PreSonus
PreSonus StudioLive™ AI 製品発表会
レコーディング関係の製品を過去に数多くリリースして来たプリソーナスがミキサーとSR向けパワードスピーカーをリリースしました。オタリテックさんからご招待を頂き発表会におじゃましてきました。
その時の様子を交えつつ紹介していきます。
Preamble
ミキサーは過去にもラインナップとしてあったのでさほど違和感は無かったのですがSR向けパワードスピーカーとなると一瞬PreSonusというブランドイメージと結び付きませんでした。
極端な例えですが,ハンバーガーチェーンのマクドナルドのメニューに焼き魚定食が加わったような印象です。
とはいえ、弊社Annex RecにもPreSonusのHA MP20は採用されており僕のお気に入りのHAの一つです。
ミキサーとスピーカーの音質をチェックするべく製品発表会に行って来ました。
今回リリースされた製品はActive Integration seriesと名付けられ統一されたコンセプトの基開発されたようです。
今回見ることができたのはミキサー3種類、スピーカー4種類です。
StudioLive™ AI Digital Mixing System
まずはミキサーから参りましょう。
最近のデジミキらしく(?)iPadコントロールも可能(専用アプリSL-Remote AIが必要です)でメーターなど含め詳細を確認、制御することが可能です。
3種類の一番大きな違いはサイズです
モデル名からも分かるとおり16ch,24ch,32chです。サウンドエンジンは共通とのことですがサイズの関係で盤面から機能もあるとのことです(Qのコントロールなど)。それらもiPadでコントロール可能です。
奥行き高さは共通で幅のみ変わります
- StudioLive 16.4.2 AI:478mm
- StudioLive 24.4.2 AI:568mm
- StudioLive 32.4.2 AI:802mm
です。PreSonus StudioLive 16.4.2 AI はラックマウント可能です。
またAux Outの数が
- StudioLive 16.4.2 AI:4
- StudioLive 24.4.2 AI:10
- StudioLive 32.4.2 AI:14
となります。
所謂Selected channel方式で
- HPF
- phase
- dyn(gate,compressor,limiter)
- 4band full-parametric EQ
は常に見えるようになっています。
Faderは100mmでムービングフェーダーではありません。
見た目がタッチセンスっぽいのと「デジミキはムービングフェーダー」という勝手な先入観で、接続されたiPadをいじっていたのですがムービングではありませんからもちろんフェーダーは動きません。
通信エラーかなーと思っていると状況を察したスタッフが「すいません。動かないんですよー」と声をかけてくれました(素晴らしい状況把握能力に脱帽です)。
説明を受けることしばし、Faderはmain mix のみでauxなどは中央にあるノブで制御するとのこと。また,AUXのマスターもアナログノブなのでリコール不可能です。
ただしFaderもデジタルなのでシーンとしては覚えてくれるそうです。
Meterモードを"Fader"にして画面を見ながら手動でリコールして行くとのことでした。シーンをリコールした瞬間に内部的にはFaderの位置は呼び出されているので音はメモリーしたシーン通りに出ます。
SSLのTotal Recallに近いイメージでしょうか(余計わかりづらいですかね。スイマセン)。
HAもリコールされませんし,こちらは覚えてもくれません。
eqやdynは皆さんの持っている通りのイメージでリコールされます。
なんとなくかも不便では,と思いましたが,HAがリコールできないデジミキもありますし,デジミキの修理で一番多いのがMoving Faderの交換なのだとか。確かにあの部分が壊れると厄介です。
そういう意味では英断なのかもしれませんし,現在どのレイヤーにいるかいちいち確認しなくても済むというメリットもあります。慣れてしまえばなんてことはない部分かもしれません。実際,前の機種StudioLive 16.0.2でOpeをやったことが何回かありますが,すんなり操作できた記憶があります。
また中央のChannel Strip section(Fat Channelと呼ばれています)の機能はSelectで確認することが可能ですが、AuxやFX sendにも同様に有効とのことです。ただしphaseだけはinputのみとのことでした。
ステレオカップリングも簡単でStereo Linkボタンを押すだけです。奇数chはLeftに偶数chはRightにアサインされます。ですので4/5chをリンク,というようなことはできません。ステレオリンクした時にはPanノブはWidthノブとして機能しますが,LRを入れ替えることはできないようです。
いじってみて改善してほしいかな,と思ったのがmeterの表示がやや見づらい,という部分です。iPadを使用すれば問題無いのですが,単体だと「ch2のAUX4への送りを3dBあげたい」という時にどのくらいなのかというのがわかりづらいです。
