Solid State Logic (SSL)
SSL 2 / SSL 2+

Happy new Gear!! あけましておめでとうございます。

今回は、やっと試すことができたSSL 2+を見ていきましょう。

リリース情報が流れたときには僕の周りでも結構話題になりました。それはそうです。多くのスタジオ業務機を製造してきたメーカーが、ある種、コンシューマー機といっても良い、Audio Interfaceを発売する、となったのですから。
FerrariやLamborghiniが、都市型コンパクトカーを、いや軽自動車、をリリースした、みたいな感じでしょうか。

SSL JapanのSズキさん、いつもありがとうございます。

Product Overview of SSL 2 / SSL 2+

SSL2とSSL2+の違いをまず記載しましょう。SSL 2+はその名の通りSSL 2に追加機能があると解釈していただいて良いと思います。表にまとめまてみました。

Func.SSL 2SSL 2+
Input22
Legacy 4K
Output24
Phones12
MIDI-IN/OUT

当たり前ですが、SSL 2に対してSSL 2+のほうが上位機種となります。一人で制作を進めるのであればSSL 2で問題ないと思いますが、Duo等2人以上の人間が関わる状態になってくるとSSL 2+のほうがよりストレスレスに進行できると思います。

基本的なCore Unitは同じでDriverも共通です。Windowsに対してはドライバのインストールが必要ですが、MacはCoreAudioで作動します。

2chあるHAを見ていきましょう。どちらも機能は同じで、入力端子はNeutrik Comboコネクターが使用されています。Mic InputはXLR、Line/Inst Inputは標準プラグとなります。Line Inputを利用するにはパネルの[LINE]ボタンを、Line InをInstrument Inputとして使用するには合わせて[HI-Z]ボタンを押す必要があります。

+48V Phantom Powerも各ch毎に装備しており嬉しい限りです。

SuperAnalogue™の記載がないのでHA回路はSiXやXLogic SuperAnalogue ™ CHANNEL, X-RACK XR621とは異なるようです。とはいえ、SSLが設計したHAですから期待して良いのではないでしょうか。この辺りは後ほど見ていきましょう。最初はNucleusのHA+I/Fのセクションを抜き出したものかなと思ったのですが、どうやら違うようです。

また、Direct Monitoringが可能なようにMonitorのバランスノブも存在します。

更にSSL 2+ではPHONESが2系統A/B搭載されています。基本的にはDAWでOutput1-2と表示されるものがPHONE Aと背面のOutput 1-2にアサインされています。DAW上のOutput 3-4は基本的には背面のOutput 3-4にアサインされていますが、Phone B ノブの[3-4]ボタンを押すことにより、Output 3-4の信号を出力させることが可能です。

モニターMixのバランスを変えたいときなどに有効です。

さて、見慣れないスイッチにLegacy 4Kボタンです。このスイッチは

SL 4000 シリーズコンソールのサウンドにインスパイアされた、あらゆる入力ソースに アナログの色づけを施す "4K" スイッチをそれぞれのチャンネルに独立して装備(SSL Japan websiteより転載)

とのことです。後述しますが、4kHzがBoostされるわけではありません。Rock Consoleと言われたSL4000E/Gのアナログ回路をシミュレートできるプリセットEQのようなものだと考えていただいて良いでしょう。

音作りの処理をAD以前(=アナログ段)で行うか、DAW上(=Plug-ins)で行うかの選択肢は多いに越したことはないですし、アナログEQ/Dynで音作りを瞬時に決定するのは慣れない方にはハードルが高い作業かと思います。その意味でも4Kボタンは理にかなっています。押してみて、外してみて気に入ったほうを使用すればよいだけなので録音直前に音作りでドツボにハマることもないでしょう。

心臓部にはBurr-BrownやAnalog Deviecs, TIと並び称される、AKM 社製 AD/DA コンバーターが採用されています。

Sound Impression of SSL 2 / SSL 2+

さて、実際の音に参りましょう。と言ってもInterfaceですから操作感と全体的な音質を中心に見ていきましょう。

HAのLabelが0...10なので正確な数値は不明ですが、取説に、

Frequency Response
± 0.1 dB
Dynamic Range (A-Weighted)
110.5 dB
THD+N (@ 1kHz)
&tl; 0.0015 % @ -8 dBFS, < 0.005 % @ -1 dBFS
Maximum Input Level
+5.5 dBu@Mic
+24 dBu@Line
+15 dBu@Instrument
Gain Range
62 dB
Input Impedance
1.2 kΩ@Mic
10 kΩ@Line
1 MΩ@Instrument

@48kHz, Bandwidth: 20 Hz to 20 kHz

なる記載を見つけました。PADは搭載されていませんがLine inは+24dBuでClipするよう設計されているようですので外部機器の接続も安心です。

比較の対象となるのは(気の毒ですが)、NucluesやSSLのSuperAnalogue™機材です。

本当はDsの録音などできると面白かったのですが、流石にSSL 2 / 2+でDsを録音する人は居ないかな、と思いますので。

厳密な比較ですとMicをY-paraして同じスペックのPCを2台用意して...みたいな形になるのだと思いますが、流石に価格帯の差を考えるとそれもどうかと思いました。

声で試してみました。ダイナミックマイクを繋いで声を出してみます。SSLらしいというとちょっと違うかもしれませんが、なるほど、素直、といって良い音質です。

[4K]ボタンを押してみました。高域がブーストされたような感じです。肉声ということもあり、目立つのは5-10kHzあたりです。Qがかなり広めか、4.5kHzあたりから ShelvingでBoostされている感じです。

どのへんがBoostされているのか気になったのでOCSを使用して調べてみました。Loopするのが怖かったのでiPadのアプリを使用します。

iPadとSSL2+を接続し、1kHzでレベルを合わせます。まず気になっていた5kHz,10kHzあたりsine waveで出力しCh1,2それぞれ[4K]を押したり解除したりしてみました。

予想通り数dB Boostされています。16kHzでもその傾向です。周波数を下げていくとBoost幅は小さくなっていきますが、25Hzでも少し音量は変化します。

何でもかんでも[4K]ボタンを押せばよいかというとそうは思いませんが、例えばバッキングのアコギはノーマルで録音しておいて、Soloやオブリっぽいフレーズは[4K]を押す、みたいな使い分けが想像できます。

音量も少し上がりますから「前に出したい素材」に対して使用するとRec、Mixともに良い結果を生むと思います。

Afterwords

初心者向けの機材を専門的な数値を用いて解説する、というレビューになってしまいましたが、周波数などはDAWでEQをかけるときに皆さんも必ず対峙するものですのでご容赦ください。

おそらくSSL 2 / 2+で録音する方々は、Key、Acoustic Gt、Vocalをマイクで拾い、残りの楽器はPlug-ins synthを使う人がほとんどではないかと思います。

そう考えるとPlug-ins synthに埋もれない素材を収録できる、という、しっかりしたHAを持つSSL 2 / 2+はこれから始める方に広くお使いいただけるIFだと思います。

Solid State Logic (SSL),SSL 2+ 画像

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checker:Takumi Otani

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