TRIAD-ORBIT
マイクスタンドを再度見つめなおし、従来の不満を解決した画期的なスタンドです。
マイクスタンドというと、K&M,TAMA,OHASHIあたりがぱっと浮かびますが、多少の差はあれど似たような構造になっている印象です。
さて、TRIAD-ORBITがこのレビューに取り上げられているのですから、ちょっと違いがあります。早速見ていきましょう。
Product Overview of TRIAD-ORBIT
さて、従来のマイクスタンドとTriad-Orbitの差を見ていきましょう。
非常に特徴的なのが
- 三脚ベースのStraight stand に相当するTriad Standシリーズ(以下「Tシリーズ」)
- ブーム部に相当するOrbit Boomシリーズ(以下「Oシリーズ」)
- マイクアダプターであるMicro-Adaptorシリーズ(以下「Mシリーズ」)
の大きく3つのシリーズを組み合わせることで所謂「ブームスタンド」として組み上がるという部分でしょうか。録音の現場ではブームスタンドのほうが圧倒的に使用頻度が高いですが、Mシリーズは搭載しなくても3/8インチ(AKG規格),5/8インチ(SHURE規格)として使用可能です。
本日現在Tシリーズは
- TM(Triad Mini)
- 可変高:368-505mm
- 重量:3.7kg
- T1(Triad 1)
- 可変高:440-630mm
- 重量:4.33kg
- T2(Triad 2)
- 可変高:885-1535mm
- 重量:5.54kg
- T3(Triad 3)
- 可変高:825-1800mm
- 重量:6.46kg
- T3C(Triad C)T3にキャスターが搭載
- 可変高:925-1900mm
- 重量:8.1kg
- T3S(Triad 3S)T3のショートレッグバージョン
- 可変高:822-1799mm
- 重量:5.8kg
の6種類。Legのラチェットポジションの詳細はこちらのページをご参照ください。
Oシリーズは
- OM(Orbit Mini)
- 可変長:315-555mm
- 重量:1.93kg
- O1(Orbit 1)
- 可変長:455-955mm
- 重量:2.15kg
- OA(Orbit Arm)
- 可変長:393-635mm
- 重量:1.23kg
- O2(Orbit 2)
- 可変長:420-655mm
- 重量:2.83kg
- O2X(Orbit 2X)2種類のアーム部が付属,かつ分離可能
- 可変長:242-320mm/393-635mm
- 重量:3.1kg
の5種類。
Tシリーズ、Oシリーズに直接搭載可能な(=IO Quick-Change Coupler搭載)Mシリーズは
の2種類。すなわちMシリーズを搭載させないパターンも合わせると90パターン(6x5x3)のブームマイクスタンドを構築できます。
更にOA,IO-A1,IO-A2などを組み合わせれば2段階に曲がるスタンド等も作成可能です。
各ジョイント部はIO Quick-Change Couplerと呼ばれる方式でワンタッチで脱着可能。
アンビエント収録で使っていたT2にO1を取り付けてVocal録音用のロングブームにすることも可能です。また,T,O,Mシリーズは標準は5/8インチ仕様ですが,3/8インチへの変換も付属しますので日本国内でも困らないでしょう。
また,もう一つの特徴がTシリーズはTripodの開き方が4段階変更可能です。Ds周り等スタンドが混みあい脚が干渉しがちななか,ラチェットポジションを変更させることにより素早いセッティングが可能です。先に紹介したQuick-Change Couplerとのことを考えれば,先にTシリーズのみ配置して足場を確保,そのあとブーム部を搭載していく,というセッティングも可能でしょう。
おそらく百聞は一見にしかずです。
動画の1:47あたりからの使用方法ができるのは嬉しいですね。重心を上手く取ることでブームを長く設定できます。
2:09あたりからの使い方などは他のブランドのスタンドではまず不可能でしょう。
先日出張録音で行ってきたPfの収録ですが,マイクスタンドが7本になるというそれはゴチャッとしたものでした。TRIAD-ORBITであればかなり本数を減らせたと思います。
