eiosis
AirEQ
今回見ていくのは久々にプラグインです。NAMM2012(だったと思います)で展示されていると聞いて,現地のスタッフに「絶対にチェックしてきてくれ」と頼んだ記憶があります。勝手に「多分高いんだろうナー」とあきらめモードだったのですが,蓋をあけてみるとびっくりの価格,しかもCPUにも優しいときています。早速見ていってみましょう。
Product Overview of AirEQ
国内取扱の案内がきて早速デモの手配です。買ってみていざ動かないでは困るので皆さんも自身の環境でチェックしてからにしてください。30日間限定のライセンスコードが発行されます。iLok2が必要です。あと見落としがちなのがPlug-in Formatですね。
ちなみに作動環境は
- Apple
- Intel Processor, At Least 4 GB of RAM Mac OS X 10.7 or later
- Windows
- At Least 4 GB RAM Windows 7 or later (32/64 Bit)
とのことです。確認環境はOS X 10.6.8だったのですが僕の環境では動きました。
eiosis AirEQは
- AAX32
- AAX64
- VST3
- VST2
- AU
- RTAS 32/64bit
に対応しています(20150531現在)。
バンド構成は
- Earth
- HPF(6 or 12 dB/Oct)
- LF Peaking/Shelving切り替え可能
- MF(20Hz-20kHz) x3
- HF Peaking/Shelving切り替え可能
- LPF(6 or 12 dB/Oct)
- Air
です。ウィンドウも大きくアナライザーも表示される(OFFにすることも可能)ので使いやすい印象です。アナライザーの表示幅は10Hz-30kHzです。もちろん44.1kHzや48lHzの時にはそれぞれ22.05kHz,24kHzより上の音は出ないわけですが,そのナイキスト周波数に薄く赤い線があります。
96kHzでsession fileを作って,White Noiseを入れてみたところ30kHzまでアナライザーは反応しました。せっかくなら50kHzくらいまで表示されると嬉しいですね。
あと,これは便利!,と感じたのが周波数をソートできる機能です。
バンド数の多いプラグインEQだとLMFがHMFよりも高くなる
,という設定が可能ですが,これを周波数の低い順にソートしてくれます。
Full-Parametric EQですので細かな調整が可能ですし,各バンドのSoloが聞けるので操作したい周波数にちゃんとあたっているのかを確認できます。
また,QカーブのそもそものPresetも大きく分けて3つ,
- Water
- Neutural
- Fire
が用意されています。WaterとNeutural,NeuturalとFireの間をスライダーで連続可変できます(Qのノブをすべて一気に動かすイメージです)。各モードの特徴は
- Water
- クリアな高域と落ち着いた低域、均整のとれた中域を描くスムースなサウンド。オープンでナチュラルな透明感を与える設定です。
- Fire
- キレの良い中域、明瞭な高域とパワフルな低域を描くタイトで鋭いサウンド。力強くインパクトがあり輪郭のはっきりしたシャープな設定です。
- Neutral
- リファレンスとしているアナログ・イコライザーと同様のカーブを描きます。
とのことです(リファレンスのアナログEQが何なのか気になりますねー)。
QノブをShift+Click Dragすることにより各バンドごとにWater⇔とFireを操作可能です。
これに限らず結構裏コマンド隠されているようですので気になる人はOperational Manualをご確認ください。
また,中心周波数を音程で表すことも可能です。「周波数はよくわからないけど,楽器の実音を音程ベースで操作したい」という方には便利でしょう。
AirEQはステレオEQの様で基本的にLRモードかMSモードの切り替えが可能で,それぞれSolo L,R(LRモード),Solo M,S(MSモード)が聴けます。
メーターもよく考えられていてまず右にはPeakとRMSが同時に表示されるメーターが(Scaleは-48dB ... 0dB FS,dBFS / K-12 / K-14 / K-20は切り替え可能),で左にはEqualizing前後のレベルの差を表示してくれます。
よく忘れがちなのがEQは(部分的に)レベルを操作するエフェクターということです。ブーストばかりするのは結局Faderを上げているのとほぼ同じで,重要なのはその音質変化が適しているか
ということですが,この左のメーターを参考にInGainやOutGainを調整の後バイパスチェックをすることでその変化が適当かどうか聴き比べることが可能です。
デジタルならではの配慮といえるかもしれません。アナログコンソールは歪んでもそのハーモニックが適している場合もありますが,デジタルでは悲惨なことにしかならないですから。
CPU負荷ですがPro Tools 10で40trほどのsession Fileのすべてのトラックに入れてみましたが,余裕です。
Sound Impression of AirEQ
さて実際の音ですが,さすがAirEQと名のっているだけのことはあります。Airをブーストすると耳に痛くない高域がサーっと伸びていきます。
以前レビューしたPlugin Alliance maag EQ4のAIR BANDとも違います。
同じAIR
というキーワードだけでこの両者を比較するのはある意味ナンセンスですが,僕の印象だと,
- maag EQ4
- 各チャンネルにインサートするのが向いてる。
- AirEQ
- マスターバス,などに入れてMastering的に使用するのが向いている
という印象です。
AIRの部分に関してはAirEQのほうがちょっと派手かもしれません。EQ4が地味というわけではなく変化が分かりやすい,というニュアンスです。
もう一つ愛用しているEQ プラグイン Solid State Logic X-EQとも比較してみました。
Master Busに入れて全体の質感を整えるのによく使用しています。同じようなカーブを描くよう設定してみましがやはりこちらとも違います。SSLの方は質実剛健というか,きっちり確実に効いてくれるのですが,ブーストした時のツヤのようなものはAirEQに軍配が上がります。
またCPU負荷の観点からもAirEQのほうがよいでしょう。
チャンネルにインサートして使用すると言うのも試してみました。
ちょうどミックスしていたデータが遭ったのでそれに適用です。
さすがにMixdataは公開できないのですが,印象として,「しなやかでよく効くEQ,倍音成分を綺麗に操作してくれるので打ち込み音源に空気感を足したいときなどに有効。もちろん生楽器に対する効果は白眉」という印象です。
Afterwords
Dynamics,EQ,Rev。どのプラグインもそうですがスタンダードなものはキャラクターの異なるものが複数個使える環境にあると便利ですね。
性能を考えるとなかなかリーズナブルなEQだと思います。
皆さんもぜひデモ試してみてください。
date:
checker:Takumi Otani
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