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TG D57/TG D58

さて、今回もbeyerdynamicのマイクのレビューです。今回見ていくのはタム、スネアドラム、パーカッション用クリップマイクのTG D57/TG D58です。

Product Overview of TG D57/TG D58

早速ですがSpecと参りましょう。比較の意味で表形式にまとめました

Spec of TG D57/TG D58

TG D57TG D58
トランスデューサータイプコンデンサー(バックエレクトレット)コンデンサー(バックエレクトレット)
動作原理圧力勾配圧力勾配
指向性カーディオイドカーディオイド
周波数特性:クローズドマイキング20 ... 20,000 Hz20 ... 20,000 Hz
周波数特性:リモートマイキング(1m測定)35 ... 20,000 Hz35 ... 20,000 Hz
開回路電圧5 mV/Pa (-46 dBV) ±2.5 dB5 mV/Pa (-46 dBV)±2.5 dB
ノミナルインピーダンス200 Ω200 Ω
負荷インピーダンス≥ 1 kΩ≥ 1 kΩ
最大SPL(24Vおよび48Vファントム電源時)140 dB140 dB
S/N比59 dB [CCIR; Q-Peak]
70 dB [A; RMS]
59 dB [CCIR; Q-Peak]
70 dB [A; RMS]
等価SPL35 dB [CCIR; Q-Peak]
24 dB [A; RMS]
35 dB [CCIR; Q-Peak]
24 dB [A; RMS]
電源ファントム電源: 12 ... 48 V(推奨: 48 V)ファントム電源: 12 ... 48 V(推奨: 48 V)
消費電力4.7 mA4.7 mA
接続XLR, 3-pin, maleXLR, 3-pin, male
クランプ寸法(W×H)85 × 118 mm85 × 118 mm
グースネック長72 mm20 mm
重量約145 g約140 g
周波数特性曲線TG D57周波数特性曲線TG D58周波数特性曲線

両者を比較すると、音的にはもはや同じマイクなのでは?と感じます。マニュアルに記載の周波数特性曲線を確認しても一致している印象です。違うのはグースネックの長さくらいでしょうか

周波数特性曲線を見ると200Hz ... 1kHzまではフラットで、1kHzから緩やかに上昇し、8kHzにピークがあります。+6dB程です。15kHzで1kHzと同じ値になり、20kHzで-9dBくらいでしょうか。低域側は200Hzあたりから緩やかに減衰し50Hzで-5dB程でしょうか。近接効果を考慮しての処理だと思います。

TG D57はグースが72mmとTG D58に比べて50mmほど長いので、TG D57の方がマイキングの自由度が高い分、邪魔になる部分もあろうかと思います。直径の大きめのタムにはTG D57、小さめのタムにはTG D58が良いのかなと思います。もちろんすべてTG D57でまとめても良いと思います。

TG D57/TG D58はClip-onマイクなわけですが、Hoopを上下から挟む形になります。結構しっかり掴んでくれます。Hoopの断面構造にも依存すると思いますが、打面に対して角度を多少つけることが可能です。

Sound Impression of TG D57/TG D58

さて、実際の音に参りましょう。

Test at studio

待ったなし、のLiveの現場でいきなり試すというのは賢明な行動とは言えませんので、事前にスタジオで操作感や基本的な音質をチェックしました。No EQ/No Dynで録音/再生/試聴です。

タムやスネア向けに開発されているとのことなのでまずそちらに試してみました。少し話がそれますが、過去にもAKG, DPA, SHUREなど、色々タムにコンデンサーマイクを試してきましたが、共通して言えるのはしなやかでもっちりした感じの質感が得られるという部分でしょうか。

さて、今回スタジオでは、タムにTG D35,TG D57, TG D58を取り付けて収録しました。TG D57, TG D58の下部はMKV 87と同じ構造をしています。Hoopを上下から挟むイメージです。

組み合わせとしては

Top:TG D35+Bottom:TG D57 / TG D58

Top:TG D57 / TG D58

です。

まず、Top:TG D35+Bottom:TG D57 / TG D58の組み合わせですが、TG D57/TG D58を逆相にして、Faderを上げていくと明らかにタムのボディ感が加わります。Tom topのマイクだけではなかなか出せない感じの質感です。じゃぁbottomのマイクだけで良いかというとそういうわけではなく、Top+bottomの組み合わせでこの質感が再現できる印象です。

タムの量感がしっかりして、EQではなかなか作りづらい質感になりますので音数の多いジャンルには有効な手法ですね。

一方TopにTG D57 / TG D58を配置した音の印象は、他のコンデンサーマイクと同じくもっちりとした量感の印象です。全体の質感はTop+Bottomのほうが好きですがこちらだけでも充分に良い音です。top+bottomでタムがビッグサウンドになりすぎる場合にはこちらほうが良いでしょう。

For toms at Live

さて、タイミングがよくLiveの現場に持ち込むことができました。先日のTG D35のレビューの際にも少しご紹介しましたが、水戸のLivehouseで開催されたTOSHIMI SESSIONというタイトルのライブでミュージシャンは永井敏巳さん(b),長谷川浩二さん(d),SUNAOさん(g)というメンツでのLiveです。
演奏がすごいのはもちろんですが、その演奏に反して(?)MCが軽妙で毎回楽しみにしているLiveの一つです。
さて、セッティングは1Fl+2TomのTopにTG D35を、BottomにTG D57/TG D58を使用しました。

各ボトムの回線であるTG D57/TG D58のFaderを上げると、やはりTG D35の音に更にタムのボディ感が加わる感じで非常に好印象です。ただ、サステインが少し長くなる傾向にあるのでバランスはRecよりシビアかもしれません。やはりLiveでE.Bassのアンプが鳴るとFl tomなどは少なからず共振します。

Live 2nd Setの最後の曲で長めのDs soloがありましたが、その際に永井さんとSUNAOさんが浩二さんをステージに残して一旦降壇して10分くらいして戻ってくるという演出がありましたが、戻ってらっしゃった永井さんが、浩二さんに「今日随分パワフルにドカドカやってたじゃない!?」とMCで話してらっしゃいました。パンチの有る音が出ていたのでしょう。ConsoleのMaster meterはそこまで振れていたわけではない(+4dBu相当)のでTG D57/TG D58の貢献は大きいと言って良いでしょう。

Afterwords

Hoop mountのDs用コンデンサーマイクと言うとAKG, DPA, SHUREあたりでしょうか。どれとも異なるしっとりした音質が非常に好みのマイクです。

beyerdynamic,TG D57 画像beyerdynamic,TG D58 画像

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