SPL
MixDream XP model 2591

今回はサミングアンプを試してみました。常連さんのデモの希望でSPL MixDream XP model 2591をAnnex Rec C/Rで試聴です。SPL MixDream XP model 2591の試聴というよりは「アナログサミングってどうなの?」「チャンネル数少なくても効果あるの?」みたいな観点です。同じタイミングでSSL X-Deskも試すことができましたのでその比較の印象も触れることが出来ればと思います。

Product Overview of MixDream XP model 2591

SPL MixDream XP model 2591は1Uのサイズに16chの入力と拡張入力,Monitor OutputとMain Outputが用意されています。拡張入力(Expantion Input)を使うことにより32chのサミング可能です。

スペックです。

周波数特性
1Hz-200kHz (- 1dB)
ノイズレベル
-97dBu(20Hz-22kHz, A-weigted, all channels active)
THD+N
-103dB(20Hz-22kHZ,Input +10dBu,all channeles active)
最大入力レベル
+28dBu(@1kHz)
最大出力レベル
+28dBu(@1kHz/THD+N -95dBu)
ダイナミックレンジ
125dB(20Hz-22kHz, A-weigted, all channels active)
クロストーク L/R
90dB@1kHz
同相信号除去比
<70dB(@1kHz, +10dBu input level)
入力インピーダンス
10kOhm(for Input 1-16, Expansion, Insert Return)
出力インピーダンス
65Ohm(for Master/Monitor Out with transformer)
消費電力
36W
電圧
115V/230V
ハウジング(B x H x T)
482 x 44 x 237mm
重量
3.6kg

ノイズレベルがちょっと気になる気もしますが、まぁまぁこんなモノかもしれません。実際に試聴の時に「ノイジーだなぁ」とは全く思いませんでした。

センターのノブですが、しっかり固定されていて回したときにも高級感ある重さで回ってくれます。グラつきなど皆無です。このノブはMonitor OutputとMain Outputに同じように作用しますが、バイパスしたい時にはすぐ左の"Variable Output"を解除することで0dBで出力可能です。Master Faderと言うよりはモニターのコントロールと言う感じでしょうか。可変幅は-14dB ... +7dBまでです。

入力は基本的にステレオオース x8ですが1/2,3/4,...,15/16でにモノラルスイッチが用意されていますので

  1. Ds L
  2. Ds R
  3. kick
  4. Snare
  5. Bass
  6. Vocal
  7. Gt L
  8. Gt R
  9. Keys L
  10. Keys R
  11. Chorus L
  12. Chorus R
  13. Seq L
  14. Seq R
  15. Efx L
  16. Efx R

などというアサイン時に3-6をモノラルセンター定位させることも可能です。偶数個のみですので注意が必要ですね。

Monoスイッチはステレオソースのエネルギーをそのまま突っ込むのでセンターの音量は上がります。sine waveで測ったところ5.7dB程差がありました。

操作は非常にシンプルで接続して電源を入れるだけです。出力のインジケータなのがないので正常に出力されているかどうかは接続先の機材でチェックするしかありません。

一緒に試聴したお客さんも「ちょっと不便すね」と苦笑いしながらおっしゃっていました

Sound Impression of MixDream XP model 2591

今回のソースはお客さんに持ち込んでもらったPfの録音のdataとPf+Vnの演奏のdataです。それぞれ4Stと2Stのdataです。特に個別では聴いていませんがアンビなども含まれているとのことでした。フォーマットは96kHz/24Bitです。

試聴システムです。

DAWはAVID ProTools9,DACはApogee DA-16X ver.2 マスターレコーダーはお客さんにお持ちいただいたEDROL R-4Pro,R-4Proへはdbx QuantomをADCにしてバイパス状態で96kHz/24Bitで収録しました。

もちろん内部バウンスも収録しました。ですので後ほど聴き比べてみました。その感想は後ほど記述するとして、まず最初にテストプレイバック中にざくっと聞いてみた印象だとお客さんも「お、ぜんぜん違う!」と一聴してわかる明らかな差があります。

後ほどでSPL,SSL,内部バウンス効き比べてみましたが僕の試聴環境(=Annex Rec)では

アナログサミングはすっきりしているようで非常になめらかな印象。内部バウンスも決して悪いものではなく、DAの際に情報が欠落しないのできっちり情報が叩き込まれている印象

です。もちろんSSLとSPLの音の違いもありますが両者に共通しているのは変な分離感が無くなって楽器やアンビのつながりがよくなったと言う印象です。

ちなみにですが、SPLとSSLの音質の違いはSPLがややウォームで中域に艶のある感じ、SSLはすっきり何も足さない何も引かない、的な印象です。どちらがいいとかでは無く好みでしょう。今回は生楽器ということもありSPLの方が向いていますね、みたいな話題になったのですが、お客さんも楽器がもっと詰め込まれてくると逆にSSLのスッキリ感はちょうどいいのかもしれませんね、とおっしゃっていました。

dataをお客さんにお渡ししたのですが、ご自宅の環境で視聴後、貴重な感想をいただきました。

内部バウンスとサミングミキサー2種と比べると、明らかに内部バウンスの音が平らで奥行き感がないというのが分かります。
内部バウンスだと残響音がただざわざわ乗っているだけなのが、サミングミキサーでミックスするとああ、こういうマイク配置して、こういう意図の音を録りたかったんだというのを再現してくれます。
SPLは確かに自分が表現したいニュアンスを、本当に通すだけで得られると思いましたが、裏を返すとそれ以上どうにもできないというかマスタリングの段階で弄れないと思いました。特に音数が重なって、盛り上がるところの飽和感がミックスの段階で起きてしまっていて通すとある意味どんなものでもSPLになってしまうなと感じます。
その分SSLはミックスの通りの感覚のまま奥行き感等、外出しする意味のある音になると思います。
音の詳細を言うと、SPLは高域のシルキーさ、アナログっぽさが印象に残りました。自分が目指している生録っぽさというかそういうのに非常にマッチします。
対してSSLは音の細さ(解像度が良い?)、高域のリミッター感が感じられました。ただ単に出る音を比較すれば、SPLの方が良いですが前述の通り、ミックス段階ということを考えるとSSLの方が扱いやすいかなと思います。

という感想をいただきました。

決してSPLが悪いのではなくジャンルによっては大きく効力を発揮すると思います。

dataも店頭で試聴可能ですので興味が有る方はご連絡下さい。

Afterwords

弊社Annex RecにはアナログのアウトボードもあるのでこのへんをMixの際に使用してアナログサミングというのも魅力です。

マルチアウトのI/Fとミキサーをお持ちの方、ぜひともアナログサミング試してみてください。

SPL,MixDream XP model 2591 画像

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