Solid State Logic (SSL)
VHD Pre module For API 500 format racks
今回取り上げるのは500シリーズ対応モジュールとして先般発売されたVHD Pre module For API 500 format racksです。
弊社スタジオにはXLogic E-signature Channelがありますが,VHD回路自体が目的でE-signature Channelを使用することも少なくないので興味津々です。さっそく見ていってみましょう
Product Overview of VHD Pre module For API 500 format racks
さて、届いたVHD PREをみてみると意外と軽く、シンプルです。
上から
- SIGNAL LED
- DRIVE ノブ
- VHD IN ボタン
- GAIN ノブ
- TRIM
- HPF
そして
- HI-Z
- +48V
- PAD 20dB
- Phase
ボタンが並びます。
SIGNAL LEDは以下のように色が変わります。
LED COLOR | +24dB Scale | +18dB Scale |
---|---|---|
Green | -24dBu ... +4dBu | -24dBu ... 0dBu |
Yellow | +4dBu ... +21dBu | 0dBu ... +16dBu |
Red | +21dBu | +16dBu |
Scaleはジャンパーで切り替え可能です。
PADはHA回路以前に配置されているのでこちらを使用すればLINEレベルの信号も受けることが可能とのこと。
HI-ZはInput Zを1.2kオームから10kオームへ切り替え可能とのです。
これはE-signature channelには搭載されていなかったのでうれしいですね。
E-signature channelと比較しながらみてみましたが構造は非常に似ています。VHDの2ND/3RDが逆なのと増幅率でしょうか。
今更ですが、VHDとはVariable Harmonic Driveの頭文字です。2次、3次倍音を可変調整可能な回路で、Alpha シリーズや前述のXLogic E-signature Channelに搭載され、X RackにもVHD PRE Moduleがあります。
今回のVHD PRE 500はこのX Rackのバージョンを500シリーズ用にリサイズした、というのが一番近いように感じます。
比較のために、手元にX Rackが無かったので比較として引っ張りだしてきたのはXLogic E-signature Channelです。
Sound Impression of VHD Pre module For API 500 format racks
ちょうど VocalのOverdubbingがあったのでクライアントの許可を得てE-Signature ChannelとVHD Pre500を使用させてもらいました。
あと、いくつかのソースをやはりパラって入力しHi-Zなどをチェックしてみました。
正直E-Signature ChannelとVHD Pre500を比較するのは価格の観点から若干ためらいがありました。が、無いものは仕方ありません。
開き直ってチェックです。
参考までに電源環境はどちらも120V、500スロットはapiのLunchboxです。
その後どちらも同じコンプレッサーを通過し、同じI/F経由で録音しました。
あたりまえですが、Gainをほぼ同じ位置にすれば同じ音量が得られます。
ただ、前述のとおりVHD PRE500の増幅が+20 - +75dBなのに対してE-signaure Channelは+20 - +70dBです。
DAW上のメーターの振れ、Compressionを同じになるように設定して録音開始です。
録音の詳細は省きますが、録音後クライアントに「どっちが好き?」と聴かせたところ彼の表情は「?」です。
「ごめん、何が違うのかよくわかんない...」
VHD PRE 500なかなか健闘しています。
僕の感じた印象ですとVHD PRE500の方が少しパキっとしている感じですがLUNCHBOXの影響も否定できないと思います。よく言うと500モジュールのほうが抜けが良い,E-signature Channelのほうがややマイルド,という感じでしょうか
彼もいわれてみれば確かにそうかも、とのことでしたが、価格差を考えれば十分だと思います。
もちろんE-singnature channelの価格はHA回路がすべてではありません。VHD PRE500と同時期にリリースされたListen CompやDyn回路、Black/Brownノブ切り替え可能な4バンドEQも搭載しています。
ちょっと話がそれますが今回VHDとListen CompがリリースされたのでVPR Allianceスロットを使用してE-signature Channelを「回路上」再現することが可能です。4つそろえればE-signature Channelと同額くらいになるんでしょうね。
話を戻しましょう。
抜けよく楽器の音を録音したい場合、VHD PRE500は非常に優秀な味方になってくれそうです。
さて、ラインソースをパラっていろいろ試してみました。
ここではE-Signature Chanelとの比較ではありません。オリジナルに対してVHD回路やHI-Zがどのように効くのかをみていった感じです。ケーブルなどの影響も最小限にしたかったのでまず信号をにパラって1つはVHD PRE500を通過させ、もう一方はそのままI/Fのインプットへ入力です。
同じプラグインを入れて片方だけphaseさせたり左右にパンを振って聴いてみたりしました。
Original Vs. VHD OFF
VHD回路をOFFにしてPADを入れ、VHD PRE500を単純に通過させてみました。
位相反転させても高域がうっすら聞こえます。聞こえるということはオリジナルとなにがしか違うということで、この辺が前述のぱきっとした感じにつながっているのでしょう。
Original Vs. VHD 2ND
VHD回路をアクティブにして2NDの状態にします。
ちょっと音量が変わるのでトリムで調整します。11時くらいのポジションでちょうど良いでしょうか。
先ほどと同じく位相反転させてみましたが、高域の残り方がOFFの時より多めな印象です。
Original Vs. VHD 3RD
VHD回路をアクティブにして3RDの状態にします。
やはり音量が変わるのでトリムで調整します。10時半くらいのポジションでちょうど良いでしょうか。
先ほどと同じく位相反転させてみましたが、さらに高域が目立つ感じがします。
単体で試聴するとそこまで変わっている感じはしないのですが、結構違うもんだな、という印象を受けました。
かつてApha Channelのレビューの時にも搭載されていたVHD回路をMIXの時に使用した記憶がありますが、オケのなかで試すと分かりやすいと思います。
Hi-zとの組み合わせも考えれば結構いろいろな質感の微調整が可能な印象です。
録音だけではもったいない無いな、と感じた僕はちょうどあったSRの現場に持ち込んでみました。api 500Slot 100VACでVocalの回線に使用です。
HAアウトを ミキサーのLine Inに入力し、SoloでLevelを調整します。モニターのチェックなども行いましたが気になるような差はありません。
ただ実際にアンサンブルの中で使用してみるとVocalの存在がくっきりしています。音量を下げても埋もれづらい、という感覚です。
Afterwords
こういった若干エッジ感のあるHAがあるといろいろ便利そうですね。
録音のみならずSRでも使えるように欲しくなりました。
I/F搭載のHAに飽きてきた方、特に500Slotお持ちの方、ぜひ選択肢に加えてください。
date:
checker:Takumi Otani
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