audio-technica
AT5047
今回見ていくのはコンデンサーマイクです。コンデンサーマイクといえば円形のダイアフラムを思い浮かべる方が多いと思いますが(勘の良い方はこの時点でどのマイクシリーズか思い当たる方もいらっしゃるでしょう)、今回見ていくaudio-technica AT5047は(正確には「50シリーズ」は)長方形ユニットを持っています。
数年前にAT5040がリリースされたときはそのダイアフラムの形状が話題になりました。
さて、早速見ていきましょう。
Product Overview of AT5047
まずはスペックと参りましょうか。
- 型式
- バックエレクトレット・コンデンサー型
- 指向特性
- 単一指向性
- 周波数特性
- 20 ... 20,000Hz
- 感度
- -29dB(35.5mV)(0dB=1V/Pa, 1kHz)
- 出力インピーダンス
- 150Ω
- 最大入力音圧レベル
- 148dB SPL(1kHz THD1%)
- ノイズ
- 6dB SPL(A特性)
- ダイナミックレンジ
- 142dB(1kHz at Max SPL)
- SN比
- 88dB(1kHz at 1Pa、A特性)
- ファントム電源
- 48VDC、2.7mA
- 質量
- 592g
- 寸法
- 長さ:165.3mm、本体最大径:57.0mm
- 出力コネクター
- 3ピンXLR-Mタイプ
- アクセサリー対応コード
- R10
比較の意味も込めてAT5040のSpecも掲載しておきます。
- 型式
- バックエレクトレット・コンデンサー型
- 指向特性
- 単一指向性
- 周波数特性
- 20 〜 20,000Hz
- 出力インピーダンス
- 50Ω
- 感度(0dB=1V/1Pa、1kHz)
- -25dB
- 最大入力音圧レベル(1kHz T.H.D.1%)
- 142dB S.P.L.
- 固有雑音の等価音圧レベル
- 5dB S.P.L.
- ダイナミックレンジ
- 137dB
- SN比(1kHz at 1Pa)
- 89dB
- 電源
- ファントムDC48V
- 質量
- 582g
- 外形寸法
- 約φ57×165mm
- コネクター
- 3ピンXLRM
- 付属品
- ショックマウント AT8480、キャリングケース
結構色々違いがあります。Specだけで見るとAT5040のほうが優れている部分(=感度,ノイズ,SN)とAT5047のほうが優れている部分(=Dynamic Range,最大音圧レベル)があります。
サイズはほとんど同じですが,重量に差があります。トランスの重量だけではないと思いますが,影響はしているでしょう。
届いたデモ機を開けてみるとSN=0057で実測らしき周波数特性曲線が付属していました。
メーカーサイトのグラフとほとんど差がありません。しっかりした品質管理が行われているのでしょう。55Hzあたりから下は20Hzにめがけてゆるやかに2dB程上昇,2.8kHzあたりと11.5kHzあたりに軽いPeakを持ちながらも全体的にはFlatと言って良い特性です。
感度が高いですね。50シリーズの最大の特徴とも言える長方形の振動板の成果なのでしょうか。AKG C414-XLSの感度が-33dB re 1V/Pa,Neumann U87Aiの感度が約-31dB re 1V/Paですから並べて同じ音源を収録するとHAのノブの位置は違いがでそうです。
また,ノイズも優秀ですね。6dBとのことですので感度と総合して考えると非常に静かな,ダイナミックレンジの広いマイクと言えるでしょう。
Sound Impression of AT5047
さて,実際の音に参りましょう。
緩やかに上昇した低音に期待してKickに使用してみました。念のためですがOff Micの方です。いつもはここにはMojave AudioのMA-201 FETを使用することがほとんどです。
まだMixingにまで至っていないのですが、そこまで低域がどかんとくる印象はありません。ただ、かなりメーター振れます。感度が高いことを実感します。ソースによると思いますが、PAD、ATTが搭載されていないHAだと簡単にClipすると思います。今回ソースに関しての増幅率は-3dBでした。
せっかくなので評価の高いAcoustic Gtに試してみました。こちらの方がAT5047の真価が垣間見れると思います。
とにかく情報量が多いです。マイクの音をHAで増幅しただけですが既に空間がきちんととらえられているというか、「バンドの中のアコースティックギター」という状態だと主張が若干強すぎるんじゃないか、というくらいです。
ノイズが低く、感度が高いのでアコースティックなセッション、弱音楽器の録音の場合にはとてもはまると思います。空間系エフェクトに頼ることなく仕上げることができるというか。リバーブの量も減らせる感じというか。
2本用意してPfにも有効でしょう。Jazz sessionのDsのOverheadやRoomなどにもとてもいいと思います。あとはGut Gt, Classic Gtなどにもマッチするでしょう。
Afterwords
しっかりしたカラーを持ったマイクなので若干ジャンルやスタイルを選ぶかもしれませんが逆に言えばハマったときに非常に強い、といえます。
やや個性的なAT5047、オールマイティなAT5040といった感じでしょうか。
Gain upしたときにノイズが気になる方、ノイズが低くて高感度なAT50シリーズ、ぜひ試してみてください。
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