Wes Audio
_TITAN
今回見ていくのはVPR Alliance Slot、Wes Audio _TITANです。いわゆる500 seriesの電源モジュール、I/O Unitです。
機能的な部分のみならず見ていければと思います。早速参りましょう。
Product Overview of _TITAN
_TITANをみて行く前にVPR allianceについて少し触れておきましょう。apiが提唱した規格である事はご存知の通りですが、供給電圧±16VDC(各130mA,1モジュールあたり),+48VDCファンタム用電源の供給(5mA,1モジュールあたり)、XLR I/Oの提供など様々な事が定められています。
500 seriesと呼ばれる事もありますがVPR allianceに対応するapiのモジュールの型番は全て5XXとなっています。
さてスペックです。
- Slot
- 10スロット
- INPUT
- 8×XLR
- OUTPUT
8×XLR
- PORT
- USB端子×1、イーサネット(LAN)端子×1
- STERO LINK SWITCH
- 9×リンクスイッチ(1:2、2:3、3:4、4:5、5:6、6:7、7:8、8:9、9:10)
- Power Supply
- Linear power supply(2way) which can deliver 5A of total current
- Size
- W 440mm × H 138mm × D188mm(電源用コネクタ接続時は約270mm): EIA 3Uラックマウント
- 供給可能電流容量
- 全スロット合計:2500mA = 2.5A
(1スロットあたり:250mA × 10スロット )
+16V=2.5A
-16V = 2.5A
+48V = 0.2A
スロットとしてのスペックとしてはやはりスロット数と供給電流量が気になるところですが_TITANのスロット数は10、供給電流値は5A(2.5A x2)を誇ります。各500モジュールで必要とされる電力量はまちまちですがここまでの数値ですと余裕があって安心です。VPR Allianceでの値は130mAですからおよそ2倍の供給が可能です。
Linkがあるのも嬉しいですね。しかも1:2, 3:4 ... 9:10の5個ではないのがサイコーです。
電源供給に関してですが、外部ACアダプターが用意されています。取り回しの観点からはIECコネクターのほうが楽ちんですが、ノイズの観点からはACアダプターが離れているのは有利に働きます。
さて、_TITANの大きな特徴の一つ、VPR allianceの上位規格であるng500(next generation 500) series
に対応している部分もピックアップしておきましょう。
ng500はWes Audioが提唱する規格でVPR alliance の上位規格にあたります。
GConプロトコルに対応したモジュールは本体にUSB-mini Bが搭載されておりノーマルのVPR allianceスロットでもsettingのRecall,Automationも可能ですが、_TITANを使用すればUSB ケーブル/Catケーブル1本でng500のコントロールが可能です。
Plug-inでHardwareをコントロールする、ありそうでなかった発想ですね。Bettermakerも同様の製品をリリースしています。あえて言うのであればSSLのA-FADAが近いでしょうか。SSLのUltimationもDigital Controlled Superanalogue sound
と銘打っていましたから同じ発想の機能と言って良いのかもしれませんが、こちらはRecallのための機能ですのでWes AudioやBettermakerの製品のほうがよりモダンな機能と言えるでしょう。20世紀に開発されていた製品と21世紀の製品を同じ土俵に乗せるのは気の毒ですが...。
さて、Wes AudioのGConManagerをインストールして準備完了です。
まずはUSBで接続して_GConManagerを起動、DHCPをONにしてやればCATケーブル接続も可能になります。
どのスロットに何が接続されているか、を一覧で見ることが可能です。2スロットの製品は若番に接続された状態で認識されます。例えば、_DIONEをSlot2/3に、_MIMASをSlot4に入れると画面上は
_DIONE Slot2 ID:XXXX
_MIMAS Slot4 ID:XXXX
という表記になります。
このソフトで各ng500モジュールのセッティングをSave/Recallすることも可能です。WorkspaceというFileに格納されるのでBand+SongTitleみたいにしておけば問題ないと思います。
USBでモジュールのフロントに挿したUSBでも_TITANの背面に1本で挿したUSB/CATケーブルでも、正常に認識されれば_Configというところに正常に表示されます。ここに表示されていないとSave/Recallはもちろん、Plug-inでのコントロールも不可能です。
GConManagerでスロットのステレオリンクも設定可能です。
Plug-inからのリモートコントロール可能と言うことは2つのメリットがあると思います。1つはRecall可能ということ。もう1つは自分自身が移動しなくても設定変更が可能ということです。後者はノイズの観点からも歓迎されるメリットですね。
CATケーブルですとそこそこ引き伸ばしても問題ないのでUSBケーブル+ハブを使用するよりスマートだと思います。
Sound Impression of _TITAN
Chasisの音について見ていきましょう。供給される電源のクオリティ等で同じモジュールでも差が出ると考え、その方向で試してみました。電源ケーブルを変えると音が変わる、という感じに近いと思います。
Wes Audio DUE-PREのレビューにも書きましたが、DUO-PREの本来の性能が発揮される時が来たのかもしれません。
比較となるのはapiのお弁当箱(500-6B LUNCHBOX)です。その昔、某有名メーカーのマーケッティングの人と話したのですが、やはりChasisで音は違うとのことでした。
ドラムのRoomマイク的な感じでマイクを設置し、DUO-PREの設定も同じにして複数回叩いて録音してチェックです。電源は120VACです。
S/N連番のHAがあって回線をパラにすることができればもっと比較しやすかったのですが、インピーダンスなどの兼ね合いもあるので1Mic-1HAにしました。
2小節くらいのフレーズを叩きチェックです。まずプレイバックしての第一印象ですが、
- 500-6B LUNCHBOX
- 元気な感じ。過不足のない印象。
- _TITAN
- よりワイドレンジでしなやかな音。
という感じです。LUNCHBOXのほうがミッドレンジによっている感じで元気に聞こえますが、EQなどを入れると印象は変わってくるでしょう。
電源ケーブルと異なり極端な差は出ませんでしたが、500-6B LUNCHBOXもは500-6B LUNCHBOXの良さがあるのだな、と感じました。ただ、録音した素材にCompやEQをかけた時に、特に低域の伸びに差を感じました。スピーカーのバスレフタイプと密閉型の低域の違い、という感じでしょうか。mixingでの処理がしやすいのは_TITANだと思います。使い分ける必要は無いと思いますが、上記2つのシャーシであえて分類するのであれば
- 500-6B LUNCHBOX
- Tom,Snare,Gtなど中域にパンチがあってしかるべき楽器
- _TITAN
- Kick,OHなど周波数の上下をしっかり確保したい楽器またはPf,Masterなどワイドレンジかつあまり色付けが無いほうが良い回線
と言えるかなと思います。
Afterwords
ng500シリーズを使うのであればぜひ_TITANをご検討いただきたいですし、出力容量などでお悩みの方にもぜひ導入していただきたいシャーシです。
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checker:Takumi Otani
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