実際のところはミュージシャンがOKというところまであげるので細かい数値はあまり気にならないのかもしれませんが,目安としてほしい時はあるので判るに越したことは無いかな,と。
Meterも本体で確認できるのですが監視はiPadで行い,本体のメーターはFat Channelを呼び出しておく,というのが正解な気がします。
さて肝心の音質音質ですが,結構自然な印象です。MP20のキャラをイメージしていたのでちょっと肩透かしを喰らいました。
先入観って良く無いですね。
EQ,Dynともにやはりナチュラルな印象です。
ガッツがある感じでは無いのでちょっと物足りないという方もいらっしゃると思いますが実際のバンドをオペしている瞬間も聴けたのですが、無理ない感じと言うんでしょうか。
疲れない感じの音質です(オペレータにも大きく影響すると思いますが...)。
他の機能も見て行きましょう。
FireWireで接続しinterfaceとしても使用可能です。
それぞれ16,24,32のdirect outがPCに送れます。また各チャンネルのDボタンを押すことによりPCのアウトをmixerに立ち上げることが可能です。
基本的にXLR入力の回線はDirect-Outに出力されています。DB25のケーブルで出力されていますし,前述の通りPCに送ることも可能です。
オケをパラ出ししたい場合などに持ってこいのミキサーです。
Capture2と呼ばれるDAWソフトも付属します。別会場の音源を録音しておいて,ミュージシャンが来る前にチェックを行う,ということも可能です。専用アプリSL-Remote AIを用いてiPadでのコントロールガ可能,と記載しましたが,iPhone,iPodTouchからも若干の制限がありつつもワイヤレスネットワーク上のStudioLive™ AIミキサーをコントロール可能です。iPhoneに専用アプリ,Q-mix AIをDLしてもらって,Cue Boxのように使用してもらう,ということも可能です。
Win/Macで使用可能なVirtualStudioLiveAI(VSL-AI)というソフトもあり,ミキサーがなくとも設定を行えます。VSL-AIにはフルバージョンよりシンプルになってはいますが,Rational AcousticのSmaartが付属します。コアエンジンは同等とのことです。
またこれらのソフトは緊密に一体化が図られており柔軟性があります。
StudioLive™ AI PA Loudspeaker
さてスピーカーも見て行きましょう。
- StudioLive 312AI
- StudioLive 315AI
- StudioLive 328AI
- StudioLive 18sAI
と,現時点でのラインナップはり4種類、フルレンジ3種類とサブウーファーです。
DSPを内蔵しておりデジタルアンプを搭載しています。DSPの内部処理は32bit96kHzです。
フルレンジにはマイク入力も有り、とりあえず声を出したい、と言う時に使用できます。
入力のコントロールですが、マイクゲイン,ラインアッテネーター,スピーカーアッテネーターでそれぞれ
- Mic:OFF ... +48dB
- Line:-24dB ... 0dB
- Speaker:-24dB ... 0dB
すべて連続可変です。マイク入力には+15Vのファンタムがかけられます。
周波数特性などは商品詳細ページをご覧いただくとして共通する特徴的なポイントを幾つか記載していきます。
まず驚いたのが消費電力の少なさ,1/8パワー時にフルレンジは250W,18sAIは150Wです。これでいてフルレンジは2000W,サブウーファーは1000W出力なのですから大したものです。
フルレンジはフロアモニターセッティングも可能で,DSPにも"Floor Monitor"というモードが用意されています。
サブと組み合わせた時のHPFですが100Hz 24dB/octのLinkwitz-Rileyとなります。
デモLiveが終わった後,ステージにFloor Monitorとして使用されていた328AIでOne-Two チェックをさせてもらったのですが,8インチなのに低域もしっかり出ていました。
この時のFoHは315AI/18sAIが1/2のセットでIn-Fillに312AIでした。うるさすぎず,前述のとおり無理の無い印象です。不足感もなく,おそらくもっと出すことが可能だったのでしょう。大きなポテンシャルを感じます。
スピーカー本体に搭載のDSPも専用アプリ"SL Room Control"を使用することにより,Win,Mac,iPadでリモートコントロール可能です。スピーカーのグルーピングやそのグループの31band Graphic EQの制御,8band Parametric EQ,8このNotch Filterなどなど,StudioLive™ AI Digital Mixing Systemの機能と組み合わせればだいぶ追い込む事が可能ですし,その設定を保存しておける,というメリットもあります。
Afterwords
現在Danteでの接続を可能にする開発を進めているそうです。
となるとアナログケーブルの引き回しも不要になり,長距離の伝送が可能になりますね。
設備等に非常に向いているシリーズでは無いでしょうか。
付属するソフトVSL-AIのお陰でメンテも楽ちんです。
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