これは良し悪しが分かれそうですが,どっしりとした重量も僕にとっては好評価のポイントです。PA/SRの現場に持ち込むと運搬するアシスタントは嫌な顔しそうですが...。
またアクセサリーとしてIO-CやIO-Hシリーズなども発売されていますので1つの1シリーズにカメラを追加したり,照明を追加したりも可能です。M1,M2にSHURE規格=カメラ規格(1/4インチ)を搭載すれば,カメラの重量にもよりますが,固定カメラスタンドの出来上がりです。
Sound Impression of TRIAD-ORBIT
音,と言うと違和感を覚えますが,使用しての印象です。Annex RecのスタンドをすべてTRIAD-ORBITにしたわけでは有りませんが,お付き合いください。今回試したのはT1+O1の組合せです。TM,OMが発売されるまでは最小の組合せで,ちょっと大きめのショートスタンドという印象です。
組み立ててみての印象は「重い...」これに尽きます。6.48kg!内容物が入った2lペットボトル3本分以上です。これは安定します。Kickのマイクに使用してみましたが通常使っているスタンドよりレスポンスが良いです(あっさりしていてすいません)。ボトムの解像度が上がった,というか,Enhanced AudioのM600を初めて使った時の印象に近いです。通常のスタンドもレッグ部に砂を入れたり,オモリで制振したりと工夫をしていましたがそれ以上です。
何よりQuick-Change Couplerのおかげでセッティングが素早くなります。
現在TM+OM,O2X,T2を導入しようかと考えています。弊社の場合だとDsの録音時にマイクスタンドを一番使うことになるのですが,BassやGtの録音の時にはそこまで使用しません。最大限の恩恵を享受しようとすればやはり本数は必要になると思いますが,主要回線のみに使用頻度のバランスを上手く取れば効率的で音質の良いスタンドの構築が可能な印象です。
今回T1+O1+M1を導入してみて,他のラインナップも欲しくなり,現在以下のパターンを想定しています。
- TM+OM
- Kick用にベストなのでは?
- TM+O2X+M1x2
- ギターの録音にマイクを2本つかうことが多いのですがスタンドも2本必要です。O2Xを使用すれば(アームホルダー部のみ)1本で使用可能なのでは?IO-Vectorと悩むところです。
- T1+O2X+M1x2
- Ds収録時にTomのマイキングに最適なのでは?
- T2+O2X
- DsのOrverheadに最適なのでは?
- TM+O2X(+M1x2)
- Ds収録時にSnare Topに2本のマイクを使うことがあるのですがO2Xを使えば,かなりスタンド周りがすっきりするのでは?
Quick-Change Couplerの恩恵を最大限に享受するにはIO-H™Mounting Head,IO-H2™Mounting Head,IO-H3™Mounting Head,M1,M2をたくさん揃えないと行けないように感じますが,IO-HがTシリーズ1本に1個,Oシリーズには1個または2個付属ますので別で更に購入,という必要は少ないのかもしれません。
ただ,よく交換する主要マイクには搭載されていると便利だと思います。
実際現在IO-Hが2個ありますが,一つはO1の先端に,もう一つはよく使用するマイクホルダーにつけてあります。
またラジオ、MAスタジオなどのあまりスタンドの位置に変更が無い環境では、IO-W,OA,IO-A1,IO-A2を組み合わせて対応することが可能では無いかと思います。
IO-VMやIO-Wなどのアクセサリーも用意されており、これからも更なる充実を見せそうです。
Afterwords
長期間使用しての強度試験みたいなことはできていませんが,かなりしっかりしていると思います。
重たいマイクを使う場合にはOrbitのハウジングを上手く使えば確実に固定できます。
本国のカタログの使用例を見ているだけではかなりの可能性を秘めたスタンドです。
使い方はアイデア次第,と行っても過言ではないかもしれません。Annex Recにもじわじわ増やしていこうと思います。
date:
checker:Takumi Otani
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