Solid State Logic (SSL)
Alpha-Link
さて今回見ていくのは久しぶりにAD/DAコンバーターです。昨今AD/DAコンバーターメーカーの多くがInterfaceとして製品をリリースしている中,数少ない純粋なコンバーターです。
新製品といえる機種ではありませんが,気になっている方も多い製品ではないでしょうか。早速見て行きましょう
Product Overview of Alpha-Link MX
Alpha-Link MXはAlpha-Link MX 16-4とAlpha-Link MX 4-16がリリースされており,Alpha-Link MX 16-4はInputx16+Outputx4,Alpha-Link MX 4-16はInputx4+Outputx16です。
ADのみDAのみだとなかなか困るのが正直なところですが,かと言って16Input+16Output標準搭載だと,「録音時にはそこそこの入力が必要だが,MixはPC内でやるので出力は少なくて良い。」という方や,「Mixが殆どでアナログ卓使うからアウトはいっぱいほしいけど,入力はさほどいらない。」という方々にとっては帯に短し襷に長し,です。
どちらかというと,入力用,どちらかと言うと出力用という2ラインナップ有るのはありがたい限りです。
Alpha-Link MXはアナログとMADIのコンバーターです。Interfaceとして使用するときにはMadiExtreme64/128をPCI-eスロットに搭載してNative環境を構築するか,Delta-Link MADI HDに接続することによりProToolsのI/Oとして認識させることが可能です。
MADIXtreme以外でもMADI Optを入出力できる機器であれば運用は可能です。
ちなみにMadiExtreme64で双方向合計64ch,MadiExtreme128で双方向128chの送受信が可能※1です。
今回はMADIXtreme 64をMacに搭載しての試聴です。MadiExtremeはインストールが完了するとSystem Preferenceにアイコンが出てきます。クロックの設定や,MADIのLockの確認などが可能です。
場所は我らがホーム Annex Recです。いつもの環境を最低限再現できないと困るので今回は16-4と4-16をDaisyChainさせました。ここでProToolsのI/O設定を変更するのですが,いや四苦八苦。
Device IDを変更したり何なりで30分位かかりました。
結果的には僕の勘違いに依る部分がほとんどですが,16-4,4-16ともに16chごとのUnit
と認識※2しておいてもらえれば問題ありません。Device IDを同じにするとパラレルアウトも可能です。
入出力端子はすべてDB25(Tascam)です。XLR=DB25を使うもよし,パネルを作成するもよし,といったところでしょうか。ちなみにネジはインチネジです。
本体のコントロールはすべてフロントパネルで行えます。左側のインジケーターは正常な状態だと緑に,異常があると赤色に光ります。
レベルメーターは
- OFF
- -75dBfs以下
- Green
- -75dBfs以上
- Amber
- -3dBfs以上,-0.5dBfs以下
- Red
- -0.5dBfs以上
です。
今回のSystem Ref Levelは-14dBFs(=+18dBu)にしました。
今回のセッティングですが,Alpha-Link MX 16-4で16入力とステレオアウト,Alpha-Link MX 4-16でCue send用の16アウト回線を構築しました。
WordClockはいつものAntelope Isochrone OCXです。
※1:88.2,96kHzの際には半分となります。
※2:Alpha-Link MX 16-4をID=1,Alpha-Link MX4-16をID=2にした場合,ProToolsのI/O settings上で,Alpha-Link MX 4-16のOutputは[5]からではなく,[17]からにアサインして頂く形になります。
Sound Impression of Alpha-Link MX
ADコンバーターの限界性能が垣間見れる瞬間(?)マルチトラックレコーディングです。ソースが少ない状態では普通でも,ソースが多くなってきた時に位相特性などが乱れず,きっちりそれぞれの音を記録できているかなど,マルチトラックのコンバーターにはmixingの際の作業性にも影響をあたえる部分があります。
もちろん,瞬時の判断が下せる解像度なども必要とされます。
その辺が一番わかり易いのはDsの録音でしょう。というわけでバンド録音に使用してみました。
LevelMeterが不便かなーと思っていましたがさほどでもありませんでした。
Apogeeなどに搭載されているSoftLimit機能がない部分もあり,純粋なAD/DAという感じです。
音質ですが,しなやかでフラットです。クロックを切り替えた時にもきちんとその差はわかります。
派手さはあまり感じられませんが,「地味」と言うより「堅実」という印象です。低域から高域まで同じタイミングで出てくる,という感じでしょうか。堅実に太い音が取れます。前述のとおりSoftLimit機能がないのでLevel settingをきっちり行わないとDigital Distortionを引き起こします。
早速ミックスしてみましたが,EQの効きも良くDynamicsの効き,違いもよくわかります。
サイズ的にも1Uで収まるので持ち運びにも便利だと思いますしファンレスですのでファンノイズも発生しません。。
MADIXtremeをThunderBoltのシャーシに組み込んでしまえば,Laptop PCでも難なく使用可能です。
あと個人的に気に入ったのが入出力端子がD-subで統一されていること,変換はちょっと面倒ですが,同じ端子が採用されていると言うのが好印象です。XLRが16個並ぶとなかなか1Uサイズで収まらなくなってきます。端子の形状がどこまで影響が有るかわかりませんが,細かいことを気にしなくて良いのはありがたいです。
Afterwords
印象が良かったのでAnnex RecのAD/DAとして採用することにしました。
試聴可能ですので興味が有る方は気軽にご連絡ください。
date:
checker:Takumi Otani
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