Solid State Logic (SSL)
THE BUS+

製品のリリースからだーいぶ時間が経ってしまいましたが、今回はSSLの新製品 THE BUS+を見ていきましょう。個人的に、久々に"ど"ストライクな商品がSSLからReleaseされて試すタイミングを調整していたのですが、なかなかにタイミングが合わず今回やっと試すことができました。

すでにいろいろレビューが出回っていると思いますが、購入する方の一助になれば幸いです。

Product Overview of THE BUS+

SSL THE BUS+ Front Panel

THE BUS+は2UのDual mono/Stereo/MID-SIDE compressorです。ほぼ左右対称に配置されたDyn Controls/Meterと中央に[MODE]が配置され、その下部にはD-EQ(Dynamic EQ)が配置されています。

先にSpecと参りましょう。

本体及びBUS Compressor Audio Performance
測定項目測定値測定条件
Input Impedance10 kΩ-
Output Impedance60 Ω-
Maximum Input & Output Level+27.5 dBuOperating Level Modes 0 dB/-5 dB, 1% THD
Frequency Response±0.025 dB
< 1 Hz
> 200 kHz
Bypassed, 20 Hz to 20 kHz
Bypassed, -3 dB low cut-off
Bypassed, -3 dB high cut-off
±0.01 dB
< 2 Hz
> 180 kHz
Compressor In, 20 Hz ... 20 kHz
Compressor In, -3 dB low cut-off
Compressor In, -3 dB high cut-off
THD+N-95 dB / 0.0017% typical
-106 dB / 0.0004% typical
Bypassed, 1 kHz @ 0 dBu
Bypassed, 1 kHz @ +20 dBu
-88 dB / 0.004% typicalCompressor In, 1 kHz @ 0 dBu
Noise-95 dBu typical
-90 dBu typical
-89 dBu typical
Bypassed
Compressor In
4K Mode In (any intensity)
Dynamic Range122.5 dB
117.5 dB
Bypassed
Compressor In
Crosstalk< -118 dB
< -110 dB
< -90 dB
Bypassed, 20 Hz @ +24dBu
Bypassed, 1 kHz @ +24 dBu
Bypassed, 10 kHz @ +24 dBu
Make-Up Gain Precision< 0.003 dB- 10 dB … + 20 dB
Stereo Matching< 0.05 dB
< 0.02 dB
< 0.1 dB
Bypassed
In, 1 kHz @ 0 dBu
Dual Mono, any setting gain reduction <8 dB
D-EQ Audio Performance
測定項目測定値測定条件
Frequency Response (20 Hz - 20 kHz)±0.05 dB
< 2Hz
> 200kHz
LF In, 20Hz … 20kHz
LF In, -3 dB low cut-off
LF In, -3 dB high cut-off
±0.05 dB
< 2Hz
> 200kHz
HF In, 20 Hz … 20 kHz
HF In, -3 dB low cut-off
HF In, -3 dB high cut-off
THD+N-88 dB / 0.004% typical
-81 dB / 0.008% typical
LF In, 40 Hz @ 0 dBu
HF In, 10 kHz @ 0 dBu, 40 kHz BW
Headroom> 27 dBLF In, HF In
Noise90 dBu typical
-87 dBu typical
LF In
HF In
LF Gain Accuracy
HF Gain Accuracy
±0.05 dB typicalLF In, 40 Hz @ 0 dBu: -10 dB to +10 dB
HF In, 10 kHz @ 0 dBu: -10 dB to +10 dB
Stereo Matching< 0.05 dB
< 0.1 dB
< 0.1 dB
LF/HF In, 20 Hz to 20 kHz @ 0 dBu
LF In, 40 Hz, any gain change
HF In, 10 kHz, any gain change
Power
Power SupplyAuto-Ranging 100-240 VAC
Operating Power38 Watts
Sleep Power<1 Watt
Auto-Sleep Power10 Watts
Physical
Size480mmW x 88.9mmH x 328mmD
weight5.92kg
Box size550mmW x 225mmH x 470mmD
Connectors(Audio I/O)
InputsFemale XLR x2
External InputsFemale XLR x2
OutputsMale XLR x2
External SendsMale XLR x2
Assign1 pin = ground / 2 pin = Hot / 3 pin = cold

