Rupert Neve Designs (RND)
5059 Satellite
さて年の瀬も押し迫ったタイミングで幸いにも色々試すことが出来ました。今回はお客さんから問い合わせを頂き,RND(=Rupert Neve Designs) 5059 Satelliteをデモする機会を得ました。
2Uのラインミキサー,という表現も可能ですが"サミングミキサー"というほうがしっくり来ます。早速参りましょう!
Product Overview of 5059 Satellite
5059ですが,モノラル16ch入力のサミングミキサーです。入力はDB25で,各ch全てにInert I/Oを標準搭載しています。こちらも入出力はDB25です。
各chのコントロール構成は
- Level(-∞ ... +10dB)
- Pan
- Insert
- Stereo 2
となっており,Line Level対応のみのミキサーです。マスターアウトはXLR のステレオを2系統用意されています。デフォルトでは信号はstereo1にアサインされサミングされますが上記stereo 2を押すことでstereo 2にアサインされます。そのときにはstereo 1のアサインは外れます。いわゆるAlternativeなスイッチです。
Stereo1,2のマスターレヴェルは共にレベルは∞ ... 0dBまで連続可変です。またどちらにも"texture"と呼ばれる機能が搭載されており,Normal,Silk(Vintage),Silk+(Modern)が選べます。textureボタンはNormal=点灯なし,Silk(Vintage)=Blue,Silk+(Modern)=Redに光ります。
またtexture量もノブでコントロール可能です。
Sound Impression of 5059 Satellite
今回は5059を視聴する機会を機会を得たのは,Sound Creatorのお客さんから「知り合いから勧められたのでどんなもんか試聴してみたい」とお問い合わせを頂き,じゃぁあ試してみましょう!となった次第です。
お客さんの方でモノラル換算23trくらいのデーターをご用意意いただき弊社Annex Rec C/Rで試聴です。
事前準備としてキャリブレーションを行いました。0VU=-14dBfs@1kHzにて16chすべてのノブを0dB付近に合わせていきます。流石に高級機材ですからズレはほとんどありませんでした。
今回16モノをどう振り分けようかという話になり,可能な限り均等に分けて16chをフルに使ったほうが"アナログサミング"の魅力,効果がよく分かるのだろう,ということで7ステレオ(モノラル換算14tr)と2モノラルにしました。ステレオはL/R振り切り,monoはセンターpanに設定,DAWも同じ設定にしてPro toolsのAUX trに立ち上げ,SOLOで切り替えつつの試聴です。ご用意いただいたソースは96kHz/24Bitです。
いわゆるPC Mix Vs. 5059(normal)という図式です
PC内の良くも悪くもクリーンなミックスと比べ,高級パーツが使われているので,やはりフラットに出るせいか極端に大きな差はでませんでした,なんてことはなくてはやり違います。「ぜんぜん」違うかというとどこに注目するかということによりますが,PC Mixと比べ奥行きが出てきて全体がうまく馴染む,という感じに近いです。昔SSL X-Desk試したときの違いの印象に近いです。Pan DepthはPT=-4.5dBに設定してあり,5059は-3dBなので,センターとL/Rの距離感には若干差が出ますが奥行きも綺麗につながって見えてきます。
後ほど試したtextureモードと比べるとまだ差は小さいのだと思いますがお客さんもSOLOで切り替えながら「あーやっぱり違うなー」と。この差をPC内で出すのはやはり難しいだろう,との結論でした。
でtextureのまずSilk(Vintage)です。効果をわかりやすくするためとりあえずtexture ノブはMAXの状態にしてSilk(Vintage)に切り替えます。低域がグっと持ち上がります。上が寂しくなる感じではありません。JazzやR&Bなどのジャンルに向いていると思います。音が古臭くなる,という感じではなく低域の太さが加味された感じというほうが正しい表現だと思います。
次にSilk+(Modern)ですがこれはSilkと対象的に中高域がくっきりします。Rockにはとても向いていると思います。GtやVocalの帯域がブーストされた感じの印象です。
お客さんもNormal,Silk(Vintage),Silk+(Modern)を切り替えつつ,PC Mixとも聴き比べていましたがSilk+(Modern)などはPCMixと比べるのが気の毒なくらい印象が違います。
またオートメーションの量にも依存しますが,基本的にDAWのFaderを0dB付近で出力できる(=Bitをなるだけ使う)ように5059のノブを操作する,というのもありですね。むしろこちらのほうが音は良いと思います。最近は32 Bit Floatにも対応しているDAWが多いのでknobの解像度などと比べながらベストセッティングを見つけられると良いと思います。
あとstereo 2の使い道ですが,ぱっと浮かんだのはステムミックスを作るという。納品データーをステムにしないと行けないときなどに「どうしても5059を経由させたい!」というときに良いと思います。
まずstereo1にアサインした状態でMixを作成しStemを作りたいものだけstereo2アサイン,DAWへLoop Backして録音してやればOKですね。
Afterwords
値段からも,作りからも「とりあえず」のサミングではない感じはバンバン伝わってきますが,ご自身のMixingに何かテイストを加えたいと感じている方はぜひともご検討ください。Silk,Silk+に耳が行きがちですが,それを支えるしっかりしたサミングエンジンを搭載した製品です。
date:
checker:Takumi Otani
Rupert Neve Designs (RND),5059 Satellite
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