sE electronics
DM2 TNT / DM1 DYNAMITE
今回見ていくのはInline Preamp/Inline BoosterのsE electronics DM2 TNT / DM1 DYNAMITEです。同種の商品はRoyer Labs dBooster/Royer Labs dBooster2あたりでしょうか。
よりマイクに近いところで増幅できるメリットは非常に大きく、S/Nの向上もさることながらフレッシュな音質などLive, Recともに期待できます。
Product Overview of DM2 TNT / DM1 DYNAMITE
マイクの出力を入力し、増幅するという機能を持っているのでHAに近い部分があろうかと思いますが、増幅率はHAほどの自由度はありません。固定されているか少数からの選択です。また、P48の供給やPhase Invertは行なえません。
また、出力インピーダンスの観点からもHAに接続される前提ですので、増幅率がちょうどよいからといってP48供給を経由してDM2 TNT / DM1 DYNAMITEをLine inに接続すると望ましい結果は得られないでしょう。
DM1 DYNAMITEとDM2 TNTの違いをSpecを基に見ていきましょう。
Spec of DM1 DYNAMITE
- 周波数レンジ
- 10 Hz - 120,000 Hz (-0.3 dB)
- ゲイン
- 28 dB (負荷 1kΩ)
- 最大出力レベル (0.5% THD)
- 8.3 dBV (2.6 V)
- 出力ノイズレベル
- 9 µV (JIS-A)
- 動作電源
- ファンタムパワー48V (IEC 61938 準拠)
- 出力インピーダンス
- 135Ω
- 推奨負荷インピーダンス
- 1kΩ以上
- 消費電流
- 3.0 mA
- コネクタ
- XLR 3ピン
- 外形寸法
- 19 mm (直径) x 95.5 mm (長さ)
- 本体重量
- 80 g
Spec of DM2 TNT
- 周波数レンジ
- 10 Hz - 120,000 Hz (-0.3 dB)
- ゲイン
- 15 dB / 30 dB
- 最大出力レベル (0.5% THD)
- 9.5 dBV (3.0 V)
- 出力ノイズレベル
- 1 µV @ 15 dB / 6.6 µV @ 30 dB
- 動作電源
- ファンタムパワー 48V(IEC 61938 準拠)
- 出力インピーダンス
- 135Ω
- 推奨負荷インピーダンス
- 1kΩ以上
- 消費電流
- 3.1 mA
- コネクタ
- XLR 3ピン
- 外形寸法
- 19 mm(直径)x 95.5 mm(長さ)
- 本体重量
- 80 g
こちらのほうが比較しやすいでしょうか。
DM1 DYNAMITE | DM2 TNT | |
---|---|---|
周波数レンジ | 10 Hz - 120,000 Hz (-0.3 dB) | |
増幅率 | 28dB | 15/30dB |
最大出力レベル (0.5% THD) | 8.3 dBV (2.6 V) | 9.5 dBV (3.0 V) |
出力ノイズレベル | 9 µV | 1 µV @ 15 dB / 6.6 µV @ 30 dB |
動作電源 | P48 | |
入力インピーダンス | 1kΩ | 50Ω/200Ω/350Ω/1.5kΩ/2.7kΩ/6.8kΩ/100kΩ/10MΩ |
出力インピーダンス | 135Ω | |
推奨負荷インピーダンス | 1kΩ以上 | |
外形寸法 | 19 mm(直径)x 95.5 mm(長さ) | |
本体重量 | 80 g | |
Color | Red | Blue |
Active Equipmentなので電源が必要ですが、それはP48です。また、この電源は回路動作の為に使用され、XLRのメス側には供給されませんので、コンデンサーマイクや、アクティブリボンマイク、Active DIなどには使用できません。
DM2 TNTの最大の売りは8段階のInput Z切り替えでしょう。
最大10MΩですから、値だけでいうとDI inputに相当するかそれ以上の値でしょう。参考までに代表的なActive DIの値を記載します。
- AVALON DESiGN U5
- 3MΩ
- BOSS DI-1
- 4.7MΩ
- countryman TYPE 85
- 10MΩ
- Rupert Neve Designs RNDI
- 2.2MΩ
試していないので責任は持てませんが、TS-phone-XLR(m)のケーブルをDM2に接続すればDIの代わりになるかもしません。
Sound Impression of DM2 TNT / DM1 DYNAMITE
さて、音質とまいりましょう。どちらもSHURE SM58を使用し、弊社のリハスタのミキサー YAMAHA MGP16X(Mic inpiut Z=3kΩ ) に接続して試してみました。Sourceは僕の肉声です。極力マイクに近い場所のほうが違いがわかりやすいかなと思いましたのでマイクにDM1/DM2を直接つなげてDM1/DM2の出力側にXLRケーブルを接続しミキサーに接続しました(実際のライブにはこの接続はおすすめしません)。
まず、DM1 DYNAMITEですが増幅率が+28dBになりますのでそのままでは使用できません。HAのノブを調整して試聴です。
ちょっと伝わりづらいかもしれませんが、SM58を新品に交換したような音質
が第一印象です。ハリのある高域というか、ちょっと明るめの音質です。少しヌケよくなるようにEQした、といってもいいかもしれません。sE electronicsの製品である、ということを納得できる音質です。Vocalの回線にはとりあえず挟んでおく、でもいいような印象です。
さて次はDM2です。チェックの要領はDM1と同じです。こちらの印象はDM1に比べてやや落ち着いた印象です。ほとんど音質を変えない、といってもいいのかもしれません。
とはいえ、LOADを切り替えていくと音質に変化が出ます。
まず、50Ωですが、入出力のインピーダンスルールであるロー出し、ハイ受け
が崩れる1)せいか音量がガクッと落ち、鈍い音質になります。
200Ω,350Ωに切り替えると、太めな音質で音量も充分に稼げます。
1.5kΩ,2.7kΩになると聞き慣れた音質という表現でしょうか。おそらくテストに使用したMGP16X2)などのインピーダンスに近いせいでしょう。
6.8kΩ/100kΩ/10MΩとなるにつれ、高域が持ち上がってきます。EQとは違った効果ですので、ぜひ試してみて下さい。
1) SM58の定格インピーダンスは150Ω
2) MGPシリーズのMono Ch Inputの入力インピーダンスは3kΩ
Afterwords
ないと音がでない、という類のものではありませんから明らかにOptional itemという製品です。
ただ、Outboard HAなどもそうですが、Optional itemは非常に楽しい製品が多く、Engineerの個性になるのかな、とも思えます。
定番機をきちんと使える能力も必要ですが、+&Aplha;のアイテムをうまく組み込んで音のバリエーションを広げる努力もキープしたいものです。
DM2の発売に伴いDM1は値下げされました。より身近になった印象です。
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checker:Takumi Otani
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