なかなかのSpecですね。周波数特性は±0.025dB@20Hz … 20kHz 、Headroom=+27.5dB、ここだけでも相当の数値です。

次にKey Featuresを記載します(SSL Japan siteからの抜粋です)。

XLogic G-Compと単純に比較はできませんが、かなり多くの機能を搭載しています。

Panel Layoutを見ていきましょう。前述の通りControlが左右に、中央にMODE/Bypass sectionが配置されています。

まずはMODEですが、

の4つの作動を選択可能で、それぞれCH1/CH2 Controlとの兼ね合い/挙動は、以下の通りです

Classic Stereo
SSL Bus Compressorの定番の操作モードです。ステレオのソースで使用するように設計されており、ユニットの左側にあるコントロールで、左と右の両方のチャンネルの設定を決定します。右側のコントロールは無効で、このモードでは何の機能も持ちません(LF/HF GAIN D-EQ コントロールは例外です)。
Σ S/C Stereo
もう一つのステレオ動作モードです。[CLASSIC Stereo]同様ユニットの左側にあるコントロールで、左右両方のチャンネルの設定を決定します。このモードでは、左右のSide-Chain Signalは、個別に整流されるのとは対照的に、一緒に合計されます。このモードでは、Bus Compressorはステレオソースのモノラルコンテンツ(キック、スネア、ベースなどの楽器)に対して「より敏感に」反応するようになります。Classic StereoとΣ S/C Stereoを切り替えて、コンプレッションする素材にどちらが適しているか試してみてください。
Dual Mono
これは説明不要でしょう。
このモードは、Bus Compressorを2つの完全に独立したモノラル処理エンジンとして設定します。左側のコントロールはチャンネル1の設定を、右側のコントロールはチャンネル2の設定を決定します。
MID-SIDE
これも昨今広く使用されている印象です。
Mid-Sideエンコード/デコード回路を内蔵しており、本体の左側で「Mid」信号を、右側で「Side」信号を処理することができます。M/Sはマスタリングで広く使われている印象ですが、Plugin Allianceの製品はM/S処理できるものが多い印象です。

MODE 切り替えボタンの左右には[CH 1 IN]/[CH 2 IN]が配置されています。お察しの通りBypassボタンとして機能します。Stereo Modeの際には[CH 2 IN]は無効になります。

さらに[CH 1 IN]/[CH 2 IN]はOverload Indicatorとしても機能します。THE BUS+のClipping Levelは+27.5dBですが、Signal Levelが+26.5dBに達するとボタンが赤く光ります。
EXT S/C INを含む、ゲイン増加をもたらす可能性のある、あるいはオーバーロードする可能性のあるすべての内部回路の出力で、オーバーロードの検出が行われます。

THE BUS+がMID-SIDEモードの時、[CH 1 IN]を長押しするとMID Signalが、[CH 2 IN]を長押しするとSIDE Signalがソロになります。スイッチは黄色に点滅し、ソロであることを示します。もう一度スイッチを長押しすると、ソロが解除されます。ソロにした Side 信号を聴く方法は、好みに応じて2通りあります。デフォルトでは、Side Signalは左右の出力に同位相で出力されます。これはSettingsメニューで変更することができ、M/S Decorderを通過した後に表示されます(例:右出力に位相のずれたSide信号が表示される)。

[CH 1 IN]と[CH 2 IN]のスイッチを同時に2秒間、または点滅し始めるまで押し続けると、THE BUS+をSLEEPモードにすることができます。スリープモードでは、ユニットを非常に低い電力状態(1ワット未満)にし、ユニットがスリープから覚めるまでオーディオレールをシャットダウンします。 MODEスイッチを押すだけで、The Bus+をスリープから復帰させることができます。SDGsへの対応もバッチリですね。

