Samar Audio Design
ShokBase series

僕の大好きなマイクメーカーでもあるSamar Audio Designの新製品として、ショックマウントアダプターが発売されました。

新製品案内で気になって数日後、代理店に「どんな感じですか?」と印象確認のtelをしたところ、「Demo機が整備されつつあるので、よければ是非!!」とおっしゃっていただきました(O野さん、いつもありがとうございます)。

早速見ていきましょう。

Product Overview of ShokBase series

ショックマウントというとSuspension Mountを思い浮かべる方が多いと思いますが、ほかにも色々パターンは存在します。共通するのはelastic bandなどでfloatingされた可動部が振動を吸収して効果を得る(地震計の原理)、ということかなと思いましたが、Enhanced AudioのM600シリーズはしっかりマイクを固定することにより、効果を得ています。

どのような目的なのか、にもよると思いますが、ほとんどが床からの振動から分離する、という目的ではないかと思います。
昔、Rycote InVision USMのReviewにも記載しましたが、M600とInVisionに同じマイクを設置し、Gainなどを同じ設定にしてマイクスタンドをコンコン叩いてみると、M600はその振動をマイクまで伝えますが、InVisionはその音が小さくなります。

ShokBaseシリーズ

の3つの原理を採用し、最新素材を使用することで足音など床からの低周波ノイズを効果的に抑制するとのことです。また、マイクホルダーとマイクスタンドの間に装着することを念頭に開発されていますので専用のマウントと異なり、汎用性は高いものと思われます。

ただし、ShokBase seriesは

ShokBase Dot One
直径 (Diameter)
ø 18.8 mm
長さ
76.2 mm
重量
45.4 g
マイクロフォン定格重量範囲
0 ... 230g
ShokBase Dot Two
直径 (Diameter)
ø 25.1 mm
長さ
76.2 mm
重量
68.0 g
マイクロフォン定格重量範囲
230g ... 900g
ShokBase Dot Three
直径 (Diameter)
ø25.1 mm
長さ
127.0 mm
重量
133.2 g
マイクロフォン定格重量範囲
900g ... 4.5kg

ネジ径:5/8インチ、SHURE規格。

の3種類があり(1)、上記の定格重量範囲は垂直設置使用時の範囲とのことで、角度をつけて使用する場合は、定格重量の2/3(2)として調整してくれと注意書きがあります。

さて、そう言われて、ぱっとマイクの重量を記憶している人もそこまで多くないと思いますが、ペンシルタイプのコンデンサーマイクであれば、ShokBase Dot Oneでだいたい使用可能でしょう。
ダイナミックマイクになればShokBase Dot Twoかな、という印象(3)でしょうか。

振動が多そうなところという意味ですと、やはりDs周辺やBass ampの周辺かなと思います。特にタムに直接マウントされるマイクは、マイクを支えている部分が多少なり振動しますからこういったアイテムの恩恵は大きいと思います。


  1. 執筆現在ShokBase Dot Threeは未発売。
  2. おそらく最大値。
  3. 各マイクのSpecをご確認ください。

Sound Impression of ShokBase series

さて、実際の音に参りましょう。Preambleの通り、新製品の案内をいただいて数日、そういえば、と代理店のo野さんに電話をして、「あれって、どうなんですか?」と訊くと、「せっかくのなのでデモ機お貸出しますから、過酷な検証してやってください。」とのお言葉を頂きました。
角度の検証ももちろん、天地をひっくり返して抜けたりしないのか、を是非!とのことでした

ぜひお願いします、とご提案を快諾し届いたデモ機を開けてみると結構軽いです。数値通りなのでしょうが、ちょっと意外でした。

思いっきり引っ張ればマイク側とスタンド側に分離できるであろうパーツの間に何やらゴムのような、スライムのような粘弾性物質が充填されています。ちょっと力をいれるとブニブニ動きます。

さて、どうやって試したものか、と思案することしばし、不安定だったり、下が空洞になっている場所、ということで建付けが若干悪い、折りたたみ式の机の上にショートスタンドを2本設置し、その上にSHURE SM57をそれぞれ装着です。重量の観点からはShokBase Dot Twoが最適なのでそちらでのテストしてみました。近く(3-4mほど)でSubwooferとFull-Rangeを鳴らしてのチェックです。

