2015/2/15 DAW Recording/Mixing Seminar
Abstract
2015/2/15 花室スタジオにてDAW Recording/Mixing Seminarを開催しました。Instructorは弊社Sound Engineerです。
昨今DAWの発達とPC,Interfaceの低価格化により比較的安価に録音環境が構築可能となりました。またスタジオでも貸し出しマイクの多様化が進んでおり、リハスタでマルチトラック収録、自宅で編集、ミックスというスタイルが可能になっています。
ただ、いざ録音しようとすると壁にぶち当たるものです。DAWとPC,I/Fがあったからといってみんながプロっぽい録音が出来るわけではありません。
楽器を買ったからといってすぐに演奏が出来るようにならないのと同じです。
今回は「バンドの録音をリハスタで行う際に気をつけたいポイントとミックスのアプローチ」にフォーカスしてのセミナーです。
System
セミナーで用いたシステムです。
- Platform
- Microsft Windows7 64Bit
- DAW
- Steinberg Cubase 7.5 on Windows 7(64bit)
- Audio Interface
- Focusrite 18i20 / Steinberg UR824
- Monitor Speaker
- GENELEC 8030A
- Physical Controller
- Solid State Logic Nucleus
- Plug-ins
- Steinberg & Waves
モニタースピーカーやフィジコンはリハスタに持ち込むのに一般的では無いと思いますが、モニターはセミナー受講者さんにPlaybackを聞いてもらうのに必要ですし、フィジコンを持ち込んだのはマウスでちまちま操作して時間が足りなくなるのも今回のセミナーの趣旨とかけ離れるとの判断のです。
今回はノートPCのディスプレイをプロジェクターで壁に映しました。
Seminar-Recording
セミナーの開催です。まず簡単な挨拶、システムの紹介、今回の素材曲を提供してくれたバンドの紹介です。
次に録音フォーマットと録音レベルなどの説明があり、ドラムの録音です。花室スタジオ貸し出しマイク(有料)を使用してDsを録音していきます。
Bit Depthの説明、リファレンスレベルの説明を中心にややテクニカルな説明が行われました。アナログ機材との関連の内容、Pan Depthの説明もです。
今回の録音では掛け録りを行いました。CubaseのInput Trackを使用しての方法です。掛け録りのメリットとデメリット、失敗しない掛け録りの方法も紹介します。
Ds Recording
- O/H L (Sontronics/STC-1BK)
- O/H R (Sontronics/STC-1BK)
- Floor Tom (SHURE/SM57)
- Tom (SHURE/SM57)
- Kick (AKG/D112)
- Snare Top (SHURE/SM57)
- Snare Bottom (SHURE/SM57)
- H/H (SHURE/Beta57A)
ドラムのマイキング、特にオーバーヘッドのマイキングに関しての質問があり、アプローチとともに得られる音像、楽器の割合などを説明しました。
Bass Recording
セットチェンジを行い次にベースの録音です。Bass AmpのDI OutputとCabinetをMicで収録していきます。マイキングのオススメポイントなどを説明していきます。
- Bass Line
- Bass Mic (AKG/D112)
一部パンチを行いベースは終了です。
Guitar Recording
次にギターの録音です。ダイナミックマイクとコンデンサーマイクで収録していきます。
- Guitar (Sontronics/STC-1BK)
- Guitar (SHURE/SM57)
一旦録音してみてコンデンサーマイクの音とダイナミックマイクの音を比べてみて,比率を変更する事により音質が変えられることなどを確認していきます。
ベーシックとなるディストーション、オブリのパート、ソロ、クリーントーンを録音して終了です。
Vocal Recording
AKG P420を用いてボーカルの録音を行います。
ボーカルは(広い意味での)ポップスの中で最も重要なパートといえるでしょう。ここでも掛け録り、コンプの設定の解説をし、録音していきます。
一部パンチを行い録音は終了です。
少し休憩を挟みMixに移ります。
録音終了時を振り返るため一旦バウンスをしておきます。
。
Seminar-Mixing
ミックスに際しての下準備から説明していきます。録音した曲を振り返ってまずVocal用にShort Delay、Gt Solo用にStereo Deley、Gtのクリーントーン用にやはりDelay、Ds用にリバーブを用意します。
ざっくりパニングを調整します。
また、全チャンネルに同じプラグインをインサートします。ココでトラブル、マシンパワーなのか表示にエラーが。
再起動するも症状が改善しないのでなかったことにし、必要に応じてインサートしていきます。今回はRenaissance Channelを使用しました。Renaissanceシリーズは初めてのサードパーティプラグインにオススメのプラグインです。2015 2月一杯キャンペーンですので興味がある方は是非!。
まずはボーカルです。ショートディレイに送りレベルを調整します。
ボーカルのチャンネルEQで2.3kHz当たりを少しブーストします。
録音時にCompを掛けておいたおかげで不必要なレベル変動は抑えられています。
次にギターに移ります。バンドの意向はカリっとしたギターサウンドだったのでダイナミックマイクの比率を多めにして音量を調整します。
一旦ベースに移ります。ぎゅっとまとまったベースにしたかったのでコンプを強めに掛けます。もわっとした部分が邪魔だったのでEQで少し抑えます。
ボーカル、ベースとセンターラインがそろったタイミングでKickに移ります。Kickも掛け録りしてあったので基本的には成立しています。ただ他の楽器とのバランスを考えてもう少しどっしりさせるとともにコンプを掛けることにしました。
次にSnです。録音時にはSnのTopとBottomはともに正相で録音したのでココで改めて位相を反転させどちらが正解か確認します。
Soloで分かりやすくし、皆さんにも聞いてもらったところボトムは逆相のほうが太い音だ、ということに。
スネアにうっすらルームリバーブを掛け残りのギターに移ります。
ギターソロ、クリーンにディレイを掛け定位を調整します。
あらかたバランスが整ったところでトータルコンプをインサートします。Renaissance Compressorを使用したかったのですがうまく表示されなかったのでWaves SSL4000のG-Compを使用しました。
最後にオートメーションの説明です。
時間が迫っていたのでちょっと駆け足気味でしたが,AメロとBメロ,サビのボーカルにオートメーションを書き込んでいきます。
オートメーション書き込み前後でボーカルが聞こえやすくなっていることを確認してもらいラフミックスは終了です。
最後に音圧の稼ぎ方のステップです。
待ってました,という方々も居たようです。
まずはトータルコンプの再調整からです。今回はマキシマイザーにwavesのL2Maxmizerを使用したり,SteibnbergのMaximizerを利用しましたが,どのプラグインを使用しても気をつけるべきポイントを説明しました。
音圧はあるに越したことはないがやはり失われていくものがあるということ,時にはミックスにたちかえって修正することも重要といったことや,インターサンプルピークの話を簡単にして最後に録音終了時のラフミックスと比較です。
皆さん熱心にメモをとってくださったり,説明の中でしっくり来なかった部分を再度質問頂いたりと非常にやる気にあふれた方々でした。
セミナーを受講していただいた方に後日,「あんなに手法をオープンにしてよかったのですか?」と尋ねられたのですがみなさんの制作のヒントになればそれはそれで良いと思います。
なかなかできない技術系セミナーですが,また開催できることがあれば早めに告知しますのでぜひともいらしてくだださい。