さて、その下にはD-EQと呼ばれるDynamic EQのスイッチが配置されています。これをご覧頂いている方の中でDynamic EQがどういう機能かわからない、という方はほぼいないと思いますが、念のため簡単に解説しておきます。

通常のEQはCut/Boostは設定した値で機能し続けます。その意味でStatic(静的な)というべきです。一方、Dynamic EQはDynamic(動的な)という形容詞の通り、掛かったり掛からなかったり、または掛かる深さが変わったりします。こう書くと壊れているようですが、Dynamicsの代表格、Compressorも信号がThresholdを下回ってるときには信号は処理していません。これと同じようなイメージを持ってもらって良いと思います。

Dynamic EQはプラグインでは多く見かけますが、Hardwareで搭載していたのはBSSくらいでしょうか。最近のDigital ConsoleにもInsert Effectとして搭載されているものもありますね。

閑話休題
スイッチ類の説明に参りましょう。

HF BELL
高域のフィルターの種類をShelvingからPeaking(Bell curve)に変更します。
HF FAST
HF D-EQ バンドの時定数を、Attack=1ms、Release=50ms に変更します。スイッチは白色に点灯し、HF FASTが有効であることを示します。通常、Attack=3ms、Release=50msに設定されます。スイッチを押し続けると、3つ目のAUTO設定が選択できます。スイッチはマゼンタ色に点灯します。
AUTOの時定数は、Attack=10ms、Release=AUTOです。
LF FAST
LF D-EQ帯の時定数を、Attack=10ms、Release=50msに変更します。通常設定は、Attack=30ms、Release=100msです。スイッチを長押しすると、3つ目のAUTO設定が選択できます。マゼンタ色に点灯します。
AUTOの時定数は、Attack=10ms、Release=AUTOです。

これらのスイッチの左右に[D-EQ]のControlノブがあります。

Push-Pushノブとなっており、D-EQ のLF/HFエンジンを個別にバイパスすることができます。LF シェルフのデフォルト周波数は 60 Hz です。HF シェルフのデフォルト周波数は 6 kHz です。HF シェルフをベルに変更した場合(HF BELL スイッチを使用)、デフォルトの周波数は 4kHz となります。
これらのポイントは変更可能です。LFは20-170Hzの16ステップ、HFは2k - 17kHzの16ステップ 、HF Bellは0.7k - 16kHzの16ステップです。設定時にはGain Reduction Meterが周波数を表します。D-EQのRangeも23で設定が可能です。

各バンドには31ポジションのステップコントロールがあり、コントロールの両端にはCOMPとEXPとラベリングされています。コントロールを中央の「0」(エフェクトなし)から時計回りに回すと、エクスパンションエフェクトが開始されます。コントロールを反時計回りに回すと、コンプレッションエフェクトがかかります。コントロールを回すと、D-EQ のスレッショルドを効果的に下げることになります。

Blue knobのControlを見ていきましょう。

[THRESHOLD]
-20 … +20 dB (31-position)
[RATIO]
1.3, 1.5, 2, 3, 4, 5, 10, 20, -2.5, -1.5, -0.5(11 position)
[ATTACK]
.1, .3, .6, 1, 3, 6, 10, 15, 20, 30, 40 msec(11 position)
[RELEASE]
.05, .1, .15, .2, .3, .4, .6, .8, 1.2, AUTO, AUTO2 sec (11 position)
[MAKE-UP]
-10 … +20 dB /-5 … +10 dB(FINE mode) (31-position, 1dB/step)
[MIX]
今や当たり前となったParaell Comressionがおこなえるノブです。ただし、MIXはThe Bus+のBus Compressor部分のみに適用され、D-EQはMIXコントロールの影響を受けません。
[S/C HPF]
OUT, ... 300 Hz (31-position, 10Hz/step )

