Wes Audio
_DIONE
今回見ていくのは500シリーズのステレオコンプレッサー Wes Audio _DIONEです。
見た目はあの伝説の(?)Magic grue SSL G series Stereo Compressorですね。早速参りましょう。
Product Overview of _DIONE
設計思想は間違いなく、Stereo Bus Compressor module for 500 formatを意識して作られていると思いますが、それを確認する意味でもSpecと参りましょう。
比較の意味でStereo Bus Compressor module for 500 formatのSpec(主にControl)も記載しておきます。
Spec of _DIONE
- Input impedance
- 10k ohm
- Output impedance
- <100 ohm
- Freq. response
- 20Hz ... 20kHz (0.1dB)
- Crosstalk
- > -90dB
- THD+N
- Wet:0.008% (1kHz,0dBu)
- Dry:0.004% (1kHz,0dBu)
- Threshold
- -20 … +20dB
- Attack time
- Mix
- Dry … Wet
- 0.1/0.3/1,3/10/30 (mSec)
- Release time
- 0.1/0.3/0.6/0.9/1.2/Auto (sec)
- Compression ratio
- 1.5/2/4/10
- Make Up
- 0 … +20dB
- SC High Pass filter
- Off/60/90/150/T1/T2
- Max Gain
- 21dB
- THD
- MID switch:1%
- HIGH switch:3%
Constols of Stereo Bus Compressor module for 500 format
- Threshold
- -20 … +20dB
- Make Up
- Attack time
- 0.1,0.3,1,3,10,30 (mSec)
- Release time
- 0.1/0.2/0.4/0.8/1.6/Auto (sec)
- Compression ratio
- 1.5/2/3/4/5/10
- SC HFP
- Off/30/60/105/125/185
となっています。いかがでしょう。丸コピーではなくWes Audio独自の解釈が加わっている、と見ても問題無いかと思います。
_DIONEのSide-ChainのT1,T2ですが
- T1
- 90Hz 以下の感度を弱め、4kHz 以上の感度を強調
- T2
- もっと極端に、 全帯域に渡り感度に変化を付けています。低い周波数では弱く、周波数が高くなるにつれ強くかかるスペシャルカーブ
とのこと。HPFではありません。TはTiltとのことです。
取説にもこの 2 つのモードは、速い変化に対しては素早い反応、遅い変化ではゆっくりと動作するオーガニックな レスポンスとなっており、低域は軽いナチュラルなコンプレッションで、高域の強い圧縮感が共存する特徴的なサウンドとなります。THRESHOLD や RATIO の設定しだいで、よりナチュラルにもよりエフェクティブにも応用が可能です。
と記載があります。
ng500シリーズの製品でもありますのでDAW上のPlug-in(AAX/VST2/VST3/AU)でRemote Control/Automationが可能です。
Sound Impression of _DIONE
さて、実際の音に参りましょうか。ステレオコンプですし、前述の通りパラメータ的にはStereo Bus Compressor module for 500 formatを意識して作られています。SC filterの値が少し違うくらいでデザイン的にも似ています。本来ならStereo Bus Compressor module for 500 formatを同じChasisに入れ同じパラメータにして比較すべきなのかもしれませんがそうも行かなかったので今回はXLogic G series Stereo Compressor(以下XLogic G-Comp
)との比較しても印象の比較です。もちろん単体のステレオコンプ、バスコンプとしての性能も言及できればと思います。
Pro Toolsのsession Fileを開いてマスターにインサートして比較してみました。いつもと同じ設定にして行きます。針の振れ出すThresholdがXLogic G-Compと異なりますが、極端に違うわけでもありません。
どちらもGRが2dBくらいになるように設定してそれぞれ聴き比べてみました。XLogic G-Compはどっしりとした低域が特徴というか、ボトムが伸び、Mixをまとめてくれます。
それに対し_DIONEはややクリーン/しなやかなにまとめてくれる、と言って良いかと思います。SCを60,90Hzあたりに設定すればXLogic G-Compと同じような低域の存在感を残すことができます。
SC Filter、Ratio、Mixで大きく印象を変えることが可能です。
Thresholdを-20dBまで下げてみました。針が大きく触れCompression されたサウンドになります。ここでも_DIONEのほうがしなやかな印象です。
別のタイミングで録音の際に使用してみました。今回はBus COmpressorとして、ではなくモノラルのChannel Compとして、です。
ちょっとおもしろい録音でエレドラの音源に空気感を足すのに、いわゆるReampをしていて、「ちょっとComp感ほしいね」となってじゃぁと手の届くところにあった_DIONEを使用することにしました。SC FilterやRetio、Attackなどをいじって数十秒で、低域をきちんとどっしり残しつつもMixの中で見えやすいタイトさを得ることができました。
Afterwords
Totalを叩く、という目的のみならずバスにインサートしたり、モノラルの素材を処理するのにも優秀なコンプレッサーだと感じます。
ng500シリーズということもありリコール、Automationが可能なハードウェアとして作動します。500スロットが空いていてステレオコンプをお探しの方、ぜひともご検討ください。
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checker:Takumi Otani
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