United Studio Technologies
UT Twin87
前回のレビューからだいぶ時間が経ってしまいました。COVID-19で大人しかったイベントもだいぶ復活の兆しを見せ、ドタバタしているとあっという間に12月です。
さて、UT FET47で話題になったUnited Studio Technologiesから新しいマイクが出たのが2022年5月ごろだったでしょうか。Intro Priceの影響も有ってか、その価格も手伝ってSNSでも話題になっていた印象です。
なかなかタイミングが合わず試せなかったのですが、幸いにして知り合いに聞かせてもらったりしたのでその時の印象を中心に書いていきたいと思います。
Product Overview of UT Twin87
まずはサクッとSpecと参りましょう。
- Type
- Condenser Microphone
- Capsule
- UT Series, 34mm brass, insulated dual backplate K87
- Diaphragm
- Dual-diaphragm, 6 micron, 24k gold sputtered Mylar (PET film)
- Power Supply
- +48v Phantom Power (via XLR)
- Ground
- Pin 1 XLR (required)
- Frequency Response
- 20 Hz - 20 kHz
- Polar Pattern
- Cardioid, Figure 8, Omni
- SPL
- 136 dB (145 dB w/ Pad) @ <0.5% THD
- Output Impedance
- 27 Ω
- Amplifier Type
- Field Effect Transistor
- Self Noise
- >10 dB (cardioid setting, no pad, no HPF)
- Output
- Custom-wound UT Series transformer, made in USA
- Body
- Nickel electroplated, solid milled brass
- High pass filter
- 80Hz (12dB down point)
- Pad
- -10dB
- Connector
- 24k gold plated XLR, pin 2 HOT, pin 1 GND
- Mount
- Suspension type shock mount (coming soon)
- Dimensions
- Height: 220mm
- Diameter
- 55mm
- Shockmount Depth
- 190mm
U87も先日レビューP-414で触れたAKG C414と同様に長い系譜を持つマイクと言えると思います。1960年代に生産が開始されますが、ルーツをたどるとU67,U47といったマイクにも影響を受けています。録音に興味がある方で、(広い意味での)U87を見かけたことが無い、という方はほとんど居ないのでは無いか、というくらい有名なマイクだと思います。
とはいえ、パッと見た感じでVintage U87、U87Aiを区別することは難しく、僕も(Aiではない)U87を何度か使用したことはありますが、そのVintageの質感には惚れ惚れした記憶があります。
あて、このTwin 87ですが"Twin"(対の、双子の)通り、VintageとModernと呼ばれるモードがあり、Vintage U87 Vs. U87Aiの論争(?)に一つの解を与えています。好きな方を使え、ということなのでしょう。
僕のVintage U87とU87Aiの印象ですが、
- Vintage U87
- なめらかでいて抜けの良い中域が魅力のマイク。高域も耳に痛くなく聞こえる感じで世界中で使用されているのが納得できるマイク。
- U87 Ai
- Vintageに比べておとなしい印象で、Vintage U87と比べると、もはや
同メーカーの別のマイク
、と言っても過言ではない印象。
ちょっと炎上しそうな内容ですが、そのくらいの差を感じます。
Twin 87に話を戻しましょう。87
を冠している通りに指向性切り替え、-10dB PAD, HPF(80Hz)を搭載しています。見た目はそこまでコピーされていない印象ですが、U87Aiのサスペンションにはすんなり収まりそうです。ロゴプレート位置などはほぼ一致しています。ただ、重量がU87Aiよりある印象ですのでマウントの際には付属のサスペンションを使用したほうがよいでしょう。
比較の意味でU87AiのSpecです。
- 音響的動作原理
- 圧力傾斜型トランスデューサー
- 指向特性
- 無指向性, カーディオイド, 双指向性
- 周波数特性
- 20 Hz ... 20 kHz
- 感度 (1 kHz を1 k Ω負荷で)
- 20/28/22 mV/Pa1)
- レーテッド インピーダンス
- 200 Ω
- レーテッド 負荷インピーダンス
- 1000 Ω
- S/N 比, CCIR2) (rel94 dB SPL)
- 68/71/69 dB1)
- S/N 比, A-weighted2) (rel94 dB SPL)
- 79/82/80 dB1)
- 等価ノイズ レベル, CCIR2)
- 26/23/25 dB1)
- 等価ノイズ レベル, A-weighted2)
- 15/12/14 dB-A1)
- 最大 SPL for THD 0.5%3)
- 117 dB (カーディオイド)
- 最大 SPL for THD 0.5% プリ-アッテネーション入り3)
- 127 dB
- 最大出力電圧
- 390 mV
- マイクロフォンアンプのダイナミック レンジ
- A-weighted 105 dB
- 動作電圧 (P48, IEC 61938)
- 48 V ± 4 V
- 消費電流 (P48, IEC 61938)
- 0.8 mA
- 接続するケーブルのコネクタ仕様
- XLR3F
- 出力コネクタ
- XLR3M
- 重量
- 500 g
- 径
- 56 mm
- 長さ
- 200 mm
1) 無指向性 / カーディオイド / 双指向性
2) IEC 60268-1準拠: CCIR-weightingはCCIR 468-3に準拠、ピーク時:A-weighting はIEC 61672-1 に準拠、RMS
3) 入力シグナルを同等にして測定
最大音圧がTwin87のほうが大きいですね。KickのFrontも行けそうな印象です。またノイズも10dB以下とTwin87のほうが優秀です(これは測定方法に影響を受けると思いますが)。
PelusoもP-87というVintage U87のコピーモデルをリリースしています。これとの比較なども面白いでしょうね。
Sound Impression of UT Twin87
さて、実際の音に参りましょう。
今回はU87 Aiと比較してみた、という感じではなく、一つのマイクとしてTwin87を見ていく、とう形になろうかと思います。もちろん、U87(Ai)との印象での比較は起こりうると思いますが、比較がメインではないということはご了承下さい。
Twin87をご購入いただいた方(そうですね「inknさん」としましょう)から「あれ、良いっすよ!今度データ送りますね!!」と2,3の単独wave fileを頂き、聴いてみました。いくつかエピソードもいただけたので、「現場の声」としてご紹介できればと思います。
まずは定番「Vocal Mic」としての使用です。
簡単にTest RecしてVocalistと試聴した結果、今回はVintage Modeの質感が甚く気に入ったらしく即断でVintage Modeで録音を進めることになったそうです。
アコギも試してみたそうです。
これが難航(?)したそうで、演奏家がVintage Modeの質感もModern Modeの質感もどちらも気に入り、なかなかModeの決定に至らなかったとのこと、Twin87の優秀さを物語るエピソードかもしれません。
結果的には曲に合っている、ということでModern Modeが採用されたようです。
総合して、Vintage/Modern、どちらも使える(=Useful)な音のマイクといってよいでしょう
Afterwords
ここ数年「復刻」ではなくVintageのコピーが散見されますが、後継機種との差、みたいなものが垣間見れて面白いです。
ありがたいことにVintageの金額よりも安価ですし、ちゃんとメンテナンスされているVintageならいざしらず、出どころ不明な、コンディションの怪しいものを掴まされるリスクはありません。
Vocal以外にもDsのO/HやRoom、Pfなど何にでも使用できる安定感を持ったマイクだと思います。
date:
checker:Takumi Otani
United Studio Technologies,UT Twin87
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