STEP Sound Fair
2009年3月北とぴあ さくらホールにて開催されたSTEP協議会(音響機器製造技術交流促進協議会)の模様をレポート致します。
毎年開かれるこの会は各社のラインアレイ等の大型スピーカーがしっかりした音量で試せるのでスピーカー試聴の場としては格好のイベントとなっております。弊社も会員となっています日本舞台音響家協会が後援をしていますので、たくさんのPA会社さん、オペレーターさん等が集まります。会場のオーディエンスがほとんどプロの耳を持つ人達で行うレコード(CD)コンサートといった所でしょうか。それですから各メーカーさんの担当さんは非常に緊張するコンサートといえますね!それでは早速レポート致します。
まず最初は最近のスピーカ設置等には欠かせなくなった「フライングに関する安全講習」を(株)シミズオクトさんに講義して頂きました。まず最初に過去の大きな事故例から始まり アルミトラス、イントレ、ワイヤー、玉掛、危険予知、というような現場で大変ためになるお話を頂きました。過去の大掛かりな海外アーティストのライブやサマーソニック等のステージ設営の苦労話はエンジニア出身の私自身もかぶる思い出もたくさん有り同感するとともに大変勉強になりました。
d&b audiotechnik
スピーカメーカー最初の音出しはオタリテック(株)さんのd&b audiotechnikのJ-SeriesとE-Seriesです。今回の全てのスピーカーの音を出すミキサーは客席中央の Midas Pro6を使用、そこから各社の専用パワーアンプへ繋がっています。まずJ-Seriesのラインアレイから聞いていきます。 さすがに世界中のホール、劇場、オペラハウス等に納入実績が有る d&b audiotechnikサウンドはジャズ,クラシック、ヴォーカルもの、ロック等のいずれの音源でもレンジが広く中域が生き生きと再生され好印象でした。今回のデモではステージ側によけいなLOWが回り込まないように設計されたJ-SUB(サブウーハー)の検証もしました。Lowの効いた音源の音出しと共に参加者がステージ上または場内をウロウロしだします。他のコンサート会場では見られないオーディエンスの動きですね(笑)。さすがにLowの回り込みが軽減されていてステージ上がすっきりとしていました。18"スピーカーユニット3台のうち一台を後方に向けて放射させている構造でカーディオイド(orスーパーカーディオイド)スーパーウーハー機能を構築します。ラインアレイをPC上でコントロールするArrayCalcの説明、低域のキャンセレーション回避(低域のデットポインイト)のスピーカーの構築等のレクチャーの次は小型のE-Seriesを聴きます。小さいながらd&b audiotechnikサウンドでまとまっています。北トピアのホールでこの音量が出ますのでジャンルには左右されますがかなりのキャパ迄対応ができそうな感じです。
Electro-Voice
次はEVI AUDIO JAPANさんのElectro-Voiceです。もちろん卓はMidas PRO6。Maidasのデジタル卓は「心地よい操作性」「エンジニアをコンソールに導く」をコンセプトに開発されたそうで、なるほど実際卓の前に立つとアナログと同じ感覚で操作できそうな感じです。これは何層レイヤーというようなものが無く、深い所に行かなくても全て見える所のつまみで操作が可能になっているからなのでしょう。この卓ははオーディオソースのMIXという本来の機能の他デジタルネットワークを構築して他の機器も自在にコントロールすることができる画期的なミキサーとなっています。もはやミキサーではなくコントロールセンターといえます。最大80chの同時ミックス、192ch双方向デジタルスネークの存在(う~んマルチが軽い~)etc.etc.この先は次回また使用レポートをUPしますのでお楽しみにまっていてください。次はIRIS- Netというトータル・オーディオ・コントロールの概要説明(各音響機器をIRIS-NetソフトウエアでCPU上から各機器の遠隔制御、監視、管理、パターンコントロールを行えるもの)の後ElectroVoiceスピーカーの試聴です。ElectroVoice XLCシリーズのラインアレイをXLC118×2段、XLC127×4段 一対抗を設置、試聴でした。E/V S.P.もステージ上のLowの回り込みを軽減したものでサウンドは抜けのよいElectroVoiceの音に仕上がっていました。Fuji Onkyo
次は不二音響さんがYAMAHAサウンドシステムと一緒になるという報告のあとT.C.Electronic社Voice Solo モニタースピーカーの試聴でした。この小さいモニターは手元近くにおいて演奏者が自分の音を聴くために開発されました。ボーカルで使う場合はブームマイクスタンドの途中にセッティングしたり出来る非常に便利なもので、配線方法もフレキシブルに対応でき色々な便利な使い道が有りそうです。詳細は下記アドレスにアクセスしてみて下さい。
http://www.tcelectronic.co.jp/VoiceSoloXT.asp
JBL + others(Harman PRO group)
次のヒビノ(株)さんはHarman PROグループ8ブランドすべてに共通する制御言語を持つHi-Qnetというネットワークシステムの説明が有り、これにより音響システム全体の設定、ルーティング及び機器の制御、EtherNet CobraNet USB 等の接続方式に柔軟に対応等が可能となったとのこと。各メーカー音響システムネットワーク及び制御に力を入れているようです。肝心のスピーカー試聴は VRX 932LA×3台+VRX918S×2台 一対向をAMCRON I・Tech 9000で鳴らします。VRXは何度も聴いていますが大きなホールである程度音量を上げて聴いたのは初めてでしたので、以前アコースティックコンサートで聴いたすっきりとした印象とはまた変わりロックなスピーカの印象を受けました。楽曲のせいも有りちょっと高域が歪み気味位迄音圧を上げていました(今回は多分小型スピーカーでこれだけ音圧が稼げるというのを強調したのだと思います)がさすがJBL、GoodSoundでした。
L-Acoustics
最後にベステックオーディオ(株)さんのL-ACOUSTICSです。床からフレーム枠を立ち上げるALC製スピーカータワーをガラガラと押してKIVA/KILOの登場です。KIVA×6,KILO×2,SB118×1 一対向のKIVA/KILOをフライングして試聴です。まずはイーグルスのライブ版のホテルカルフォルニアから入ります。最初のバスドラムから始まり次にかぶるアコギ、ベース、ギター&ボーカルと臨場感たっぷりに鳴ってくれます。非常に定位分離が良く気持ちのいいサウンドが続きます。また会場の皆さんがうろうろし始めました(笑)。客席前方後方、上手下手の音を確認し閉会の挨拶の御終了となりました。
Afterword
このような大きなホール等での各社スピーカーの鳴き比べを聴ける機会は非常に少ないため(前回ドイツのMusicMesse以来)大変参考になり、音響システムを販売している我々にとってははお客様へのアドバイスが的確に行える重要なイベントとなっています。これからも是期続けていって欲しいものです。今回出展していたスピーカーはどれも音が良くすばらしいものでしたが人それぞれ趣味指向が異なりますのでスピーカ選びでお悩みの方は微力ながらお役に立てるかと思いますのでその際はご連絡頂ければと思います。
この記事の最終更新日はJun 25, 2024 Tuesday 13:29 JST ,
Product Review最終更新日はJun 25, 2024 Tuesday 13:29 JST です。
最新記事はLAUTEN AUDIO Tom Micです。