RCF
EVOX 12
RCFのレビューが続きますが,たまたまです。
EVOXシリーズはInterBEEでエレクトリさんのBoothでEVOX8を試聴し,非常に印象がよく,どこかで使ってみたい,という思いがありました。今回,とあることでいろいろ話をしていた時にデモ機をお借りできるとのこと。ありがたく使わせていただきました。
Product Overview of EVOX 12
まずはSpecから参りましょうか。
音響仕様
- 周波数特性
- 40 Hz ... 20000 Hz
- 最大音圧レベル
- 130 dB
- 水平指向角
- 90°
- 垂直指向角
- 30°
- コンプレッションドライバー
- 8 x 4インチ, 1インチ ボイスコイル
- ウーファー
- 15インチ, 3.0インチ ボイスコイル
入出力
- 入力コネクター
- フォンジャック/XLRオス
- 出力コネクター
- XLRメス
- 入力感度
- -2 dBu / +4 dBu
プロセッサー
- クロスオーバー周波数
- 180 Hz
- プロテクション
- サーマル, RMS
- リミッター
- ソフトリミッター
- コントロール
- ボリューム, EQカーブ,
アンプ
- トータルパワー
- 1400 W PEAK / 700 W RMS
- 高域
- 400 W PEAK / 200 W RMS
- 低域
- 1000 W PEAK / 500 W RMS
- クーリング
- 自然空冷
- コネクター
- VDEコネクター
キャビネット
- キャビネット素材
- バーチ合板
- ハンドル
- 両サイド x2 上面 x1
- ポールマウント/キャップ
- あり
- カラー
- ブラック
外観
- 外形寸法(HWD)
- 2220 mm x 410 mm x 560 mm
- 重量
- 36.4 kg
EVOXシリーズはコラム型ラインスピーカー+サブウーファー,という組み合わせになっており,DYNACORD Vertical Arrayシリーズと同種のコンセプトの製品といって良いと思います。
パワードですのでアンプも搭載されており,X-OverなどはDSPが制御しています。ユーザーエンドで変更することは不可能です。
EVOXシリーズ最大のモデルということもあり,お世辞にも軽いとは言えませんが,キャスターとハンドルが標準装備なので運搬にこまるようなことはありませんでした(段差を除く)。ただ,アンプを搭載していても総重量37kg(運搬時にはHMユニットは別)ですので特に力が必要,という印象でもありません。
水平指向角が90度というのは結構ありがたいですね。屋外だと120度あたりがカバーエリアが広くて歓迎されると思いますが,少なくとも今回はステージのすぐ前において斜め45度に設置すればOKです。アレイスピーカーバンザイです。
Sound Impression of EVOX 12
現場で使う前にマイクで音を出してみたのですが,InterBEEの時と同じく非常につながりが良いスピーカーです。
ARTシリーズと同じく低音をブーストするスイッチが有るのですが,Flatの状態でも「低音少し削りたいな」と感じる音質ですので,できれば-3,0,+3 dBのコントロールがほしいかなと思います。
モワッとしている,という印象ではないのですが,やはりClubなどへの導入が多いRCFらしいと言いますか,そういう印象です。
ART 712-A MK IIのレビューの時に少し書きましたが今回気になった低域も110-130Hz辺りでした。
さて,改めて現場に持ち込んで試してみました。アコースティックなものやバンドの演奏が有る,というLiveです。会場は移動式観覧席175+130席くらいの会場です。多目的ホール,というと伝わりやすいでしょうか。客席エリアが17m x14m, Stageは5m x12mくらいでした。
今回EVOX12はFoHとして使用しました。デモ機を借りれる,という話になる前はE/V Sx300/TX1181= 2/1対向を考えていました。出力としては300 x2+500W= 1100W(Sx300/TX1181)と700W (EVOX12)と差があります。dBで換算すると2dBほどです。またSx300がポイントソース,EVOX12がラインソースということを考慮すると客席でのSPL値は同じくらいと考えていいのかな,という印象です。
EVOX12のマウントポールが結構長いのでスタンディングだとちょうど良いのですが,座席だとちょっと高いと思います。
接続が完了し,まずCDで回線確認を行った時に感じたのが,レンジが広い,ということです。サブウーファーがあるのであたりまえかも知れませんが,サイズの割に量感があるというんでしょうか。今回の会場に関してパワー不足の印象は一切ありません。
パラメトリックEQでFoHをチューニングしましたが,これも難なく終了,クロスがどこなのか意識させることなく綺麗につながっています。前述のとおり,この日のコンサートはアコースティックなアンサンブル中心ですが,バンドスタイルの出演者やエレクトロニックな出演者もいる,というやや変則的なコンサートでした。しかしもうこの時点でコンサートの成功が予見できる確かな手応えを感じました。
実際にリハに移るわけですが,リハ中に感じたのがラインソースの定位の良さです。ポイントソースは上下にもそれなりに音が出ていきますから不必要な反射も起こりますが,ラインソースなので,それは最小限に抑えられます。客席後方まで行ってみましたが垂直方向の指向性30度というのは嘘ではありません。最後部で立ち上がると急に寂しくなります。
また,リバーブも広がる広がる。リハを聞いていた出演者にも評判だったとか。
SpeakerをEVOXに変えればそうなるという魔法のシステムではありませんが,プラスの影響を与えてくれていることは間違いないでしょう。
リハ中にステージに上がって回る込みなど確認したのですが,ほとんどありません。屋内の会場だとFoHの音量を上げる
↓ステージに干渉し,モニターを上げざるを得なくなる
↓モニターの音がFoHに干渉し音が濁る
↓客席へのモニターの干渉を相対的に下げようとFoHのVolを上げる
↓
最初に戻る。
というアンハッピースパイラルが待っていることがありますが,そんな気配は一切ありません。
撤収もあっという間に終了最初のSx300+TX1181よりも物量も少なく楽ちんです。
Afterwords
300人キャパのホールでバンド物がしっかり出せた,という印象です。ラインソースのなので屋外でのイベントでもしっかり音を遠方まで飛ばしてくれます。
コンパクトでハイパワーなスピーカーをお探しの方,タイミングが合えばデモも可能です。ご希望の際にはお気軽にお問い合わせください。
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