Ribbin Microphones for Gt. amp

今回の製品レビューはYouTube連動です。弊社YouTube Channel PlantubeにRibbonn Micに関する動画を掲載しましたが、本ページは、それを更にfollow upする目的での掲載です。

動画が先か、本ページが先かはあまり問題では無いと思いますが、流石に動画をご覧いただかないと本ページの内容もわかりにくいと思いますので、ぜひご覧ください。

Product Overview of Ribbin Microphones

さて、今回は16本のRibbon MicをGt ampに対して試した、という内容です。動画内では僕の直感で他の楽器にも向くんじゃないか、というコメントもあります。また、ここでは動画に掲載できなかったトピックも記載したいと思います。

今回試した16本は、

BrandModel動作回路開回路感度最大音圧レベル等価雑音レベル周波数特性
dBV re 1V/PadB SPLdB SPL(A)Hz
1AEAKU5AActive-43.01352020,000
2N8Active-41.61412020,000
3R84Passive-52.01652020,000
4audio-technicaAT4080Active-39.0150222018,000
5AT4081Active-42.0150253018,000
6MXLR77Passive-55.01352018,000
7Royer LabsR-10Passive-54.01353015,000
8R-121Passive-50.01353015,000
9R-122 mkIIActive-36.0135183015,000
10SAMAR AudioAL95Passive-55.91402025,000
11VL37Passive-54.01402025,000
12VL37AActive-41.51402025,000
13sE electronicsRNR1Active-33.0135182025,000
14VR1Passive-55.0135192018,000
15VR2Active-40.0135182018,000
16X1RPassive-55.0135232016,000

です。

リボンマイクはナローレンジ、という印象を持たれる方も多いと思いますが、一番狭いものでも8.96 oct.の帯域幅を持っています。もちろん周波数特性曲線がコンデンサーマイクの様にいわゆるFLATでは無いので全く同じ印象を受けることはありませんが、使用する楽器とマッチングが取れれば問題ないと思いますし、今回の動画はNo EQでの収録ですが、音が籠もっている、ヌケが悪いと感じる方は少数では無いかと思います。一番ワイドレンジな製品は10-25,000Hz(10.28 oct.)と可聴領域を超える帯域をカバーしています。

また、大音圧に弱い、というイメージもあると思いますが、135dB SPLを超える最大音圧レベルを持っていますので風圧(Kickのholeなど)がガチに加わらない限りそう簡単に壊れることはないでしょう。

動画では各16本のClean tone, crunch sound, Overdrive, Distortionに対するコメント、という感じですが、ここでは各マイクの印象を中心に記載したいと思います。同じ現象を切り口を変えて記載する形になりますのが、重複する部分があるのはご容赦ください。

Sound Impression of Ribbin Microphones

KU5A [Audio Engineering Associates (AEA)]

KU5AはRibbin micとしては珍しい単一指向性のマイクです。

高域は落ちているのですが、6kHzあたりでしょうか、ちょっとしたPeakがあるので声などに使用してもくっきり抜けてくる感じがあると思います。

N8 [Audio Engineering Associates (AEA)]

今回試したAEAのマイクの中では一番Juicyという印象です。E Gtの他には、StringsやJazzのPfにむくと思います。

中低域がしっかりとしていつつ高域の明るい感じもあるのでヌケが悪いといったこともなく、Ribbon Mic特有のDaynamicsのPeakをうまく逃がしてくれる感じもありますので広い用途に使用していけると思います。

個人的にはStringsの収録にも使ってみたいと思いました。

R84 [Audio Engineering Associates (AEA)]

完全に見た目でチョイスしたRibbon Micです。動画には写っていませんが、収納用のケースが素敵で馬場先生と盛り上がっていました。

Passive Ribbon Micということでやはり高域特性は前の2機種には及ば無いものので太めな音質は魅力で、枯れた感じのCleanや太めのDistortionにはもってこいです。

Audio Engineering Associates (AEA)

AEAのすべてのマイクを試していないので、上記3本の印象、ということになりますが、リボンマイク、という限られた製品枠のなかで実に多彩な製品があると感じます。

Ribbon elementは全て同じなのでActive Preampの回路設計などで味付けしているのでしょうか。

N22や他の製品も試してみたくなりました。

AT4080&AT4081 [audio-technica]

audio-technicaのActive Rebbon Micです。独自設計のデュアルリボンユニットを搭載しているとのことです。

決して悪い意味ではないのですが、今回試した16本のマイクの中で一番Ribbon MicらしくなかったのがAT4080とAT4081です。もちろんRibbon Micの特徴は健在のなのですが、それでいて、高域に特有の明るさ、伸びを感じました。

複数本のマイクが立っていたら、「あれ、結線間違えたかな?」と思うのではないかというくらい、僕が持っていたRibbon Micのサウンドの印象と離れていた、興味深い2本です。

10年以上前ですが、AT4081をレビューしたしましたが(Entryはaudio-technica AT4081製品レビューから。)、AT4080は太めな存在感を残しつつも高域までしっかりしているマイクで、AT4081はすっきりしており、明るめな音質のマイクです。

今回の企画に沿って解説すると、Backing trackはAT4080、obbligatoやsoloのフレーズはAT4081で収録したい、という印象です。

最大音圧も150 dB SPLまで対応していますので風圧が出るようなソースではなければ広く使っていけると思います。

R77 [MXL]

