beyerdynamic
TG V70
さて、beyerdynamicのTG(=Touring Gear)シリーズは3つに大別できるのですが、
- TG D
- Drum収録をターゲットとしたシリーズ
- TG I
- 楽器(Musical Instruments)収録をターゲットとしたシリーズ(Dsは楽器じゃないのか、というツッコミはご容赦ください)
- TG V
- Vocal収録をターゲットとしたシリーズ
です。今回はTG VからVocalハンドヘルドマイクの上位機種 TG V70を見ていきましょう。
Product Overview of TG V70
さて、恒例のSpecから参りましょう。
- Transducer type
- Dynamic
- Operating principle
- Pressure gradient
- Polar pattern
- Hypercardioid
- Frequency response
- Close miking
- 25 ... 18,000 Hz
- Distant miking (measured at 1 m)
- 90 ... 16,000 Hz
- Rear attenuation at 1 kHz
- < 25 dB at 110°
- Open circuit voltage
- 3.2 mV/Pa (-50 dBV) ±2.5 dB
- Magnetic field suppression
- < 20 dB at 50 Hz
- Nominal impedance
- 280 Ω
- Load impedance
- <= 1 kΩ
- Connection
- XLR, 3-pin, male
- Dimensions:
- Length
- 185 mm
- Shaft diameter
- 23/35 mm
- Head diameter
- 54 mm
- Weight
- 345 g
- Frequency response curve
感度が高めですね。SHURE SM58の感度は-54.5dBV/Pa, Beta58でも-51.5dBV/PaなのでDynamic MicのVocal Handheld Micとしては感度は高い部類に入ると言えます。S/Nの観点からは歓迎される仕様ですね。
重量は345gとSM58などと比べてやや重ため、サイズもSM58と比べて一回り大きい、という印象です。
程よい重量感とBlack finishがとてもかっこよいです(これは完全に主観です)。
Sound Impression of TG V70
さて実際の音に参りましょう。数年来の知り合いがVocalマイクを相談したい、とのことでいくつか候補を考えていたのですがそのときにTG Vシリーズが思い浮かびました。あとはSENNHEISERやSHURE、AKGなどでしょうか。ただ、ちょっと都合が合わず、デモ機の借用期間内に試していただけることはなかったのですが、別件でLive Houseに持ち込んでみました。
Pf, Ds, Gtのトリオ+Saxという編成のLiveで、以前Opeを担当したときはVocal+MCがあったように記憶していたので今回せっかくなら、と。
会場に入ってFOHのワンツーをやるわけですが、まず最初にNo EQの状態で声を出してみました。とても芳醇な印象の音です。スムーズな中域とそれにつながるきめ細やかな高域、それを支える低域のボトムが好印象で、同じくドイツのマイクメーカーSENNHERISERとは少し異なる印象です。原産国が同じ所為なのか共通点はあると行って良いと思います。国民性が現れているのでしょう。僕の勝手なイメージですとbeyerdynamicのほうがドイツっぽい気がします。
SHURE SM58を比較してみましたが、SM58のほうがあっさりしている気がします(悪い意味ではありません)。
HAを適正値になるようBoostしていくといつものSM58のGainの値より4dBほど低い増幅率で0VUが得られます。TuningでEQをかけていくわけですが、会場の特性の部分は共通にカットしている印象です。ただ、ミッドレンジのレスポンスが明らかに違います。
高感度の両刃の剣としてハンドリングノイズが挙げられますが、TG V70に関してはさほど気になりませんでした。
結局今回のsetlistでVocalとして使用する曲は1曲だけ、との事でしたので、今回はSaxのマイクとして使用することにしました。SaxophonistはMinyen Hsieh氏です。この日はTenorとSopranoを使い分けてらっしゃいました。余談ですが、弊社スクールの講師とも、このLiveの数日前に共演をしていたそうでそんなことを話しつつリハに突入です。ただ、この日のLiveはTourの後半でかなり仕上がってきていた部分もあり、2曲ほどでリハは終了。
Teror saxを使用する際に合わせてKeyとBellの音が両方入ってくるようにマイキングを行い、リハは進行して行きます。Sopranoに持ち替えたときにマイクがBellを向くように構えてくれていたので、可能ならKeyの部分からの音を拾いたいのだが、と伝えると、本人もそのほうがよかったらしく、快諾してくれました。また、「マイクに入れたい音があるので楽器を多少、動かすが良いか?」とのことだったので「別に問題ない。」と伝えるととても嬉しそうな表情をしてくれたのが印象的です(英語のやり取りを意訳しているのでお互いぶっきらぼうに聞こえるかもしれませんがMinyen Hsieh氏はとっても良い人(=nice guy)でした)。
Live終了後、LivehouseオーナーとMinyen Hsieh氏が雑談しているのを横で聞いていたのですが、今日はどうだったか?というオーナーの質問に対し、「Speakerから出ているSaxの音のDetailが非常に素晴らしかった。Breathyな音とかもきちんと聞こえているようでとても嬉しかった。」と僕にとっても嬉しい感想をいただきました。
会場がコンパクトで楽器/演奏がしっかりしていたということがあっても、演奏のニュアンスが客席と感じていただけた事、それのお手伝いができたことに関しては非常に光栄でした。
Afterwords
Vocal MicをSaxで試す、という状況でのチェックとなりましたが、優秀なマイクであることは充分に判りました。SENNHEISER MD421もSpeach Modeがありますから、あれも声に使用できますし、優秀なマイクというのはソースを選ばないのでしょう(MD421はさすがにハンドヘルドだと取回しづらそうですが...)。
ジャンルを問わず広く使っていける非常に優秀なマイクという印象です。
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checker:Takumi Otani
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