d&b audiotechnik
T series
つい先日、都内某所で行われたオタリテックフェアにお招きいただき(K松さん、いつもありがとうございます)、行ってきました。よりによって台風11号が関東圏に最接近のタイミング。荒天の中、新製品のT seiesの音が聴けるというのでウキウキで出かけてきました。
ちょっと遅れて会場に着くと前半のd&b audiotechnik社の簡単な歴史やTシリーズの開発コンセプト、更には同社のスピーカーの開発のポリシーまで聞くことができました。非常に参考になることばかりです。
Product Overview of T series
T-sub
- 周波数特性(-5dB スタンダード):47-140Hz
- 周波数特性(-5dB 100Hzモード):47-100Hz
- 寸法:W470mm×H431mm×D400mm
- 重量:17kg
- Unit:15"
- Impedance:8ohm
- 許容入力:RMS=300W/Peak=1600W
- コネクター:EP5(3/4)/NL4(2+/2-)(option)×2
T10
- 周波数特性(-5dB スタンダード):68-18,000 Hz
- 周波数特性(-5dB CUTモード):120-18,000 Hz
- 寸法:W470mm×H197mm×D300mm
- 重量:11kg
- HF:1.4"ドライバー
- LF:6.5"×2
- Impedance:16ohm
- 許容入力:RMS=200W/Peak=800W
- 指向角度(ラインソース):H105°
- 指向角度(ポイントソース):H90°×V35°
- コネクター:EP5(1/2)/NL4(1+/1-)(option)×2
d&b audiotechnikのSpeakerにはD6,D12という専用(「専用」の理由は後述)アンプが用意されていますが、D12を使用したときにそれぞれ130dB SPL,132dB SPLが最大音圧として得られます(T10ポイントソース時は130dB SPL)。インピーダンスも16オームなので4台パラレル可能です。
さて、T10の指向角を見て何か気がつくことありませんか?てかちょっと変じゃないですか。ラインソースとポイントソースで指向角が変っています。T10は回転式Waveguide hornと音響レンズを組み合わせることにより、グリルをはずすことなく簡単にポイントソースとラインソースを入れ替えることが可能です(さすがにアレイにつってあるときは無理です)。一人二役、一粒で2度おいしい、そんな言葉が浮かんできます。実際後半のフリータイムの時に回転式Waveguide hornを回してみたのですが、高域の指向角は明らかに変ります。
重量も11kgですから一人でアレイを組むこともさほど大変ではないです。基本的に3点で釣り込む形(前面両端と、後方ひとつ)になりますのでゆがんでピンが入らないということもありませんし、「仮止めして本止め」というロックの仕方を採用しているため楽に固定、角度変更が可能です。
Sound Impression of T series
さて実際の音です。当日のプログラムの後半に相当します。「待ってました」の瞬間ですね。前半のコンセプト説明で
- 最大限の性能となるように個々の部品を厳選し構成すること。
- シンプルな使い勝手であるということ。
- 空間の音響は、システム性能とは別ものであるということ。
- d&bのシステム性能は世界中で同じように再現できること。
という d&b システムリアリティ コンセプトを紹介,解説してくれました。また声を大事にしているという説明もなされましたが、ナレーションCDもくっきりと聞き取れます。残響が多いホールではなかったというのも影響するかもしれませんが、良い音です。歪感がなく長時間聞いていても耳が疲れず、ストレスなく仕事ができそうです。
また良いスピーカーに特有の「へたくそなエンジニアにはきつそう」なオーラも漂っています(笑)。
さすがにT10だけだと音楽ソース、特にロックなどの音量,音圧系は厳しいですが、ナレーションなどだとまったく問題ないと思います。またT-SUBのほかにもQ-SUBなどを使用することも可能ですのでシステムの組みようによっては問題なくオペレーションをこなすことも可能です。
「本当に良いシステムならジャンルに関係なく、それなりの再現性を持って再生できるはずだ」という持論の下、T10+T-SUBでドサクサにまぎれてReference CDをかけさせてもらったのですが、やっぱり良い音していました。
d&b audiotechnik System Reality Concept
ボクはd&b audiotechnikの人間ではないので完全に理解できてるのか、ここでこれを記載する権利があるのかも分かりませんがセミナーに参加した人間の解釈というイメージでお読み頂ければ幸いです。
コンセプトに関しては前述の通りですが、d&b audiotechnikの製品に関しては5年保証という、長期間の保証がついています。D12,D6というd&b audiotechnikのアンプにはDSPが搭載され、一部は完全にBlack Box化されています。Overloadを起こさないような監視や、ボイスコイルの状態の計算までDSPが行い、適度なプロテクトをかけています。リモートで操作,監視が可能です。
すごいなぁと感じたことがあります。DSPに使用するスピーカーのモデル名を入力する必要があるのですが、そのモデル名を間違えると、もしくは一致しないスピーカーを接続するとDSPがそれを感知し、安全面の観点から信号をShut outするのだそうです。
おそらくメーカーの開発陣の意見としては「音のベーシックな部分は任せてくれ!エンジニアは細かい音
のことではなく、音楽
を組み立てることに専念して欲しい。そのための最大のバックアップがオレ達の仕事なんだ」と言う意気込みで製品開発を行っているのでしょう。
Afterwords
いままでd&b audiotechnikのSpeakerをしっかり聞く機会があまりなったのですが、今回じっくり聞くことができて非常に満足です。スピーカーの存在を通り越して、音楽
を聴くことができるスピーカーというといいすぎでしょうか。そんな印象を受けたセミナーでした。お招き頂いたK松さん本当にありがとうございました。