今回試した16本の中では比較的安価な部類に入るR77ですが、叩き出している音質は決して高級機種に負けていません。僕が持っている,Ribbon Micのサウンドイメージに近い1本です。
AEA R84と並んで「見た目の(Classicな)Ribbon Mic感」もたっぷりです。

Clean tone, Crunch, Overdrive, Distortion、どれも説得力のある音質で収録できています。

E Gt.以外にも、少し距離をとったHorn sestionや、DsのRoomなどにも良いと思います。

R-10 [Royer Labs]

Ribbon Mic復興の火付け役といっても良いのではないかというRoyer Labsの、比較的新しい製品です。Royer Labs全体の製品群の中では安価な方に入りますが、上位機種に負けてい無い、上位機種にはない良さを持ったマイクです。

Passiveだからなのか、やや乾いた印象も受けますが、全ての音色に置いて遜色がない印象です。少なくともE Gt.の収録においてはバランスの良い1本と言えるでしょう。

Guitaristが1本目のRibbon Micとして購入する時にもお勧めできる1本です。

R-121 [Royer Labs]

Royer Labsの顔、といっても過言ではないマイクでしょう。Royer LabsをModern Ribbon Micのメーカーたらしめたマイクと言っても良いかもしれません。

今回試したマイクの中で一番聞いたことがある音がする印象のマイクでした。

E Gt以外にもHorn sectionやPfなどにも良さそうです。

R-122mkII [Royer Labs]

Active Ribbon Micです。音質はR-121にとても似ていますが、やはりActive回路のせいか少し艶を感じます。

また、正面と背面で少し周波数特性が異なるようで、今回は試せませんでしたが、1本で2種類の音色を得ることが可能です。

HPFやPADも搭載していますので広い用途に使用可能ですし、高感度ですので繊細な音質の楽器の収録に向くかと思います。

AL95 [Samar Audio Design]

Samarの製品の中では安価な部類に入るVL95ですが、その音質は上位機種に負けていない印象です。コンパクトで可愛く、ギターサウンドの収録にとても向いている印象です。

上位機種と比べて感度は低いので比較的高音圧な楽器のほうがSNはよく収録できると思います。

VL37 [Samar Audio Design]

VL37はその昔レビューしましたがその時の印象まんまです。

リボンとは思えない音質(=周波数特性)とその音質が非常に僕の好みだったのを記憶していますが、今回比較することによりそれが確信へと変わりました

Engineerとして「こんな感じに取れてほしいな」という感じがそのまま入ってくる印象のマイクです。

VL37A [Samar Audio Design]

VL37のActive Modelといって良いVL37Aですが、Activeのせいか、高域に明るさを感じました。今回はさほど気になりませんでしたが、感度もVL37と比べて、12.5dB高くなっています。これはぜひ現場に導入したいマイクですね。

そのくらい頼りになる印象です。

RNR1 [sE electronics]

sE electronicsとRupert Neve Designsのコラボ製品です。RNR1とあるということは2以降も計画があったのでしょうか? Neve氏がなくなった今となっては叶わぬ製品なのかもしれません...。

印象としてはCleanよりもCrunch、CrunchよりもO/D,Distortiopnのほうがマッチするかなという印象です。GtのみならずPfなどにもとても合うと思います。

今回試した16本の中では最高感度(AKG C414とほぼ同じ)を誇るRNR1ですが、等価雑音レベルは小さめです。ということは弱音楽器にも使用できそうです。さすがにC414のノイズレベルには勝てませんが、リボンマイクの中では優秀な値を叩き出している、といってよいでしょう。

動画コメント内でも少し触れましたが、Pfを中心とした小編成のセッションなどの場合には非常に良い結果を生んでくれそうです。

Wood bassやStrings sectionにも合いそうな印象です。

VR1 [sE electronics]

sE electronicsのPassive Ribbon Micです。コンパクトで小回りの効きそうなマイクでで、そつなく音を収録してくれそうな印象です。リボンマイク初心者(?)にもおすすめできるマイクです。

試聴のタイミングがRNR1の後ということでVR1,2は貧乏くじを引いた感が否めませんが、特段欠点の無い使いやすいマイク、という印象です。

VR2 [sE electronics]

VR1のActive versionといって良いのかもしれませんがサイズは一回り大きいです。Active回路ということもあってやはり艶のようなものを感じます。

Active回路ということで感度も高くRNR1と同じくWood bassやStrings sectionにも合いそうな印象です。

X1R [sE electronics]

Overdrive, distortionの音色で価格以上の音質を叩きだしてくれたマイクです。動画内コメントにもありますが、程よい粗さ、みたいなものがあり、Ds recのRoom/ambientにも向くと思います。当たり障りの無いRoom、というよりはDsをぐっと濃くしてくれる感じのRoomになりそうです。

Afterwords

今回はエレキギターでのチェックとなりましたが、Pfなども面白そうですね。どこかの公式YouTubeで言っていましたが、ソースの音圧が比較的高いのであれば無理に好感度なActiveを使用しなくても良いとのこと。言われてみればそのとおりですね。

我々の場合、弱音楽器だけど、あのリボンの質感がほしい!みたいなこともあるかもしれないのでActiveも大きく視野に入ってきますが、Guitaristが宅録用に1本、となるとそのへんはあまり気にしなくても良いような気もします。

屋内できちんと保管/運用すれば運用に恐れることはありません。その証拠(?)にCAD TRION7000は導入後14年以上に渡り僕の録音で活躍してくれています。

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checker:Takumi Otani

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