Roland
R-MIX
今回はRolandのAudio Processing Software R-MIXを見て行きましょう。メーカーページには
先進のV-Remastering技術とVariPhrase技術により、音楽をビジュアル化し、リアルタイムのコントロールを可能にするソフト。
と書かれています。
百聞は一見に如かず,早速見て行きましょう。
Product Overview of R-MIX
ソフトはWin/Macに対応しており,インストールは簡単です。
サポートされているFileは44.1/48kHz 16BitのWave Fileです。
画面もわかりやすく,取り込んだWave Fileは下部に表示されます。再生しなくてもTime Rulerを移動させるとその場所のHarmonic Placementが表示されます。おそらくファイルのインポートの際に解析しているのでしょう。
Harmonic Placementの表示画面もわかりやすく,画面の下部が低音,上部が高音となっています。
周波数のガイドになるようにラインがひかれていますが,上から16kHz, 8kHz, 4kHz, 2kHz, 1kHz, 500Hz, 250Hz, 125Hz, 62.5Hz, 31.25Hzとなります。
Function of R-MIX
さて,ではR-MIXで何ができるのか見て行きましょう。大きく分けて,5種類の目的に合わせた作業が可能です。
- 画面の赤で囲まれた領域(以下便宜上"ターゲットリージョン"と呼びます)の内部と外部の音量を変更可能です。
- ディレイやリバーブなどのエフェクトを付加可能です。
- ノイズのキャンセルが可能です。
- ファイルのピッチの変更が-12 ... +12半音まで可能です(テンポはそのまま)。
- ファイルのテンポの変更が50%-130%まで可能です(ピッチはそのまま)。
実際に見てみるまでは「音を可視化するとは言え,リサージュみたいな感じで見る人が見ないとないとわかんないんじゃないのかなー」と思っていたのですが,Harmonic Placementが思ったより見やすいです。初めて操作する方でも楽器の特定も簡単ですし音像配置などもすぐにわかると思います。
耳コピーやカラオケ(ボーカルだけではなくギターやベースのマイナス・ワン)も簡単に作れるでしょう。
特筆すべきはその手軽さ!例えばNoise Cancelなどはノイズの種類を選んでその効果の深さを選ぶのみ!
これだけで結構取れてくれます。
実用的な用法では
耳コピー
- ターゲットリージョンをコピーしたい楽器にフォーカスさせます。
- OUTSIDEのLEVELを少し下げます。相対的に対象楽器が大きくなります。
- 必要に応じてTEMPOスライダーでテンポを落とし,早いパッセージなどをコピーしやすくできます。
A-Bリピートなども簡単に指定可能なのでリモコン,またはiPod片手に耳コピー,という状態から開放されます。
カラオケ
上記「耳コピー」の逆の発想です。ターゲットリージョンの音量を-∞ dBにできますので結構な精度のカラオケバージョンを作成可能です。
何より他の部分への影響は皆無ですので,カラオケバージョンとしてのクオリティはなかなかのものです。
MixingでVocalを抜いたいわゆるマイナス・ワンにはさすがに勝てませんが,いろいろなメーカーから出ているボーカルトレーナーなどと比べると段違いです。歌ってしまえば気にならないでしょう。
レストレーション
レストレーションというとちょっと大げさかもしれません。様々なPlug-inが発売されています。確かに性能としてはそちらのほうがはるかに上ですが,よくわからない専門用語に向き合わないと行けない,ということもあるでしょう。何より値段が違います。
ポータブルレコーダーの普及で発表会などを録音する方も増えているのはないかと思いますが,ベストな環境で録音できるとは限りません。風のノイズが入ったり,エアコンのノイズが入ったり...。
上記のNOISE CANCELであっさりとれてしまいます。ただ,Filterが入りますので,音質はある程度変化します。このへんはユーザーさんの匙加減なでしょう。まぁ,違和感が出る辺りでやめておくのが良いかと...。
音源解析
市販されているCDの音源を取り込んで見ていろいろ解析するのも楽しい作業でしょう。
僕もリファレンスソースを取り込んで見てみましたが,シンバルが鳴った瞬間などはHarmonic Placementの上部の左右に変化が出ますのでかなり見ていて楽しいです。
ラフミックスとファイナルミックスを比べてみる,なども楽しい作業かもしれません
百聞は一見件に如かず,と書いておいて「見る」ものが無いのもまずいと思い,ちょっとした解説動画を作成しました。
動画の0:18-0:25あたりからの設定は実際の使用の際には必要ありません。収録用の設定です。
右下の設定から「全画面表示 」「1080HD」を選んでいただけますと,高解像度で詳細がわかりやすいと思います。
Ver Upの際のリクエスト...
ここにさり気なく書いておけばVerUpの際に対応してくれるのかもしれないので...。
今回Win/Mac両方でチェックしましたが,出来れば標準的なショートカットには対応させて欲しかったです。例えばですが,
- 保存=Command+S
- 新規プロジェクト=Command+N
- プロジェクトを開く=Command+O
- 素材の取り込み=Command+Shift+I
- 素材の書き出し=Command+Shift+E
などなど...。
あとドラッグ&DropでFileをimportできると嬉しいですね。
DAW上でReferenceと簡単に比較できるようにPlug-inになると色々楽ちんかもしれません。
ハイレート/ハイビットにも対応してくれるといちいち変換しなくて済むのありがたいですね。
Harmonic Placementの縦軸も周波数ベースのガイドラインだけではなく,音程ベースのガイドラインがあってもいいのかもしれません。
Afterwords
専門家の方はさほど必要では無いのかもしれませんが,一般の方には歓迎されるソフトだと思います。
耳コピーがやりやすくなり,カラオケテイクなども比較的簡単に作れます。
また,名盤と言われる音源の解析などにも役立つでしょう。
つくば店/土浦店でデモ可能ですのでお気軽にご来店くださいませ。