左右のControl knobの内側にGain Reductionを示す、おなじみのメーターがあります。

大体こんなもんかな、と思ったところでまだありました。上部左右のスイッチ類を紹介しましょう。取り扱い説明書からの抜粋がほとんどになりますが、

LOW THD
ほとんどのコンプレッサーは、その性質上、特に速いリリース時間に設定された場合、高い周波数よりも低い周波数が歪み始めます。これは望ましい「アナログらしさ」の一部を形成している場合もありますが、逆効果になる場合もあります。The Bus+のLOW THDスイッチを押すと、サイドチェーンに特別な回路の変更が加えられ、低周波の歪みの量を制限するのに役立ちます。主観的には、LOW THDはボトムエンドを「クリーン」にし、これを使用しない場合よりも「クリーン」なゲインリダクションを可能にします。
F/B
[FEED-BACK]の略で、バスコンプレッサーのサイドチェイン自体は「フィードバック」トポロジーですが、サイドチェインに供給される信号はFeedforward positionから供給されます。F/Bスイッチをオンにすると、サイドチェインに供給される信号は、feedbackの位置(つまり、オーディオパスのメインゲインリダクションVCAの後)から導かれます。この結果、Bus Compressorの伝統的な「つかみ」に対して、より「リラックス」したコンプレッションスタイルになります。
api 2500/2500+にも[NEW](=feedback)/[OLD](=Feedforward)の切り替えボタンがありますが、これと似たような挙動だと思います。
4K MODE
4K MODEが無効の場合、メインVCAは低ノイズ・低歪みに最適化されたバランス構成で動作します。これは、DualityやAWSコンソールに搭載されている最新のSSL SuperAnalogue Bus Compressorの設計と同じアプローチです。4K MODEを起動すると2つのことができます。1つは、VCAの動作をバランスからアンバランスに変更すること(4000シリーズコンソールのBus Compressorの実装方法と同じ)、もう1つは、VCAを介して可変量の高調波歪みを発生させることです。この2つの要素が組み合わさることで、より「色気のある」サウンドを実現することができます。歪み量を調整することで、厚みが増し、素材がよりまとまる「スイートスポット」(ミックスレベルによる)があることに気づくでしょう。

[4K MODE]はDistortionの量を9段階で変更できます。このDistortionとは、あからさまに歪む、ということではなくXLogic E-signature ChannelVHD Pre module For API 500 format racksに搭載されているVHD(=Variable Harmonic Drive)に近いものだと思います。
実際にマニュアルにも

Since distortion is not achieved by means of overloading (amplification), there is no inherent noise penalty from using 4K MODE even at the highest distortion settings).
オーバーロード(増幅)による歪みではないので、4K MODEを使用して、最も高い歪み設定でも、本質的なノイズの弊害はありません)。

と注意書きがあります。

2MixのみならずDs submixなどに使用すると抜けが良くなりプラスな方向に働くのでしょう。

製品の外観/機能確認の最後に External Side-chainの選択方法を記載しておきましょう。よくあるcompressorですと、[Ext S/C]みたいなボタンがあり、それによりDetectorへの信号を切り替えますが、THE BUS+は[S/C HPF]を押すことにより切り替えます。[S/C HPF]ノブの上に、[EXT S/C]-[COMP]と[EXT S/C]-[D-EQ]というインジケータが用意されており、[S/C HPF]ノブを押すごとに切り替わります。

[COMP][D-EQ]EXT S/C inのdestination
点灯消灯Bus CompressorのSide-Chainへ
消灯点灯D-EQのSide-Chainへ
点灯点灯Bus CompressorとD-EQの両方のSide-Chainへ
消灯消灯EXT S/C in 無効(=Bus Comp,D-EQともにInternal signalで作動)

となります。

Side-chainが標準搭載されていてかつ、ここまで柔軟性を持っているのはありがたいです。

Sound Impression of THE BUS+

やっと音に行けますね(苦笑)。

今回は

という形で見ていきたいと思います。

電源を投入するとボタン類が光り、カチカチカチ...とリレーが切り替わります。なかなかテンションの上がるIgnition sequenceです。

THE BUS+ in Dual Mono MODE

As a channel compressor(in mixing)

