RCF
ART 315-A MK III
今回見ていくのはSRスピーカーです。製品レビューを細かく呼んでいただいている方はなんとなくおわかりかと思いますが,製品レビューの対象は主にRecording関係の製品が多いです。もちろんそれ以外もありますが,マイクやスタジオモニターなどが多めの割合を占めます。なので今回のレビューはかなりレアなケースです。
カテゴリー的には「ポイントソース パワードスピーカー」です。さっそく見ていきましょう。
Product Overview of ART 315-A MK III
RCFについて簡単に説明しておきます。RCF社は1949年に創業された業務用・プロ用音響機器専門メーカーです。SRスピーカーが主な製品ですが,Studio Monitorや設備向けスピーカー,コンパクトミキサーなども製造しています。
僕の印象では本国でClubなどに多く使用されている印象がありましたが,数年前InterBEEで実機を効いた時には「極端な色付けがなく使いやすそうなスピーカー」という印象でした。
紛れもないEU加盟国なのででてくる音はヨーロピアンサウンド,といって差し支え無いと思いますが,ドイツ系のヨーロッパとはまた異なる印象です。
音楽的にはイタリアはOperaを産んだ国です。ベルリン・フィルやウィーン フィルを擁するドイツ,オーストリアのマイクメーカーの存在は今更説明の必要はないと思います。クラシックという長い伝統を持つジャンルが身近にある国のスピーカーですから期待は膨らみますね。
さて,Specから参りましょうか。
音響仕様
- 周波数特性
- 45 Hz ... 20000 Hz
- 最大音圧レベル
- 129 dB
- 水平指向角
- 90°
- 垂直指向角
- 60°
- コンプレッションドライバー
- 1インチ, 1.5インチボイスコイル
- ウーファー
- 15インチ, 2.5インチボイスコイル
入出力
- 入力信号
- バランス / アンバランス
- 入力コネクター
- XLR
- 出力コネクター
- XLR
- 感度
- 0 dBu
- マイク入力感度
- -40
プロセッサー
- クロスオーバー周波数
- 1650 Hz
- プロテクション
- DC/ショートサーキット
- リミッター
- ファストリミッター
- コントロール
- ボリューム, EQ設定
アンプ
- トータルパワー
- 800 W PEAK / 400 W RMS
- 高域
- 200 W PEAK / 100 W RMS
- 低域
- 600 W PEAK / 300 W RMS
- クーリング
- 自然空冷
- コネクター
- VDEコネクター
キャビネット
- キャビネット素材
- コンポジットポリプロピレン
- ハードウエア
- 4 x M10フライングポイント
- ハンドル
- 側面2箇所, 上面1箇所
- ポールマウント / キャップ
- あり
- カラー
- ブラック
外観
- 外形寸法(HWD)
- 680 mm x 405 mm x 345 mm
- 重量
- 19 kg
精悍な見た目の感じのブラックで,19kgとサイズの割には軽めです。入力感度もMic/Lineに対応しますので,Mic+ART 315-A MKⅢでとりあえずスピーチ,といったことも可能です。
Sound Impression of ART 315-A MK III
さて、今回ART 315-A MK IIIを試すことになったのは某大学アカペラのサークルさんがSpeakerを買い換えたい、との相談を受け、予算などからある程度機種を絞ったのですが「まぁせっかくだからデモしようか」という話しになりました。
スケジュールを調整し、搬入-技術セクションでチェック。その後実際にバンドに歌ってもらう、という流れです。
Referenceのためにサークルが現在使用しているスピーカーも用意してもらいました。
デモには他にももう2本用意してあったので合計4種類のSpeakerを切り替えて音楽を再生したり、声を出したりしていました。
僕もReference Sourceを掛けさせてもらったり、マイクでレスポンスを確認させてもらいましたが,そこでの印象は「ちょっと慣れない感じの低域のSpeaker」という印象です。「扱いづらい」というニュアンスではなく「初めて低音」という感じです。あえて言うとMackieのそれに近い部分もありますが、もう少し控えめな感じです。でも遅いという感じではありません。どっしりした印象はあるのですが、過不足のない印象です。
Low Boostのスイッチがあるので試しに押してみましたが,確かにKick-Bassあたり周波数がドカンと出てきます。試した屋内会場の特性もあり,デモということもあり,フラットとなセッティングでチェックすることになりました。
さて,実際にFoHとしてステレオで配置しTuningを施し演奏してもらいました。演奏家の印象としては「15インチの低音が気持ちいい。」「今までのSpeakerよりくっきりしている。」などの評価をいただき,PAセクションの学生さんからは「今までのスピーカーと同じ感じでまとめやすそう」と評価を頂きました。
実際に機種選定で採用されたのは上位機種のモデルだったのですが,なかなかスピーカーを比較する,という事がないのでしょう。皆さん興味津々でした。
Afterwords
ぽんと置いてしっかりなってくれる印象のスピーカーです。
後日,採用となったART 7 シリーズのレビューも公開しますのでお楽しみに!
date:
checker:Takumi Otani
RCF,ART 315-A MK IIIショップページへ