elysia
Alpha Compressor
以前mpressorのレビューをしましたがその時同じタイミングで試せたのが今回取り上げるAlpha Compressorです。
パワーアンプクラスの重量を持つ2chコンプレッサーで,elysiaのフラッグシップモデルです。本国のサイトには「The Ultimate Mastering Tool」とあります。早速見て行きましょう
Product Overview of Alpha Compressor
まずはスペックに参りましょう
- 周波数特性
- 10Hz-200kHz (-0.5dB)
- 入力インピーダンス
- 10k Ω
- 出力インピーダンス
- 68Ω
- 最大入力
- Stereo Mode:+28dBu
- M/S mode:+23dB
- 最大出力
- Stereo Mode:+27dBu
- M/S mode:+23dB
- ダイナミックレンジ
- Stereo Mode:122dB
- M/S mode:118dB
- サイズ
- 483W x 133H x 405Dmm
- 重量
- 16kg
なかなかガチな感じですよね。
回路はフルディスクリート ClassA回路,M/Sマトリクス,FeedBack/FeedForward切り替えを搭載しています。またトランスをバイパスできるなど積極的に音(というより質感でしょうか)を変えていくことも可能なコンプレッサーです。
基本的なノブレイアウトはmpressorと似ていますが,一応記載しておきましょう。
- Thresh
- Thiresholdです。(-13 ... 20dB)
- [FeedForward]
- FeedBack/FeedForwardを切り替えます。
- Attack
- いわゆるアタックタイムです。(0.01-150mSec)
- [Auto Fast]
- これを有効にすることによりエンベロープが変化します。Impulseのような信号により素早く対応します。
- Release
- これも通常のreleaseと同じです。
60-1.8k mSec - [Auto Fast]
- これを有効にすることによりエンベロープが変化します。
- Ratio
- これも通常のRatioです(1.1 ... 2.4)
- EQ Gain
- Niveau Filterのゲインです。反時計周りに回していくとFreqを境に低域がブーストされ高域がカットされます。時計回りではその逆です。
- [ON]
- Niveau Filterを有効にします。
- EQ Freq
- Niveau Filterの境界周波数を決定します。[x10]ボタンを併用することにより26Hz-22kHzをカバーします。
- [x10]
- EQ Freqの値を10倍にします。
- SC Gain
- SideChain信号(Detecter回路)に作用するFilterのGainです。(LP/-12 ... 0 ... -12/HP)
- [On]
- SideChain Filterを有効にします。
- SC Freq
- Side Chain信号の周波数をコントロールします。(30-3k3 Hz)
- [Direct]
- コンプレッションステージ前のサウンドをきくことができます。バイパスとしても使用可能です。
- Mix
- いわゆるDryとWetのバランスです。[Direct]と[Compressed]が押されている必要があります
- [Compressed]
- コンプレッションサウンドをきくことができます。
- Gain
- Makeup Gainです。
- [Transformer]
- トランスを通過させます。
- Soft Clip
- [On]
- Soft Clipを有効にします
Sound Impression of Alpha Compressor
さて,実際の音に参りましょう。
ダイレクトレコーディングのPianoの2Mixを通してみました。mpressorの印象と比べて...。と思っているともう段違いです。The Ultimate Mastering Toolという言葉の意味に納得です。
非常に美しく艶のある音が聞けます。もちろん2Mixが良い,というのも有るのだと思いますが,DSDマスターの良さを損なっていない処理,という印象です。
Niveau Filterもmpressorとは異なる音質の印象です。おそらく原理は同じながらも使用しているパーツのグレードが違うのかもしれません。Ratioが2.4までしか無い,という部分に男気を感じます。細かくRatioをいじれるのも好印象です。
コンプレッションを多少強めにしても詰まった感じはほぼ皆無ですがメーターはしっかりと止まっています。叩かれている感じが少ないのがMastering向けということなのでしょう。矛盾した表現なのを覚悟して書きますが,ダイナミックレンジが保たれたままコンプレッションされている感じです。
音圧を稼ぐ,というよりは最後の仕上げにダイナミクスを整える,という使い方が向いていると思います。
Mixノブも非常に有効な印象です。Directを絶妙に混ぜることにより,自然な感じを残しつつコンプレッションを行うことが可能です。今回の印象ですと50-70%辺りが好印象でした。
Side Chainですが,通常のコンプと異なりS/C入力がありません。ですのでSideChainと書かれていますが,Detector回路への信号に作用します。
周波数の可変幅は30Hz-3300Hzです。またSC GainでHP/LP Filterとしても作用しますので充分だと思います。
今回は試せなかったのですが,MSモードも搭載しています。
Afterwords
正面のノブの明るさや,ボタンの明るさも背面のコントロールで変更できます。まぁ遊び心でしょう。
「通すだけ」デモありがたみの有りそうなコンプです。Masteringに特化したことにより,Mastering作業での様々なことに対応出来そうです。
かければ良くなる,という類のものでは無いので万人にはおすすめできないですが,腕に自信がある方,ドイツの本気を試してみたい方,デモも可能ですのでお気軽にお問い合わせください。
date:
checker:Takumi Otani
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