マイクスタンドのブームは少しナ斜めにしてみました。注意書きの「角度がついている状態」です。SM57の重量は284 gなのでDot Twoであれば許容範囲内です。
HPF,EQ,FilterなどはBypassの状態で、HAを同じ値にまで増幅して音をSoloで聞いてみました。結構違います。「机って結構共振するんだなー」とい印象が出るほど違いました。

ShokBaseを使用している回線は「あれ、HPF入れたっけ?」と数回確認した程、低域が無くスッキリしいます。もし入っていたとしたら100Hz 12 or 18dB/oct.くらいでしょうか。結構違います。さて、これで実際に収録される音が痩せたのでは本末転倒です。SM57を2本をほぼ同じ位置に配置しアシスタントに喋ってもらいました。S/Wはdriveしたままです。結果は非常に良好で、ShokBaseを使用しているほうが若干くっきりしている印象です。そもそも不要な、床経由の振動がマイクを揺らすことがないのでより正確に空気振動をキャプチャーできているのでしょう。EQでHi-Midをブーストした、というよりは高級なコンプをうっすら掛けた、という印象です。
全く同じではありませんが、ENHANCED Audio M600を試したときの印象にも似ています。

マイクスタンド経由の不要な振動起因の低域がカットされ、音波はしっかりキャプチャーしてくれています。ShokBaseにM600を装着して使用したら最強のショックマウントが出来上がるかもしれません。

さて、ここでちょっと気になったことがあります。それはマイクの重量が定格重量を超過するとほんとに駄目なの?というものです。メーカーからは「やめてくれ!!」と言われるかもしれませんが、SM57の重量は284 gなので、50gくらいならShokBase Dot Oneでも何となるんじゃないか、と先程までスタンドに直付けにしていた方SM57にShokBase Dot Oneを装着し(正確にはA25Dに装着し)、試聴です。

あくまでSM57の重量で、ということですが

というものでした。

逆に、Dot Oneが最適な重量範囲のマイクをDot Twoで使用するとどうなるか、は今回試せませんでしたが、興味は尽きないですね。

過酷なテストをしてほしい、ということでしたので(?)Dot One, TwoにSM57を設置しマイクスタンドを真下に向けて、ShokBaseが分解される方向に力がかかるようにして1晩放置してみました。

Dot One, Twoともに分離されることなく、翌日も無事に機能しています。

使用に際しての注意事項としては、マイクの重心がマイクスタンドの、ストレートシャフトとブームシャフトの軸を含む平面上から大きく外れるとShokBase自体が回転しますのでマイキングが定まりません。Gt ampなどのマイキングのようにスタンドのシャフトに対して横に向ける場合は注意が必要です。SM57のようにマイクホルダーに多少強引にでも押し込める類の製品はなんとかなるかもしれませんが、Sennheiser MD 421のような,ホルダーとマイクの位置関係が変更できないタイプのマイクではいつものマイキングスタイルでは使用は困難かと思います。

Afterwords

今回使用してみて、一番有効だろううな、と思ったのはやはりDs周り、特にkickのマイクとbass ampのマイクに対してです。DsはDs riserなどで嵩上げされることが少なくありませんが、頑丈に作られているとはいえ、やはり、今回のテストの際の机のように若干の振動、共振が存在すると思います。低域をカットしても問題ない回線であればfilterでの処理も可能だと思いますが、kickの回線に流石にHPFを入れるわけにもいかないですし、周辺からの不要な低域が除去できてtarget sourceの音がくっきりするのはありがたい限りです。
先の声のときと同じく、正確に信号がキャプチャーできる、という観点からはハンドヘルドの回線以外に全部使用されていてもいいのかもしれません。

あとはHallの舞台でのPf、司会台や演題のマイクなどにも非常に有効だと思います。

最初案内をいただいたときには価格的にちょっと高いかな、と感じましたがマイク専用のアクセサリーでは無く、M600InVisionのような汎用アクセサリーなので汎用性を考えるとそうでもないかなと思えてきました。必要な回線に対してある程度揃えてしまえば、マイクを更新しても使用可能なので長期間使用可能なアイテムではないかと思います。

Samar Audio Design,ShokBase Dot One 画像Samar Audio Design,ShokBase Dot Two 画像

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Samar Audio Design,ShokBase Dot One
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