TOP WING
FLUX
今回はケーブルを見ていくことにしましょう。以前ケーブルをレビューしたのはいつだっけ、と検索してみると2018年のTACHII PRO SOUND TPS7128が最後でした。
久しぶりのケーブルレビュー、見ていくのはTOP WINGのバランスケーブルFLUXです。早速見ていきましょう。
Product Overview of FLUX
実はリリース前にTop Wingさんがケーブルを新開発らしい
という情報をとある消息筋から得ていました。
Specと参りましょう。
- 構造
- 4芯シールド(Star quad)
- 外径
- 3mm
- 導体径
- 29AWG(OFC x7本)
- 導体抵抗値(1m)
- 198mΩ
- ツイストペア 117mΩ
- 4芯 55mΩ
- シールド抵抗値(1m)
- 40mΩ
- 静電容量(導体-シールド間) (1m)
- 152pF
- 静電容量(Twist-Pair) (1m)
- 262pF
- 静電容量(4芯) (1m)
- 414pF
- 静電容量(導体-導体間) (1m)
- 89pF
- 静電容量(対角) (1m)
- 89pF
- 静電容量(対角Twist-Pair) (1m)
- 158pF
- 静電容量(隣接) (1m)
- 87pF
外径が3mmということで、NEUTRIK NC3*XXの最小径3.5mmを下回っていますからNC3*XXに取り付ける際には、収集チューブのようなもので外径を稼いでやると良いでしょう。
まだ、導体径は29AWGということでmmに換算すると、0.286mmとのこと*1、なかなかの細さです。導体抵抗が他のケーブルとくらべてやや高いように感じますが、それは仕方ありません。導体抵抗値は長さに比例し断面積に反比例します。他のケーブルと比較して、同断面積の導体抵抗値
を算出してみましたが、FLUXもおかしな抵抗値とは感じませんでした。もちろんSpecだけで見ると、FLUXよりも同断面積導体抵抗値が小さいケーブルや単純に導体抵抗値が小さいケーブルは数多く存在します。ただ、ケーブルのキャラクターというのは導体抵抗値だけでは語れません。素材、誘導率や静電容量など複数のパラメータが絡み合ってケーブルのキャラクターを作り上げている印象です。
さて、細いだけあって取り回ししやすく、Beldenの88760のような硬さもありません。試せていませんが、ラック内配線やパッチケーブルなどには向いていると思います。NC3*XXの最小径より細い、と書きましたがはんだ付けは可能です。ラック内であればさほどケーブルにテンションが掛かることも無いでしょうし、むしろスッキリ作れるので良いかもしれませんね。
さて、どういうコネクターで試聴しようかな、と思ったのですが、ちょうどXLR x4=DB25のケーブルを作成する必要があったのを思い出し、3mで作成してみました。29AWGということでまずWire stripperの手配からスタートです。芯線がそこまで太くないのでDB25側も88760などの18AWGよりもはんだ付けは楽です。そういえばDB25に最適なゲージって幾つなんでしょうか...。24-25AWGくらいかなとは思うのですが...。
Star quadなので対角に配置された、赤+白をひとまとめに、黒と青をひとまとめにしてはんだ付けです。芯線のシースがうまく剥がせればさほど難しいことはありません。あえて言うなら細い半田のほうが楽でしょう。
Sound Impression of FLUX
というわけで(?)XLR=DB25のケーブルにして試してみました。ひねくれずにXLR=XLRにすればよかったのですが、上記の通り、固定設備系で使用することが多いだろう、との判断です。
ADCのDB25 inに接続し、Loop BackしないようI/Oをセレクトして、DAWからのPlay backを試聴開始です。ソースはよく使用するReference Sourceを使用しました。
長さに不公平があるとジャッジに影響する可能性があるので基本的に長さは同じくらいのケーブルを接続しての試聴です。
まず視聴しての印象ですが、いつも使用しているケーブルと比べるとややきらびやかに聞こえます。新しいから、という側面も否定できませんが、過去に使用した他のケーブルの新品試聴時とは少し異なる印象です。非常にフレッシュで少し上品な印象を受けます。あと音がくっきりします。しなやかさの中にシャープさが存在するというイメージです。
しばらくエージングをさせて、改めて視聴してみました。
スタジオで使用しているHA→ADに使用するケーブルとの比較です。対抗馬となったケーブルの詳細は避けますが、Beldenやmogamiなどです。
DB25を2 port搭載しているADCがあるのでInput 1-8のportにFLUX、Input 9-16のportに比較ケーブルを接続しての比較です。1-8portのFLUXはXLR=DB25の構造ですが、9-16はXLR=XLR+XLR=DB25の構造です。Studioの利便性を考慮してパッチ盤構造にしてあるので接点が増加しますが仕方ありません。
現状でもそれなりのケーブルを用いていますので、極端に差が出るという感じではありませんが、FLUXは空間にゆりとりが増え、高域が上品になったような印象です。低域が痩せると言ったことは全くありません。非常に好印象です。
実際の録音で使用してみました。SourceはVocal,HH,Rideです。
上記と同じ印象で、くっきりしなやかな音です。シャープでアタック、トランジェントがしっかり見えます。Rideの低域の存在感もしっかりしています。
Vocalistも「歌いやすい!」と言ってくれました。
ここまで印象が良いとすべてこれに変えたくなりますね。
MUSIC PLANT DB FLUXシリーズを作って選択肢を増やしておこうと思います。
Afterwords
難点を伝えるとすると、複数本同時に使用した時、細いが故に絡まりやすいです。その意味でRack内配線などには非常に向いていると思います。
その意味ではFLUXを用いて、Interconnect cableとして製品化されているTOP WING XLRインターコネクトケーブル一覧,TOP WING RCA-RCAケーブル一覧,TOP WING White Barrelシリーズは非常に魅力的な製品群と言えると思います。
Liveの現場で使用するのは流石に怖いですが、Recであれば意外とありかもしれません。
楽器の音もしっかりキャプチャーされる印象なのでエフェクターのパッチケーブルにも良いと思います。
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checker:Takumi Otani
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