audio-technica
AT4081
今回のレビューは前々から気になっていたリボンマイク、audio-technica AT4081です。リボンマイクにしては(?)非常に伸びた高域です。+48Vが必要なところも昔のリボンマイクとは大きく異なりますね(Royer Labに一部そういう製品が有りますが)。
楽器フェアだったか、InterBEEかでちょこっと音を聴いた位だったのですが、今回は録音のタイミングを一致しましたので試してみました。
Product Overview of AT4081
ここ最近リボンマイクの盛隆が目覚ましですね。Royer LabはもちろんCAD、そして今回はaudio-technica、レコーダーの進化とともに純粋にマイクの音が評価される環境が整いつつあるのと、やはり、リボンに使用しても大丈夫な素材の開発や、技術の発達がその原因と挙げられるでしょう。
今回チェックするAT4081は独自の立体ブロックパターンを施したMicroLinearリボンマイクユニットは搭載しています。秀逸な屈曲特性を持ち、高耐入力性能を発揮します。歪みを極限まで抑え、瞬時にかかる大音圧に対しても発揮する自然な描写力は管楽器、弦楽器やパーカッションなどの収音に最適です。また、スリムなスティック型スモールリボン設計はリニアな中高域レスポンスが得られます。
また48Vファントム電源専用設計です、すなわちプリアンプを搭載し、優れたS/N比とローインピーダンスの安定感ある出力を可能にします。トランスの電磁ノイズ対策も万全です。
さて、スペックです。
- 型式
- リボン型
- 指向特性
- 双指向性
- 周波数特性
- 30 ... 18,000Hz
- 感度(0dB1V/1Pa、1kHz)
- -42dB
- 最大入力音圧レベル(1kHz、THD1%)
- 150dB SPL
- SN比(1kHz、1Pa)
- 69dB以上
- 出力インピーダンス
- 100Ω平衡
- 電源
- ファントムDC48V
- 消費電流
- 3.0mA
- 仕上げ
- シルバーサテン焼付塗装
- 質量
- 152g
- 付属品
- AT8471マイククランパー、ウインドスクリーン、変換ネジ(3/8-5/8)、マイクキャリングケース
いかがでしょうか?特筆すべきは周波数特性と感度かなと思います。弊社Annex Recordingのリボンマイク、CAD TRION7000の周波数特性は25Hz to 9KHzですから高域特性が大きく違います。また、感度も10dB程差があります(AKG C451Bと同程度です。 )。
周波数特性の違いだけでマイクの優劣は決めることができないのですが(実際TRION7000はスタジオに3本導入されているくらい、代えがたいマイクです)、音の傾向はある程度つかめるかと思います。
感度が高いのは嬉しいですね。HAとでの増幅に10dBの差が出ると考えるとノイズの観点からはかなり有利です(CAD TRION7000でノイズが気になったことはまだ有りませんが)。
Sound Impression of AT4081
さて、今回は録音で試聴できた、と言う事で非常に有意義でした(あまりSRで野外とかには持っていけないマイクですから)。ホントはあらゆる楽器、擦弦楽器、撥弦楽器、木管、金管と行きたかったのですが、さすがにそうも行きません。試すための録音ではなくて、録音の時に(どさくさに紛れて)試したので(うそです。ちゃんとクライアントの許可とっています)。
今回試したのはアコギです。「弱音楽器と言われる楽器のひとつをリボンで!?」と言う声も聞こえてきそうなのですが、結果的には採用になりました。
エキセントリックなアコギを狙ったわけではなく、普通にストロークの音を収録した感じです。
最初に使っていたマイクの音も決して悪くは有りませんでした。実際にその音のほうがいいね、となって採用されている部分も有りますので。
曲の雰囲気的に、AT4081の音がはまっていた感じです。暗くなりすぎず、明るすぎない。絶妙な雰囲気をしっかり出してくれている感じです。曲にあっていただけだ、と言われればそれまでですが、その「曲にあっている」というのを後々Mixで強引に創りだすよリはマイクアレンジなどで引き出したほうが全体の見通しもよくなりますから。
レスポンスも良く、スピード感も有りますのでパーカションなども試してみたかったです。さぞやきつすぎないピークと収まりの良い音色が収録できたことでしょう。
実は、今回、リボンマイクを提案したのにはもう一つ別の理由が有ります。リボンマイクはその構造上基本的に双指向性となりますが、これにより演奏者の呼吸音、鼻息をうまく排除できたのです。コンデンサーで収録するときにもFigure-8にして録音してみました。Soloで聞くと多少は、と言う部分は有りますが、単一指向性のマイクよりも融通が効きます。機会があれば皆さん試してみてください。
実際距離は比較的離して、いわゆるオフマイキング(4,50cm位だったでしょうか)だったにも関わらず前述の感度のおかげで思っていたほどGainを上げることは有りませんでした。
Afterwords
またほしいマイクが増えてしまいました(苦笑)。安価で高性能なコンデンサーマイクが多い中、すでにある程度のマイクをお持ちの方はぜひとも選択肢に入れていただきたいマイクです。