KEMPER
Profiling Amplifier Power Head
デジタルテクノロジーの発展によりギターアンプ/ベースアンプのモデリング,デジタル化が進んでいます。先日レビューしたAntelope Audio ZEN TOURのFPGAもその一つと言って良いでしょう。
そんな中,様々な機材の特性をProfilingできるKEMPERを今回は見ていきたいと思います。正確には弊社ミュージックスクールのベース講師である宍倉先生がKEMPERをお持ちで,自分の好きなアンプをprofilingしたい,ということでEngineerとして参加した,という形です。
早速参りましょう
Product Overview of Profiling Amplifier Power Head
KEMPERのラインナップは大きく分けて2種類,細かく分けると6種類あります。大きく分けて,の観点ですが,
- ラックマウント可能かどうか
- Power Amp回路を搭載しているかどうか
- 色
です。宍倉先生がお持ちなのはProfiling Amplifier Power HeadというPower Amp回路搭載のモデルです。このモデルはパワーアンプ回路を搭載していますのでその名の通りアンプヘッドとして使用可能です。宍倉先生が今回アンプのProfilingを行おうと思い立ったのは「ギターアンプのRIGデーターはたくさん公開されてるんだけどベース・アンプはそれに比べるとほんとに少なくて,自分で作ろうと思った。」と。さすがの行動力です。
Profiling Amplifier Power Headの簡単なスペックを記載しておきます。
- Analog Input
- INPUT:楽器入力用,dynamic range >108dB, impedance 1 MegOhm
- ALTERNATIVE INPUT:1/4 inch TRS balanced with ground lift, dynamic range =105dB
- RETURN:XLR balanced, 1/4 inch balanced with ground lift, dynamic range =105dB
- Analog OUTPUT
- MAIN OUTPUTS:XLR balanced, 1/4 inch TS unbalanced with ground lift max. output level: XLR +22dBu, TS +16dBu
- MONITOR OUTPUT:¼ inch TS unbalanced with ground lift max. output level: +16dBu
- DIRECT OUTPUT/SEND:1/4 inch TS unbalanced with ground lift max. output level: +16dBu
- OUTPUT DYNAMIC RANGE:>108 dB
- DEDICATED HEADPHONE OUTPUT:1/4 inch TRS stereo, 33Ohm
- Power Amp
- 600 Watts @ 8 Ohm
- 300 Watts @ 16 Ohm
入出力が多数用意されていますが,それはKEMPERの「機材をProfileする」という部分からは必要なものばかりです。
Sound Impression of Profiling Amplifier Power Head
実際のProfileの様子に参りましょう。今回の目的はアンプをprofileする,というものです。最初ご自身でやろうとしていたそうなのですがどうせなら電源環境や電源ケーブルもこだわってみたいし,ということでご相談頂きました。
今回ProfileされるアンプはWalter Woodsです。このPower Amp Outの部分までをprofileしたいとのことでした。機材の組わせを色々考えたのですがSpeaker Inを搭載しているAVALON DESIGN U5を使用しLine levelに落としてReturn Inに入力することにしました。もちろんキャビを使用して音をモニターしながらのセッティングです。音作り/微調整を繰り返しながら5種類ほどProfileなさっていました。
Profileの際には3種類の信号がKEMPERから出力されます。ゲームのレーザービームの擬態音のような音,Pink Noise,Pink Noiseのバースト信号です。どの音も非常にスピーカーに負荷を掛けそうな音色です(苦笑。Profileの際に「Clean」をいう選択を外すと上記信号レベルが上がるのか,Profiling中にキャビネットの上に載せていた機材が振動で動いてしまいました(汗。
信号経路ですが,まずBassをKEMPERに。DIRECT OUTPUT/SENDをWolter Woodsに,Walter WoodsのSpeaker OutをAvalon Design U5 Speaker Inとキャビネットに,そしてLine Level OutをKEMPERのReturnに,という流れです。
ですので今回ProfilingされたのはWalter Woodsの回路,というよりはWalter WoodsとU5の組わせの音,ということになります。もちろんそれらを接続するケーブルも影響するでしょうし,ACケーブルなども良いものを使用しました。
宍倉先生は何度かProfileingをなさったことがあるとのことでKemperの操作はおまかせしましたがLevelのマッチングなどEngineeringの部分はサポートさせていただきました。
一通りアンプのProfilingが終わったあと,先生に「せっかくなのでここのアウトボードをprofilingしませんか」と提案しました。宍倉先生もAvalon U5はお持ちとのことですがChannel Stripなどは試せないので面白そうだ,ということになり先程の回路からU5を外し,それぞれのアウトボードのLine OutをKemperのReturnに入力していきました。
ここで使用したのはAvalon Design VT-737sp,Solid State Logic XLogic SUPERANALOGUE™ Channelです。他にもアウトボードはあったのですが,先生がSSLを甚く気に入って頂き3種類ほどのEqualizingでProfileingなさっていました。
どのくらい気に入っていただけたか,というと直後の先生のツイートがこちら!!音を聴いて鳥肌が立ったとか...。
つくばMUSIC PLANT 大谷さん秘密のRECルームにてKEMPER大研究。
— クソ虫男爵の夕暮れ/みっつー (@mitsuru_bass) 2017年8月30日
ケーブル類をハイグレードにしてからのウォルターウッズのダイレクトプロファイルを数種類に加えアヴァロンやSSLのラックDiプリをプロファイル
結果衝撃的な事態に!
KEMPER凄いぞ君は pic.twitter.com/B57sTZV9He
興奮冷めやらぬ中,二人で共通見解になったのは,「BassのProfilingはアンプよりもこういったPreamp+EQのほうが面白いのではないか」ということです。もちろんアンプのProfilingも良いのですがLineで収録することが多い楽器なのでスタジオなどで「繋いだ瞬間に使える音」が出てくるのは大きなアドバンテージだと感じるとご意見をいただきました。
Afterwords
後日先生とメイルでやり取りしたのですが,周りのエンジニアさんやアレンジャーさんもSSLの音に興味がお有りだとか。嬉しい限りです。
今回はLineでのProfilingでしたが,Annex Recordingでギターアンプのprofilingも可能ですのでお気軽にお問い合わせください。
date:
checker:Takumi Otani
KEMPER,Profiling Amplifier Power Head
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