これはKick、Snare、Bass、Ds Room Mic(Ambient Mic)に試してみました。

様々なかけ具合を試したかったのでPTのMixing Dataを使用することにしました。録音時にある程度の処理はされています。Sampling Fsは96kHz/Bit Depth 32bit Floatです。

PTのHardware insert機能を使用しました。

まずはKickです。

Compressorをよく使う設定にしてみて、いじってみましたがいい感じにまとまってくれます。

さてD-EQも掛けてました。Boostするにせよ、Cutするにせよ、Staticにかからない(Dynamic EQなので当たり前ですが)ので非常に好印象で、いわゆる4 Band Full Parametric EQには勝てないのかもしれませんが、Channel Strip的な使用も出来て好印象です。

次にSnareです。

Snare単体にCompressionをかけることはあまりしないのですが、せっかくなのでやってみました。

当たり前ですがSnの存在感が増し、よりロックな感じになります。先程のKickもそうですが、Mixingが完成したMultiのDataを使用していますので変化が非常によくわかります。

リズムの存在感が曲のジャンル感に影響するというと言い過ぎかもしれませんが、Snareのpositioningが変わるだけで曲の印象がだいぶ変わります。

As a bus compressor

このMode(=Dual mono)でMaster Compに使用してみました。Mid/Side Modeでも良かったのですが、前段でMid/SideでAnalog EQを掛けたかったのでPT上でM/S信号に変換しての入力です。

やはりパラメータのStepが31個と多いので細かい調整が可能です。

D-EQも併用してPre Mastering的な処理が可能でした。

生楽器の多いmixingをうまくまとめこんでくれました。思いっきり叩く、ということではなく、全体的にEQ処理をして引き締める、というイメージでしょうか。

クライアント立会で行ったのですが、すごく喜んでくれました。

As a channel compressor(in recording)

録音時にChannel Compとして使用してみました。今回はDs Recordingの際のRoom micの回線です。派手に叩くという手法も存在するRoomですが、今回は浅めのreductionにしました。叩くのは最悪Mixingでもできますが、叩きすぎたものをもとには戻せないとの観点と、プリプロ音源を聞いた感じOverdubbingされるであろうGtの音色がだいぶ振れ幅があったので多めの選択肢を残した感じです。
音色の傾向を端的に表現しますが、Reductionが浅いせいか比較的あっさりした印象です。前に出てくる感じが少ないというかRoom Micなので当たりまえです。しかしSound Checkで回線をCutしたりするときちんと違いが判断できる感じで好印象です。今後他の回線に対しても使用していきたいですね。 別のタイミングでもう少し深めに叩いてみましたが、印象はあまり変わらず乱暴にかかる感じではありません(Compressorのsettingに依ると思いますが)。

THE BUS+ vs. XLogic G series Stereo Compressor

今回使用したソースは僕がRecording/Mixingしたバンドの2Mixです。生楽器の数が多く、適しているかな、と思います。DAWのAutomationをSumming Mixerに入力しMix outにG-compを挟んだものと、THE BUS+を挟んだものをMaster Recorderに録音、96kHz/32Bit float Wave fileに変換し、PTのsession fileに並べてSoloで切り替えての試聴です。

THE BUS+の4つModeの中でG-Compに最も近いのはClassic Stereoだと思います。まずはこちらから。Solid State Logic XLogic G series Stereo Compressor(Rack)との比較です。

G-Compのほうがパラメータが少ないのでまずG-Compの設定を行い、ざっくり同じ設定にしてみました。当たり前ですが、音は非常に似ています。2種類のMix Masterに対しで処理をしましたが同じ印象だったので間違いでしょう。

違いといえば、Solid State Logic XLogic G series Stereo Compressorのレビューにも記載しましたが、G-Compのシリーズの中でXLogicのverが少し音が太い、印象があります。それと比べると、THE BUS+のほうはOnboard(=on-desk)のG-Compに近い印象です。

