Wes Audio
DUE-PRE
今回見ていくのはVPR Alliance,所謂500シリーズのSolid State HAです。
Neve(British)系の音質とapi(American)系の音質とを切り替えることができるという素敵なHAでずっと気になっていました。
幸運にも今回試すことが出来,早速Reviewしていきたいと思います。
Product Overview of DUE-PRE
届いたDUE-PREを見ると,当たり前ですが,500スロットぴったりに作られています。
入力はフロント下部にNeutrik Combo Jackが配置されコチラからも信号の入力が可能です。同時に接続した際にはフロント側が優先されます。
上部にはステップ式のGain ノブが配置され,通常の増幅率は20 ... 64dBでInput PADが20dB減衰可能なので都合,0 ... 64dBの増幅が可能です。
Gain ノブの下に
- MODE
- RED(=British/NEVE 1073),GREEN(=American/api)を切り替えます。
- +48V
- +48VDCファンタム電源です。
- PHASE
- 位相を反転させます
- PAD IN
- 20dBのAttです。Pre Gainに作用します。
- PAD OUT
- 8dBのAttです。Post Gainに作用します。
が並びます。Level Indicatorは8ステップで-10dBから+24dBまで監視が可能です。
PAD OUTは少し説明が必要な機能だと思います。全周波数帯において完全にLinearな,数学的なHAが存在すればPAD OUTを使用することとはGainを8dB下げることと同じです。しかし,トランスを筆頭にアナログ素子は完全なLinearityは持ち合わせていません。少しオーバードライブしてやることでHAの個性がより見えてきます。ただしADで歪んでしまっては元も子もありません。そんなときにPAD OUTをonにしてやればレベルの問題は解決します。Output Level knobと同様の機能ですが,Gain 2step分の減衰率を持っている,というのがミソでしょうか。
ちょっとむずかしく感じるかもしれませんが,通常メーターを見ながらGainを設定すると思いますが,一度増幅率を決定したら,そこからPAD OUTをonにして2ステップGain Upすれば良いだけです。気に入った方を採用すればOK,という次第です。
そう考えるとRED/GREENに加えてPAD OUTのon/offもサウンドキャラクタの決定に役立ちそうですね(グラフィカルでわかりやすい説明が代理店のページに掲載されています)。
入出力段にはCarnhill社製のトランスが配置されています。そうです,あのCarnhillです。トランスのReviewではないのと,俄仕込みの知識で迂闊なことを書くと大怪我しそうなのでやめておきますが,Carnhill MOD
と呼ばれるトランス交換改造が存在するあのCarnhillです。
Sound Impression of DUE-PRE
さて,お楽しみの時間です。今回の環境ですがPowerSupplyとして使用したのはapi 500-6B LUNCHBOXです。メーカーとしてはSupercarrierや_TITANを使って開発環境での試聴をしてほしいのだと思いますが,今回は手元にあった500-6B LUNCHBOXです。
ただスロットでも音は変わるので将来的にはいろんなメーカーのスロット試していきたいですね。
ちょうど録音セッションがあったので使用してみました。
For Room Mic HA of Ds Recording
Kickにに使おうか,Snに使おうか色々悩んだ末,Room Micの回線に使用することにしました。RED ModeとGreen Modeパパッと試聴して今回はRED Mode(=Neve)がマッチしそうでしたのでコチラを選ぶことにします。
MC77で軽くコンプレッションをかけて隠し味的に使うことにしました。
パット聞きの印象ですが,RED MODEはLow-Midあたりに密度を感じる音質でGreen ModeはHighがちょっと明るくなる感じの印象です。今回は1台だけで試したのですが,どちらのモードも台数を揃えてSnarやTomの回線や,アコギ,Conga,Bongoなどのパーカッションなどに色々使えそうな音質です。Green ModeでCoatedのTomとかすごくハマりそうな気がします。当たり前ですがモダンHA
というよりはちょっとクラシックな感じの音質,ちょっと懐かしい感じの音質です。古臭いという感じでは無く聞き慣れた,という解釈いただけると幸いです。ただ,もろNeve,apiかというと「それ風」な感じです。モダンブランドであるWesがNeveやapiに似せた物を作った,というイメージでも良いかもしれません。
ちょっと話が逸れました。今回はPAD OUTも使用してみました。MC77が作用している状態での試聴ですが,密度感が上がったように感じました。より濃くなったというかそういう感じです。Rec ConsoleのHAのコピーですからもともとあっさりはしていませんが,1.2倍濃縮,という感じでしょうか。
For Bass
別のタイミングでBassのDIの回線に使用してみました。ベーシストからのリクエストで「低音にエネルギーのある感じの音にしたい」ということだったので再度Due-PreのRED Modeの出番です。最初AVALON DESIGN VT-737SpをHAとして使用していたのですが,もっとミッドレンジの粘りみたいなものが欲しかったのでDue-Preにしました。
ケーブルなどもオススメのケーブルに変えてみてもらったのですが,かなり気に入ってくれたらしくsessionの間しきりに「ベースの音い~な~」と言ってくれました。
コンプの掛け録りで収録を終えましたが,後日Mixでほとんどいじること無くBassの音は仕上がっていました。もちろんDue-Preの得意な方向性とバッチリマッチした,というのもあると思いますが,中低域のエネルギーがちょうどよい感じにKickに絡みGtを支えています。
Afterwords
非常にPotentialを感じるHAです。はやくも2台目が欲しくなっています。最終的には4台位揃えたいです。あえて苦言を呈するとすればLevelのLEDがちょっと明るいかな,という程度でしょうか。
500シリーズからは今後も目が離せませんね。
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checker:Takumi Otani
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