Steinberg
UR824
さて,今回はSteinbergのインターフェイス UR824を見て行きます。
Steinberg nシリーズでもおなじみのD-Preを8基搭載したインターフェイスです。早速見ていくことにしましょう
Product Overview of UR824
PCとの接続はUSB2.0を使用します。レートは24bit / 96kHz まで対応しています。最大入出力はアナログ8+ADAT8 x2の最大24です(88.2/96kHzはADAT端子はS/MUXとして作動のため最大16ch)。
つまりADAT outが可能なHA(MIDAS XL48,audientASP008など)が2台あれば合計24chのマルチトラック録音が可能です。UR824を3台でも可能ですね。ConsoleのDirect Outから出力が可能であれば3UでLive収録も可能です。
MR816csxでもそうでしたがDSP エフェクトとしてSweet Spot Morphing Channel Strip とREV-X を搭載しています。
入力端子はNEUTRIKのCOMBOコネクター,出力端子は1/4" バランスフォーンです。2個だけでもいいのでXLR欲しかったですね...。
+48Vは2chずつです。入力端子のうち1/2はフロント側に用意されており,Hi-Zにも対応します。
Headphone Outも2個用意されており,UR824のセットアップ画面でHeaphone1/2にそれぞれ別の出力を割り当てることが可能です。DAWにもよりますが,C/R MIXとCUE MIXを特にCUE BOXなど用意する事なくUR824のみで出力可能です。
WCのI/Oを搭載しているのもありがたいですね。拡張の際には必ず必要になりますから。
さて,UR824の売りの一つであるD-PREをもう少し掘り下げてみてみましょう。私見ですがHAはマイクの信号を増幅する非常に重要な部分であり,その個性はMixの最終段まで影響します。また,EQやコンプで変更することができないキャラクターを持ち,EQやコンプなどの掛かり方を左右する重要な部分です。
D-PREが初めて搭載された製品はYAMAHA nシリーズだったように記憶していますがその音質は高級HAと比べても遜色の無いものでした。
また高級HAが強力な個性を持つものが多い中,D-PREは
色づけは プラグイン・エフェクト等を使って DAW 上でじっくり行うことを前提に丁寧にチューニングされています。
とのこと。トラック数に制限の少ないDAWが標準となっている昨今だからこそのチューニングといえるのかもしれません。
Sound Impression of UR824
さて,幸いにして実際の録音でD-PREを試すチャンスを得ました。といっても僕に依頼いただいた録音ではなく,UR824を使用して録音するところに邪魔しに遊びに行ったのです。
その時のバンドの編成は,Ds,Bass,Gt x2というインストの収録です。メンバーでギターのckhsくんがEngineeringも手がけるとのことだったのですが,「初めての経験なのでいらしていただいてアドバイスなんかいただけると...。」との要請を受け,邪魔しに遊びに行きました。
今回用意したUR824 1台のみなので同時に録音できるのは8trまでです。順序としては
- Clickにそってガイドギターを録音
- Dsの録音
- Bassの録音
- Gtの録音
と進んで行きました。
ちなみにDAWソフトはCUBASE 6.5,platfomeはApple MBP OSはLionです。
準備中にノブなどをいじってみましたがしっかりしています。安心設計ですね。
Dsは変則的な構成でKick,Sn,FlootTom,Cymbal,HHというセットでした。Kickに2本,Snに2本O/Hをステレオで,HHとFloorにそれぞれ1本の8chで収録,BassはLineとMicでの収録,Gtはそれぞれコンデンサー+ダイナミックでの収録でした。
ざっくりGainをとっているときに感じたのがカップリングが優秀ということです。当たり前ですが,ステレオソースを入力して同じ位置にノブを設定するときちんとステレオソースになります。位相感も好印象です。
ぱっと聞いた時の印象は「素直でフラットな音」という感じです。個人的にはもう少し中域にパンチが欲しいかなぁと思いましたが,Cubaseの音質も影響しまうからちょっとわかりません。どこかのタイミングでADAT outputを直接聞いてみたいと思います。
面白そうだったのでAudio dataをもらってちょっとMixしてみました。
僕は録音の時にはホームであるAnnex Recの高級機材をふんだんに使います。
録音時に音をほとんど決めてしまいますし,複数のHAを使うがゆえにMixしやすい部分も多々あるのですが,今回はすべてD-PREを使用しています。さあ,どのような印象になるのか楽しみです。
とりあえずラフにバランスを取っていって感じたのがまとまりが良いということ。同じHAゆえのまとまり感というんでしょうか。ただ,すべてが同じ回路と通過することによる分離の悪さ,みたいなものは感じません。粗悪なI/Fを使用した録音だとだとMixの途中から分離が悪くなる印象があります(道具のせいにしてもダメなんですけど。ハイ。)。
GtにDDLやRevをかけた時も素直な反応です。
今回はトラック数は少なめでしたが,これが多くなってくると前述「中域のパンチ」は却って中域の飽和を招くのかもしれません。
BassやFloorの音がスカスカということはありませんでし,Mixがやりづらいと感じたことはなかったので好みといってしまってよいでしょう。
Afterwords
電源供給がACアダプターなのがちょっと残念ですが,アダプター部のコネクターはメガネ端子が使用されていますのでこういったケーブルなどで音質向上も望めるでしょう。
Cubase Multi Recording Packというお買い得なパッケージもあります(最近意外とこれが好評です)。
UR824を用いたMultiTrackLiveRecのレポートが出来るかもしれません。その時には加筆いたしますのでお楽しみに!