LAUTEN AUDIO
Tom Mic

今回はコンデンサーマイクを見て行きましょう。Lauten AudioのTom Micです(Kikutani Y本さん、手配ありがとうございます)。FETコンデンサーマイクを多く生産しているメーカーで過去にはFC-357 Clarionのレビューを書いたこともありました。

早速見ていきましょう。

Product Overview of Tom Mic

かつてはSignatureシリーズが主だったような記憶がありますが、製品のバリエーションが色々広がっていました。

現在は既述のSignatureシリーズに加え、SYNERGYシリーズ,BlackシリーズそしてDrumシリーズがリリースされています。

Specと参りましょうか。

Type
Side-address pressure gradient FET condenser
Capsule
32mm
Polar Patterns
Super-Cardioid
Freq. Response
20Hz ... 20KHz
Dynamic Range
135dB minimum
SPL Handling
>135dB (0.5%THD@1000Hz)
Impedance
>150 ohms
Self-noise level
< 15dB-A
Signal-to-Noise Ratio
79dB
Sensitivity
-58.0dBV/Pa (0dB=1V/Pa 1KHz)
HPF
Flat/80Hz/140Hz
LPF
Flat/5kHz/12kHz
Connector
3-pin XLR
Power
Requires 48v Phantom Power
Dimensions
127 × 60mm (mic only) 131 × 106mm (with mount)
Weight
348g (mic only) 450g (with mount)
LAUTEN AUDIO Tom Mic周波数特性曲線
LAUTEN AUDIO Tom Mic周波数特性曲線

Ds用ということで感度が少し低い(=高音圧向け)かなと思いましたが、そこまで極端に低いわけではありません。同程度の感度の製品ですと、AKG D12VRあたりでしょうか。SHURE SM57の感度が-56.0dBV/Pa, SENNHEISER MD 421 mkIIの感度が-54.0dBV/Paです。ただ、TOM MICがコンデンサーマイクであることを考慮すると感度は低めの設定、ダイナミックマイクと同程度、と言えるかと思います。

ほかに特徴といえば、本体にHPF、LPFを搭載していることでしょうか。HPFは珍しくありませんが、LPFは搭載している機種は希少な印象です(Lauten Audioのマイクには搭載例が多いです)。

Filter settingのQuick Manualが代理店ページに公開されています。

周波数特性曲線からですと、低域にTiltが掛かった印象を受けます。1kHzをUnity Gainとして低域が持ち上がっています。また、HPF、LPFはFilterというよりはShelving EQのような,なだらかにtiltをつけるスイッチのような印象を受けます。Supercardioidなので近接効果はそこそこにあるでしょう。

サイドアドレスのマイクなのでマイキングはし易い印象です。

Sound Impression of Tom Mic

さて、今回はよくOpeに伺うLive houseに持ち込んで試してみました。本数を揃えたかったのですが、なかなかそうもいかず、今回はFloor Tomに使用しました。

デモでお持ちして、「あれ?」となっても怖いので事前にチェックです。まずは録音の現場に持ち込んでみました。

届いたデモ機を開けてみると、こぶりなボディながらずっしりとした重量感です。マイクスタンドのシャフトの回転のみならずマイクマウント部でも向きが変更可能ですのでサイズの割には小回りが効きます。サイドアドレスということもあり、Ride cymbal、Lo-tomあたりが混み合うFloor tomに意外とすんなりマイキングできました(Drummerのセッティングに大きく依存はすると思います)。

DsのTuningを終え、sound checkを行うわけですが、Floor tomの回線のFaderを上げたとき、「!」となりました。コンデンサーマイク特有のtrangentの良さ、太く存在感のある低域、文句なしです。更にsessionを進めていき、4kHzあたりが落ち込んでいる理由がよく理解できました。アタックが引っ込むかな、と懸念していたのですがそんなことは全然なく、Ride cymbalのカブリが軽減できている印象です。

TOM MICに大きな可能性を感じた僕は、前述のLive Houseオーナーに連絡を取り、デモの許可を取り、持ち込んでみた次第です。

その日のLiveは英国叙情派Progressive rock bandCamelのトリビュートバンドの演奏です。3回目の来場でしょうか(過去のLiveの模様はこちら(YouTubeに移動します))。初めていらしたときには、厚見玲衣さんにサインを頂きました(Moondancerの再発初回盤CDです)。

通常Tomには会場備品のSHURE Beta 56を使用することがほとんどです。

さて、すんなりリハも終わり本番です。
終演後、常連のお客さんと少し話していたのですが、「そういえば今日ってFloor Tom、いつもとなにか違いますか?」と質問を受けました。真剣に聴いていくれていたのでしょう。「深みのある音が良かったっす!!」とのことでした。

Tuningと演奏が良かったのはもちろんですが、その上でしっかりとした、それでいて過剰ではない低域とレスポンスが魅力でした。

終了後こっそりとMultiのDataをコピーし(嘘です。ちゃんと許可を得ています)、後日Mixingしてみました(YouTubeのMixは会場のスタッフが担当してくれてますのでこのミックスが公開されることは無いのですが)。前回のLiveと同じ曲のDataと比較してみましたが、EQなどのレスポンスにおいて、コンデンサーマイクであることを感じさせます。

今回はFl tomのみが、TOM MICでしたが、Lo/Hi tomとのつながりもよく、Ds全体として違和感も感じさせません。非常に好印象です。

Afterwords

最近、Recの際にTomのTop, Bottmにマイクを立てることがしばしばなのですが、Liveだとなかなか制御が面倒だな、と感じている自分がいます。全く同じ、とは参りませんがTOM MICは1本でそれに近い音質を得られる印象です。

コンデンサーなのでホコリや水分には弱いかもしれませんが、FesなどでもOperatorさんの持ち込みで見かける機会が増えそうなマイクです。

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