RS124の歴史について
RS124の復刻について
RS124の機能について
POWER
Chandler Limited RS124 はパワーサプライを内蔵しています(外部パワーサプライは不要です)。
INPUT/OUTPUT
RS124のオーディオ入出力はXLR仕様(2番ホット、+4dB、トランスフォーマー・バランス)です。
出力インピーダンスは600または200オームにスイッチで変更が可能で、トーンやゲインの変化が得られます。600オームのセッティングは近代的なスタジオ環境では標準的ですが、アビイ・ロード・スタジオでは200オーム・セッティングを標準としています。
STEREO LINK
Chandler Limited RS124は、1/4"のケーブルを使用して、2台をステレオ・リンクできます。ステレオ・リンクされても各コンプレッサーのコントロールは有効です。
BAL.
BALどんなプッシュ/プル回路のアンプ設計でも、経年変化によりプッシュ/プル・バランスが変化し、予期せぬ音質への影響が免れません。全ての真空管式のコンプレッサーに同じことが言えます。プッシュ/プル回路がアンバランスになった場合、サウンド(特に低域)にごく僅かなブレやディストーション、またはモジュレーションが生じます。
BAL.スイッチは回路上のプッシュ/プル・バランスを再調整できる優れた機能です。BAL.スイッチを押しているあいだに「クリック音」が出力されます。スイッチ上のトリムをマイナスドライバーで調整して、「クリック音」が最小になるよう調整を行います。その状態でリバランス調整が行なわれた状態です。
HISTORIC NOTE:
初期のRS124にはBAL.機能はありませんでしたので、通常の真空管コンプレッサー同様に定期的に技術者がリバランスのメンテナンスを行う必要がありました。セッション中にその必要性が出てしまう場合などは厄介で、セッションを中断しなくてはなりませんでした。当時のエンジニアLen Page氏はネオンバルブとモメンタリ・スイッチ、そしてトリムポットを利用した、小さなバランシング回路をRS124に追加搭載することを思いつきました。
モメンタリー・スイッチを押している間「クリック音」がプッシュ/プル両側のアンプに逆相で送られるので、トリム調整によってクリック音が一番小さくなるように調整するだけで良いのです。セッション中であっても極めて簡単な調整でリバランスをとれるため重宝された機能になりました。
INPUT CONTROL
"INPUT CONTROL" は、可変式(*)の入力レベル調整です。0~10と記載されています。入力レベルとスレショッルドをコントロールします。
*ステップ式のインプット・コントロールをご希望の場合は、ご購入時に特別オーダー(オプション別料金)も可能です。
OUTPUT ATTENUATOR (db)
‘OUTPUT ATTENUATOR (db)’ は可変式(*)の出力レベル調整です。値0~-10で調整が可能です。
*ステップ式のアウトプット・コントロールをご希望の場合は、ご購入時に特別オーダー(オプション別料金)も可能です。
ATTACK
RS124にはオリジナル機には搭載されていない、アタック・コントロールが装備されています。アタック・コントロールは9ポジションが用意されています。左側のポジション1が最も速いアタックタイム、数字が大きくなるにつれ遅いアタックタイムになっていきます。
またRS124にはアビイ・ロード・スタジオに実在する3台のRS124コンプレッサーが持つそれぞれのサウンドを、このスイッチのポジションに赤色の文字で記載された「シリアル番号(60070B, 60050A, 61010B)」で選択することができます。ザ・ビートルズをはじめとする様々なロック・レジェンド達が使用したRS124のサウンドを、そのシリアル番号別に再現することが可能です。
HISTORIC NOTE:
ロック史上においても貴重なユニットであるアビイ・ロードのRS124は1台1台ごとに個性をもっていました。ですからアビイ・ロードのサウンドエンジニア達は、セッションごとにRS124をシリアル番号で指定して使用していました。オリジナルのRS124はアタックタイムが固定で、その1台1台がそれぞれの値を持つよう設計されていたのです。
RECOVERY
"RECOVERY"は11ポジション(ステップスイッチ式)のリリースタイム・コントロールです。"RECOVERY"スイッチは、6つのリカバリー、またはリリースタイム・オプション用意し、最も遅いリリースタイムがポジション6位置、速いタイムはポジション1位置です。
また5つの赤色のドット位置は"HOLD"ポジションです。"RECOVERY"スイッチをどのHOLDポジションに合わせた場合でも、音源を最も直近にプロセスしたピークレベルで保持します。
"HOLD" は独創性のある機能です。高いピークがあった場合に素早く近くのHOLDポジションにノブを合わせることで、コンプレッション・レベルを保持(プリセット)することができるようにしたものです。
レベルが急激に下がるような静かなパッセージでは、レベルがコンプレッションのスレッショルドを下回るため、サウンドエンジニアはスイッチを近くのHOLDポジションにセットして、楽曲の静かな部分が終わるまで保持するように使用していました。
SUPERFUSEフロントパネル上のFUSE(ヒューズキャップ)は実は隠しスイッチになっています(本当のヒューズはリアパネルにあります)。‘SuperFuse’モードはこのスイッチを左側にセットした場合にアクティブとなり、RS124のパワーライトがより明るく点灯します。
‘SuperFuse’ モードは、RS124のパーソナリティを変化させるモードで、全体に速く、アグレッシブな動作になります。‘SuperFuse’ モードがオンの状態ではサウンドがより活き活きとして、モニターから飛び出してくるようなアグレッシブな音像になります。
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