KV2 Audio
EX series
久しぶりのProduct ReviewはKV2 Audioを取り上げようと思います。Mixwaveさんにデモ機を借りることができました(H田さんいつもありがとうございます!!)のでそのレビューです。許可を得てSRの現場でも使用してみました。KV2 Audioというブランドはあまり聞きなれないブランドかとは思いますが、UKのブランドで、印象を先に言ってしまうと「イギリス人がまじめに作りました」という印象のスピーカーです。スピーカーおよび、アンプ共に、自社にて開発生産している数少ないメーカーです。
やはりお国柄というのか、そういったものを感じます。今回お借りしたのはEX10,EX12,EX2.2の3機種です。しかもそれぞれペアで!!さて早速見ていってみましょう。
Product Overview of EX series
まず共通するスペックからみていきましょう。すべてセルフパワードで電源コネクターにはNeutrick Powerkonが採用されています。背面には電源スイッチと入力トリム(-6dB ... +6dB)、XLRの端子(パラレル)があります。
EX10,12には90Hz HPFが搭載されており、EX2.2はステレオ入力が可能でHP Outputがあります。パラレル端子もあります。
内部にはLimiterを搭載しており、作動すると背面のインジケーターがそれを知らせてくれます。Mixwaveさんの方でテストがてら悪意をこめてかなり突っ込んだそうなのですが飛ぶようなことはなかったとのことです。Limiterでたたかれている感じにはなるがおかしな状態にはならないとか。さすがに借りたものでそれを試すのもいかがなものかと思ったのでそれは試していません。
EX10
その名のとおり10インチのウーファーユニットをもち、周波数特性は65Hz - 20kHz (-3dB)です。X-Over fs=1.6kHzのBi-Amp駆動でHigh:50W,Low:450Wの合計500W出力,Cont:126dB SPL,Peak:129dB SPLです。指向性は100°H x 80°V(回転可能)です。
EX12
やはり12インチのウーファーユニットをもち、周波数特性は55Hz - 22kHz (-3dB)です。X-Over fs=1.1kHzのBi-Amp駆動でHigh:50W,Low:450Wの合計500W出力,cont:127dB SPL,Peak:130dBです。指向性は80°H x 40°Vです。EX12の方が遠方に音を到達させることが可能でしょう。
EX2.2
12インチのウーファーユニットを2つもち、周波数特性は45Hz - 125Hz (-3dB)です。1000W出力,Cont:130dB SPL,Peak:133dB SPLです。HP outのクロスオーバー周波数は125Hzです。
Sound Impression of EX series
まず店頭でEX10のみを鳴らしてみました。くっきり前に出てくる音がします。しゃきっとしている音でヨーロピアンと言う感じのマイルドな印象はありません。NEXOやEAWといった感じの高域といえばわかっていただけるかたもいらっしゃるでしょうか。「ジャリ」では「シャキ」です。「サラ」としていると言ってもいいかもしれません。サイズどおりの低域と中域ですが、綺麗につながっています。
次にEX12です。ボディは一回り大きいのですが、出力が同じなのでちょっと余裕がある感じがすると同時にEX10の方がちょっと好印象でした。ちょっと粒子が粗い感じがすると言う感じでしょうか。クロスーバー周波数の関係かもしれません。とはいっても送っている信号は-20dBと言う状態でしたのでこれで判断するにはちょっと酷といえるかと思います。
EX12 as Side-Fill Monitor at SR Stage
てなわけで某大学の学園祭のバンドステージにサイドフィルとして持ち込んで使用してみました。いつもはElectro-Voice Sx300やApogee Sound Artist 4000をいったポールマウント可能なスピーカーをよく使用しています。そこにEX12を使用した感じです。
ウェッジとパラレルの回線なのですが、ウェッジはpassiveなのでmultiでパラを出して対応しました。まずウェッジをいつもの感じに音量設定して、それとバランスをとる感じでEX12の入力トリムをいじっていきます。ちょっと距離もありちょっとブーストした感じ(+2dBくらいでしょうか)で落ち着きました。指向性がEX10と比べて狭いので出演者を非常に狙いやすいです。コーラスをしているときにはウェッジから、一歩下がったときにはサイドから音が聞こえるように調整しました。変な癖もなくEQのレスポンスもよくベースなどを返してもブンブン鳴ってくれます。そのおかげで「こっちは全力で返しているのにステージではあまり聞こえない」、という状態には無縁なモニター環境を構築できました。ステージアシスタントいわく「声とかめちゃくちゃ聞えてますよ」とのことでした。
バンドステージの後半はストリートダンスだったのですが、ダンス音源には物騒な低域が入っているものもあります。ステージアシスタントにチョコチョコ見てもらっていたのですが特にLimiterが作動するようなこともなかったようです。
EX10+EX2.2 at shop
こちらはサブウーファーを追加したシステムでのサンプルです。サブウーファーなのに非常にタイトな低域を出してくれます。当店のスタッフは「痛い低域」と表現していました。上下の音量バランスをとるのにちょっとコツが必要かもしれませんが、僕のリファレンスCDがとても綺麗に鳴っていました。
シンセベースの低域などを突っ込んでも体感できる低域が聞えてきます。
Afterwords
アレイスピーカーが結構流行っている(?)このご時世にポイントソースのスピーカーを作るとはたいした根性です。実際同じ領域をカバーするのに物量が必要なのはアレイであるというのは事実です。またちょっとしたスペースにアレイとなると費用対効果のバランスは悪くなります。
KV2 Audioの逸話をひとつ。Mixwaveさんが関西での展覧会に出展したところ多くのPA業者さんからデモの依頼をうけ数ヶ月ものがなかった、と言う状態だったそうです。弊社も7月くらいにデモをお願いして実際には10月ごろにやっと聞くことができました(こちらのスケジュールにある程度あわせていただいたというのもありますが)。
どうです?ちょっと気になりませんか?もう少しコンパクトなセットでこれをFoHにしてOpeもやってみたいですね。きっといい結果が出るでしょう。