Universal Audio
OX
Universal Auidioがリリースした話題の製品,OX。やっと試すことができました。弊社スクール講師のシステム構築の候補に上がっていて,ちょうど「試そう!試そう!」となりまして,運良くデモ機が空いていた感じです。いやー日頃の行いって大事ですね。
いつものごとく,デモ機を快く貸し出していただいたHook Up N美さん,ありがとうございます!!
Product Overview of OX
さて、OXですがどういう製品のカテゴライズにするのか難しい製品です。無理やりカテゴライズしなくてもいいと思いますが、やはり説明するのにカテゴリーは便利です。
代理店のページにはプレミアム・リアクティブ・ロード・ボックス / ギター・レコーディング・システム
と記載があります。
まず、リアクティブロードボックスは正しいように感じます。ギター・レコーディング・システム という観点ですが、こちらよりは、キャビネットシミュレーター
という表現の方が近いように感じます。
まず、Ractive Load Boxの部分から見ていきましょう。
インピーダンスは4,8,16オームに対応、許容入力は150Wが最大です。本体フロントのSPEAKER VOLUMEでコントロールした音量がTO SPEAKERから出力されます。
ダミーロードを搭載していますのでスピーカーの接続は必須ではないそうです。
でCabinet Simulatorとしての側面ですが、シミュレートにUAが培ってきたデジタルテクノロジー、モデリングテクノロジーがふんだんに投入されている印象です。
OXのRIGのコントロールにはiPad/Macの専用appsから行えます。Wi-Fiの設定などは割愛しますが、OX本体がHotSpotになります。
appsでコントロール可能なのは
- CABINET
- 17種類のキャビネットモデルらか選択可能です。
- Input Level
- 真空管アンプの出力をOXのプロセッサーに入力するレベルを設定できます。[50W]と[100W]が選べるのですが、アンプの出力が50W以下の場合には[50W]と50W以上の場合には[100W]を使用するのが原則ですが、設定を間違えたからといってOXやアンプを破損することはないとのこと。
- SPEAKER DRIVE
- スピーカーキャビネットのダイナミックレスポンスを調整します。このユニークで強力なコントロールは、 OXのダイナミックスピーカーモデリングのさまざまな側面を調整します。設定が低い場合、スピーカーは新品時に近い特性になります。タイトで太く、パンチとボトムエンドがしっかりしたサウンドで す。ノブを上げていくとより柔らかくスポンジーなサウンドになり、経年変化したスピーカーに近い特性になります。
とのことです。 - MIC1/2
- リボンマイク、ダイナミックマイク、コンデンサーマイク、DIが合計6種類から選択可能です。
- ROOM MICS
- こちらも6種類のルームマイクから選択可能です。
- EQ
- HPF+LPF+4Band full-parametric EQが使用可能です。
- Compressor
- 1176SEのモデリングです。
- Delay
- ステレオディレイとモジュレーションが使用可能です。
- Reverb
- Plate Reverbが使用可能です。
です。
EQ,Compressor,Delay,Reverbはそれぞれ単独でBypassが可能です。エフェクトはEQ -> Compressor -> Delay -> Reverbの順番にかかります。変更は不可能です。
MIC1/2,ROOM MICSはバランス、PANの変更が可能で、本体背面のバランス1/4" ジャックからステレオアウトが可能です。パンを振り切ればデュアルモノラルでの使用も可能です。
これらの設定はRIGとして登録できますのでお気に入りのセッティングを6種類RIGのノブにアサイン可能です。
Sound Impression of OX
さて、実際の音に参りましょう。Preambleにも記載しましたが弊社スクール講師がシステムの更新/拡張の製品の候補にOXが上がっているとの相談を受け、一緒にチェックしましょう、となったのです。
少し話が逸れますが、以前レビューしたKEMPERやZEN Tour、今回のOXのようにMusicianとEngineerの間にまたがる商品は今回のように2人でチェックできると良いですね。
今回講師の方で用意してくれたのは2台の真空管アンプ、ギター数本です。
まずOXを設定し、今回は講師のiPadでコントロールしました。モニターはOXのLINE OUTからラインアンプ -> converter -> Pro Toolsとしました。
レベルをとり音を出したところ、一瞬講師の顔が曇りました。なにやらLatencyが気になるようでした。OXのLine OutをMonitor speakerに入力してみましたが改善しないとのこと、Pro ToolsのLatencyは考えられないのでOXのLatencyか...、となったのですが、ROOM MICSの回線をカットすれば気にならないとのことでした。感覚としては「遅れている」というよりは「後ろになにか付いてくる」ことに違和感を覚えたとのこと。MIC1/2は全然遅れている感じはないとのことでした。
めでたしめでたしと回線を元に戻し試聴継続です。
講師の印象ですが、「一通りボードやギターの接続が終わって、とりあえずジャーンと出した時の印象に極めて近い。」とのことです。キャビを入れ替えたりしながらクリーン、クランチ、オーバードライブを試してらっしゃいました。
(Cabinet Simulatorとして)非常によくできている印象とのことでエフェクトなども気に入ったご様子でした。
しばらくして「大谷さん、エンジニアとしてどうですか?」とのことでiPadをお借りし、マイクの種類を替えたりエフェクトの値を変更したりして音質をチェックです。
ギターアンプの収録の際に僕が使用しているマイクの組み合わせに近いものを選んでPTのchannelにデュアルモノラルにしてFaderでバランスを替えてレスポンスをチェックしましたが、非常によくできています。Faderを上げ下げした時の印象、と言うんでしょうか。「うん、どちらの回線にもちゃんと信号入ってきてるね。」というGt 録音前の感覚として違和感はありません。
キャビネットシミュレター、マイクモデリングとしてもよくできているのだと思います。
今回のLine Ampなどの特性もあると思いますが、OX側の出力を0dBに近い状態にして出力すると結構生々しい感じに、OX側を絞り気味で出力しLine Ampで増幅するとやや整った感じの音になりました。まぁ、当然といえば当然ですが、質感のコントロールとしては使っていけそうな印象です。
Afterwords
バックアップという観点からのOXですが、実際にアンプがドライブしているので、万が一OXが壊れた時にはキャビにマイクを立てて貰えば良いのね、と結論にたどり付きました。もちろん一生懸命作ったRigが使えないのは残念ですが、Liveで音が出なくなるよりは全然ましです。
よくできたアンプシミュレーターが多く存在していますが、「実際にアンプをDriveさせる」というのが性分にあっている方にはぴったりな製品だと思います。
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checker:Takumi Otani
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