beyerdynamic
M 160

さて、今回見ていくのは久しぶりにリボンマイク、beyerdynamic M160です(beyerdynamicは久し振りではありませんが)。

M 160はRibbon micにしては珍しい双指向性以外の指向性を持つマイクです。

Product Overview of M 160

最も古いM 160は1957年に発売され、多くの録音に使用されてきました。David Bowieの Young Americansではほとんどの曲のVocalに使用され、Andy JohnsはLed ZeppelinのWhen the Levee BreaksでM 160を使用したとのことです。

外にも多くの名盤に使用されたM 160は発売から62年経過した2019年にTEC Awards Technology Hall of Fameに殿堂入りしました。

でははSpecと参りましょう。byerdynamicにはM 130というリボンマイクもLine upされていますので比較の意味でそちらのSpecも記載します。

Spec of M 160

Transducer type
Dynamic
Operating principle
Pressure gradient
Frequency response
40 - 18,000 Hz
Polar pattern
Hypercardioid
Rear attenuation at 1 kHz
> 25 dB at 110°
Open circuit voltage at 1 kHz (0 dB = 1 V/Pa)
1.0 mV/Pa = -60 dBV
Nominal impedance
200 Ω
Load impedance
>= 1000 Ω
Diaphragm
Pure aluminium
Case/finish
Brass
Connector
XLR, 3-pin, male
Dimensions:
Length: 156 mm
Shaft diameter: 23 mm
Head diameter: 38 mm
Weight without cable
156 g
Frequency response curve
M 160周波数特性曲線

Spec of M 130

Transducer type
Dynamic
Operating principle
Pressure gradient
Frequency response
40 - 18,000 Hz
Polar pattern
Figure-eight
Rear attenuation at 1 kHz
> 30 dB at 90°
Open circuit voltage at 1 kHz (0 dB = 1 V/Pa)
1.3 mV/Pa = -57.5 dBV
Nominal impedance
200 Ω
Load impedance
>= 1000 Ω
Diaphragm
Pure aluminium
Case/finish
Brass
Connector
XLR, 3-pin, male
Dimensions
Length: 128 mm
Shaft diameter: 23 mm
Head diameter: 38.5 mm
Weight without cable
150 g
Frequency response curve
M 130周波数特性曲線

同じメーカーのリボンマイクということで数値上は似ていますね。周波数応答曲線は若干差があります。M 130の方には近接効果の記載がありませんが、双指向性のマイクなのでそれなりの指向性があるものと捉えておいたほうが良いと思います。

XLRコネクターとトランスデューサーの間にはトランスが配置されているようです。とはいえActive Ribbon MicではないのでPhantom powerをかけるとribbonにダメージを与える可能性はありますね。

最大音圧の記載がないのですが、記述の通りVocalに使用されたり、またEddie KramerはM 160を Jimi HendrixのGtとVocalの録音の両方に使用した、という記録も残っているそうなので、そこそこの音圧には耐えられると言って良いでしょう。

とはいえ、Ribbon Micであるという事実は変わらないのでKickのportなど風圧が加わる様な場所に使用するのはご法度かと思います。

Sound Impression of M 160

さて、今回もDsに試してみました。Ribbin Micということもあり、On-mikingは避けたほうが良いかと思いましたのでRoom Micに試してみました。

Ds kit本体を遠巻きに狙うのではなく、明後日の方向に向けてAmbient感、部屋鳴り、反射音を拾ってみました。

リボンマイクらしいゆとりのあるDynamicsとすこーしスモーキーな感じのサウンドです。1.5kHzから9kHzくらいまでの3dBほどの上昇のお陰で、篭っている印象は受けません。

部屋の特性も影響するのでM 160だけの性能のおかげとは言えないかもしれませんが、Room Micとしてピッタリの音、すなわち、マルチマイキングで収録した太鼓の集合体であるドラムキットをまとめ上げることができるグルー(接着剤)としての音が収録できました。

今回はDsで他のマイクも試す、というチェックだったのでM 160のみに時間を割く、というのはできなかったのですが、Partsでいうと、Hi-HatやRideにはとても向くと思います。特にRideには非常にマッチしそうな印象です。

あとはE.Gtでしょうか。

アタックのあるClean,Crunch toneをいい感じにまとめてくれるでしょう。以前作成した16本試してみました!! Ribbon microphones for Gt. amplifier Part I Clean toneには登場していませんが、イメージは伝わるかもしれません。

注意すべき点としては、M 160の感度は-60dBとAKG C451と比べて20dBほど、SM58と比べても6dBほど低いのでHAはCleanな製品を使用したほうがよい、ということでしょうか。Ribbonが他のRibbon micより小さいためでしょうか?とはいえ他のPassive Ribbon micと比べて極端に低いわけではありませんから極度に器にする必要はないのかもしれません。指向性を持つマイクなので近接効果は発生しますから、マイキングは慎重に行う必要があるでしょう(特に距離に関して)。

Afterwords

他に存在しないわけではありませんが、双指向性以外の指向性を持つRibbon Micです。所謂エンドアドレスのマイクとして使用できるのでわかりやすくて良いですね。

サイズの割に(?)しっかり低域も収録できるマイクです。

beyerdynamic,M 160 画像

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beyerdynamic,M 160
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