Roswell Pro Audio
Mini K67x
さて今回もRoswell Pro Audioのマイクを見ていくことにしましょう。
今回はMini K67xです。前回Mini K47 KDの時にMini K sereisに関して簡単にまとめましたが、そこでも紹介した通り型番のx
はトランスフォーマー搭載を意味します。トランス搭載によるハーモニクス、サチュレーションを狙った製品なのでしょう。早速見ていきましょう
Product Overview of Mini K67x
mini K seriesの紹介、簡単な解説は以前レビューしたRoswell Pro Audio Mini K47 KDをご覧いただくとして今回は早速K67xを見ていきます。まずはSpecと参りましょう。
spec of Mini K67x
- カプセル
- 34mm、K67スタイル・デュアル・バックプレート
- ダイアフラム
- 6ミクロンマイラー
- 指向性
- カーディオイド
- 周波数特性
- 20 – 20,000 Hz
- 入力感度
- 12 mV/Pa
- インピーダンス
- 200 Ω
- S/N比
- 81 dBA
- セルフノイズ
- 13 dBA
- 供給電圧
- DC 48 ±4V
- 出力コネクター
- XLRバランス(トランス)
- 外寸法、重量
- H 150 mm × W 44 mm、380 g(マイク本体のみ)
- 付属品
- 専用ケース、専用ショックマウント
Neumann U67はTubeマイクですが、K67xは真空管は非搭載です。代わりに(?)トランスフォーマーを出力段に搭載し、そのトランスが生み出すハーモニクス、サチュレーションを個性として付加することを目的とした製品のようです。
Roswell Pro Audio Mini K47 KDのレビューにも記載しましたが、mini KはNeumannのオリジナルのマイクを新解釈の要素を持っています。型番の通りK67xはU 67の新解釈Verです。代理店ページからの一部抜粋になりますが、
2年の歳月を費やして開発されたカプセルは、今回新たに6µm(=6x10-6m=6/1000mm)の厚さフィルムを採用して、独自にチューニングされたデュアルバックプレート設計となっており、トランスとの組み合わせによって、特徴的な色付けを持つmini K47や、極めてフラットな特性を持つMini K87のどちらとも異なる、独特なハーモニック・サチュレーションを生み出すマイクが完成しました。それはRoswell Pro Audio代表のマット・マクグリン氏が「"Holy Grail" voicing」と自負する、量感がありながらも濁りの無い低域と、10kHz以上に広がるレコーディングの“空気感"を特徴とします。
いや、Holy Grail
とは大きく出たものです。実際の音を聴いてがっかりしなければ良いのですが(苦笑)。
Sound Impression of Mini K67x
For Pf at Live
Pf+Gt+WB+DsのLive sessionのPfマイクとして持ち込んで試してみました。会場のAKG C314も使用して合計3本のセッティングです。
2本のC314をハンマー付近を狙う目的で配置し、Mini K67xはPfの響板を底面側から狙って配置しました。Liveということもあり、あまりセッティングの試行錯誤はできなかったのですが、コシのある中域を中心に収録でき、まとまりのあるPfサウンドを出すことができました。
For Pf at Live Recording
よく伺うLive houseにて開催されるPf伴奏+VocalのLiveに持ち込んでみました。メインとなるのはもちろんVocalですが、Pfも伴奏としてしっかり聞こえる必要があります。前回はアタックを中心に拾うためにハンマー近くにC451 Bを2本仕込み、Pf本体横辺りからC414を、やはり2本仕込みました。
以前試して印象の良かった、PfのbottomとTopの弦のあたりに1本づつ仕込みたかったので試してみました。Pf bottomのマイクはbeyerdynamic M 90 PRO Xで、Roswell Pro Audio Mini K47 KDにも記載したので重複する部分もありますが、今回は2 daysの日程でしたので、曲目に合わせて1日目にMini K67x, 2日目にMini K47 KDを使用しました。
Live RecordingだったのでそのDataを後日確認して改めて音質を確認してみました。幸いにして、両日で同じ曲を演奏してくれましたのでそれにて比較してみました。クリックを使用しているわけではありませんし、生演奏なので完全にマイクの違いのみとはならないと思いますが、なるだけ共通項は多いほうがよいかと思います。
K47 KDのレビューにも記載しましたが、K47 KDに比べてK67xは少し個性がある印象です。トランスの有無やdiaphragmの違いなどがこの差を生み出しているのだと思いますが、K67xは中域にハーモニクス感を感じます。暑苦しい感じではなく、上品なEQをQをかなり広めにして薄く掛けた感じと言うイメージでしょうか。
Pfに使用する際にはJazzなどの際には、僅差でK67xのほうが向くかなー、という印象です。DsのOverheadなども良いのではないかと思います。
As ambient mic in Ds recording session
というわけでスタジオに持ち込んでチェックしてみました。
Dsの録音で使用しようかと思いましたが、流石にOn-mikingはまずいだろうと思い、また、中域に個性があるのでオンマイクというよりはRoomマイクとして使用してみました。マイクの場所がある程度影響を受けるのはもちろんですが、やはりアンビエント収録が向いている印象でした。広めのスタジオで壁面が木製の仕上げなどの場合に非常に良い仕事をしてくれそうです。
総合しての印象ですが、イメージとしては中域が少し前に出てくるイメージで、他にもしっとりとした女性VocalやAoustic Gt、小編成の弦楽にも向くと思います(Celloとかはすごく相性良さそうです)。
BongoやCongaもマッチしそうです。他にも音量がそこまで大きくなければPercussionにも良いと思います。
Afterwords
Mini Kシリーズを2機種見てきましたが、大きなポテンシャルを秘めている印象です。こうなると残りのmini Kシリーズも試してみたくなります。K87などはオールマイティに使用可能なマイクなのでしょう。
PADや指向性切り替えがない分、マルチユースとまでは参りませんが、スイッチが少ないのは音質面からは有利です。価格的にも個人ユーザー向けな印象ですが、スタジオ定番には無い個性を持つシリーズなので、Engineerの方が1本持っておく、も面白いマイクだと思います。
date:
checker:Takumi Otani
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