチュレーション効果を完璧にコントロールすることができるのです。
Silkのオフ時は Neve 固有の定評あるトランスフォーマーサウンドの魅力を残しつつ、モダンで無垢なサウンドを出力します。Silkをオンにした際には 1073 などのビンテージユニットに見られる倍音効果を得ることができます。この際、高次倍音歪みはなく、二次と三次倍音を引き上げることが可能です。さらに信号ソースに合わせて (高域に作用する) Silk Red と (低域に作用する) Silk Blue のモードを切り替えることで、求める結果を意のままにできるでしょう。
ダイレクト入力
フロントパネルのHi-Z入力は、人気のDIボックス : Rupert Neve Designs RNDI と同じく、ディスクリート クラスA FETトランスフォーマー仕様です。ただし、新設計の入力トランスフォーマー : RN4012 に最適化れた Shelford Channel のHi-Z入力は、直接マイクロフォンプリアンプのゲインステージに送られます。この設計により、定評の RNDI と同じ処理をした信号にさらなるクリアさと存在感のある低域、比類なき滑らかさの高域をもたらします。また、Hi-Z入力の信号を他のアンプに送るためのパッシブスルー出力も備えています。
"ベスト・オブ・クラシック" EQ
Shelford Channel の3バンド、カスタムタップ仕様のインダクターEQは、Rupert 氏のビンテージEQの中でも最高のものを踏襲したものです。低域バンドは 1064 をベースにし、定評のクリーミーで響きのある低音が特徴です。ただし 1064 とは異なり、Shelford Channel のLFバンドはシェルフとピークのモード切り替えを備えており、パンチや奥行きを意のままにコントロールすることができます。
Shelford Channel のインダクターミッドバンドは 1073 をベースにし、ボーカルや楽器を輝かせます。ミッドハイQでは、フィルターのバンド幅(ナロー/シャープと幅広)を変え、ソースとなる信号で発生した特定周波数の問題解決に役立ちます。
Shelford Channel の高域はビンテージとモダンデザインのハイブリッド仕様で、コンデンサーベースの構成で豊かなトーンコントロールを実現します。由緒ある Rupert 氏の伝統設計と同様に、どのEQバンドも低フィードバックのクラスAディクリート回路を使用し、低レベルでの余分なノイズや脚色の発生を防ぎ、大胆なサウンドシェイピングを施した際の不快さを生む要素を排除します。
Shelford Channel のEQは実に現代的な設計となっており、40年前では不可能であったことを最新の電気パーツによって改善、実現しています - そう、これは決してビンテージのクローンなどではなく、伝統の継承、そして正統なる進化なのです。
ダイオードブリッジコンプレッサー
インダクターEQやトランスフォーマーゲインマイクロフォンプリアンプと同様に、Shelford Channel のダイオードブリッジコンプレッサーも 2254 などに見られる Rupert 氏のビンテージ設計をベースとしています。しかしながら、全波整流回路と多くの新しい制御機能を取り入れることにより、これら初期の設計を押し広げることに成功しています。
ビンテージスタイルのダイオードブリッジコンプレッサーは固有のパンチとあたたかみのある特性が魅力ですが、アタックタイムの柔軟さに欠け、ヘッドルームが低いためにノイズも多く、コントロールの精度もあり良くありません。Shelford Channel のダイオードブリッジコンプレッサーは Rupert Neve Designs の努力により、クラシックコンプレッサーの魅力はそのままに数々の弱点を克服しました - さらなるレベルの精度と柔軟性を持った伝統のコンプレッサーは、ほとんど全てのソースにマッチするようになったのです。Portico II のVCAコンプレッサーと同等の透明感を持つ Shelford Channel のスーパーダイオードブリッジデザインは、コンプレッサーの常識を覆し、新たなスタンダードとなることでしょう。
この新設計の高機能ダイオードブリッジコンプレッサーには、タイミング、スレッショルド、レシオ、ブレンド、メイクアップゲイン、ファスト(アタック/リリースのモディファイア)、サイドチェーンハイパスフィルター、プリEQ、バイパス、サイドチェーンインサート、ステレオリンクが装備されています。
6ポジションのタイミング(TIMING)スイッチは、コンプレッサーのアタックとリリースを設定します。ファスト(FAST)スイッチは、タイミング設定に関わらず素早いトランジェントのソースに適しています。スイッチ操作だけで、実際に音を確認しながらソースに対して最適な処理が出来るように設計されています。
レシオ(RATIO)設定も同様に6段階のスイッチ切り替えで的確な設定が可能です。スレッショルド(THRESHOLD)は-25dBuから+20dBuまで、メイクアップゲイン(GAIN dB)は-6dBから+20dBまでの間で設定が行えます。おなじみのサイドチェーンハイパスフィルター(HPF to S/C)では低域による不要な影響を軽減し、外部のプロセッサーと接続するためのサイドチェーンインサート(S/C INSERT)スイッチとTS入出力端子も装備します。
ブレンド(BLEND %)コントロールでは近代のコンプ処理で一般的となった手法を可能にします。極端に掛けたコンプレッサーと原音を混ぜることで、全体のダイナミクスを損なうことなく、劇的なコンプサウンドを得ることができます。
高電圧駆動
Shelford Channel の内部電圧は±24Vで、ビンテージ機(+24V仕様)の倍の電圧で動作します。このことでダイナミックレンジはより広く確保され、ノイズレベルの軽減、そして信号に明瞭さをもたらします。内蔵の電源ユニットは100~240VAC、50/60Hzの自動切り替えで、世界中どこででも適切な電源供給が行えるでしょう。
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