さて、上で紹介したとおり、多くのパラメータを持つTHE BUS+です。最初はXLogic G series Stereo Compressorと比べてどうか、という観点で見ていこうかと思ったのですが、そこまで極端に差が出なかったので、差の出る部分(=XLogic G series Stereo Compressorには無い機能での比較)を見ていきたいと思います。

とりあえずSide-Chain Filterでしょうか。XLogic G-CompressorにもExt S/C inは搭載していますが、別で設定が必要なのでひと手間あります。

Kickで揺れることもなく、微調整も楽です。低域はエネルギーが大きいのでS/C Filterの搭載はありがたいですね。

D-EQも使用してみましたが、Mix Masterに対し、Pre-Mastering以前のspiceといった感じでしょうか。Staticでは無いので楽しいです。

Σ S/C Stereo MODEですが、前述の通りCenter-lineのsourceに敏感に反応する、状態です。

今回のソースに対しては極端な違いは生みませんでした。ざっくりしたRough Mixだと違いは出るのかもしれません。この辺は今後の課題ですね。

THE BUS+ MID/SIDE MODEもいじってみました。前述のPre-mastering作業はDual Mono modeだったのでM/S Modeできちんと試すのは初めてですが、感じたのはEQのみならず、CompressionもM/Sは楽しい、ということです。

シンセなど上モノが多く入る傾向のpopsなどには非常に有効でしょう。

4K MODEのharmonicもいい感じに2mixをHotにしてくれます。この機能がON/OFFのみならず、Variableというのが流石です。

At Live

Liveの現場にTotal Compressorとして持ち込んでみました。

今回はClassic Stereoで使用してみました。ConsoleのStereo outをTHE BUS+に接続するというシリアル接続でのチェックです。

僕がTotal compによく使う設定にしてみてのチェックです。G-Compと比べてパラメータが多いので悩む部分もありますが、きめ細かい調整が可能です。GRは4dBを超えないくらいでしょうか。

ConsoleのOutput meterがドカンと振れたときでも、聴覚上そこまでの変化は感じず、それでいて音像にゆらぎが無いのは流石です。

まとまりのある音像を得ることが出来ました。

Digital consoleのTotal compressorも嫌いではないのですが、機種によってはSide-Chainの設定が不可能だったりBusを無駄に使用する機種だったりとストレスがありましたが、outboardで、かつこのクラスになるとそのへんは皆無ですね。DATNE接続などのフルデジタル環境にどのように組み込んでいくかは課題ですが、Insertなどを使用すればすんなり可能だと思います。

Solid State Logic XLogic G series Stereo Compressorのレビューにも記載しましたが、僕はTotal Compressorというのは、2Mixにパンチとロックを吹きこんでくれるものだと思っているので、あっさりかかるDigital Compressorは物足りない時があります。Purityという意味ではDigitalの方に優位性があるのかもしれませんがEffector(=音を意図的に変化させる機器)という意味ではパンチの有るH/Wの方がしっくりきます。

Afterwords

よくもまぁ2Uの筐体にここまでの機能を詰め込んだものです。感心しかありません。手足のように使いこなすには時間が必要だと思います。実際に4k ModeなどはMixingの際にChannel insertで使用するのと、Bus Compressorで使用するのではまた違った印象を受けそうです。

色々試して製品名がTHE BUS+となっているのがよくわかりました。単なるCleanなBus Compressorのみならず様々な質感のコントロールが可能なProcessorです。

さらに、Bus Compressorとしても使用可能で、Channel Insertも可能なprocessorとなると、複数台有っても困りません。

本体はそこそこ熱を出しますので換気が効いた環境だと良いかなと感じますが、未だ熱暴走したことは無いそうです。

Ignition sequenceかっこいいですよ。

Solid State Logic (SSL),THE BUS+ 画像

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checker:Takumi Otani

Solid State Logic (SSL),THE BUS+
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