KRYNA
Stage II

昨年だったでしょうか。KRYNA Stageが生産完了になるという話を聞いて、ちょっと驚きでした。
早いもので最初に試したのは9年前です。天板と底板と高さがそれぞれ可変、ということもあり弊社でもスピーカースタンドとしては異例のヒットを飛ばしていた商品でした。

今回、それがStage IIとして帰ってきました(昨年の生産完了連絡時にStage IIのリリースはアナウンスされていました)。Kryna I奈さんのご厚意で、新旧のStageをお借りすることができました。早速その時の様子を元に見ていきましょう。

Product Overview of 2S60-2026T

まずはStage I(区別のためにあえてこのよう表記することにします)との違いを見ていきましょう。大きな変更点は、

との事。また、Stage Iでは床との接点はスパイクかT-Propかを選ぶことができたのですが、Stage IIでは床との接点はT-Propが標準採用されている、とのことです。

メーカーページにもありますので併せてご覧ください。

専用アダプタ装着で強度、剛性の大幅up

Stage Iでは天板と支柱を直接固定する方法が取られていました。Stageでは金属同士の鳴きを抑えるため複合素材を組み合わせて使用しています。そのため、異なる硬さのものを接合することで接合部の強度が弱くなってしまうという弱点があったそうです。「StageⅡ」では 天板/支柱/底板 それぞれにアルミ製の専用アダプタを強固に固定し、アダプタ同士をジョイントする方法が採用され、これにより接合部の強度及びスタンド全体での剛性が飛躍的に向上し、聴感上でも音像定位の明確さ、空間の広がりや高さ、奥行きなどより立体感のある3次元情報を描くことに成功したとのことです。

人間工学に基づいた天板形状

これは特にメーカーページに説明などがなかったように思います(僕が見落としただけかもしれません)。

ただ、Stage IとIIを並べてみると、なるほど違います。まずコーナーがラウンド処理されています。またStage Iは組立前は天板と底板の区別は特になかったのでしょう。T-Prop/Spike用のネジ穴が8つ(各頂点と各辺の中点)にありますが、Stage IIの天板はネジ穴はちょっと違っています。

支柱内部にケーブルインシュレーター「Helca1」を封入

Stage II cross-section

これは画像を見てもらうのがいいかもしれませんね。

天板と底板はVD-PROPと呼ばれる機構で接続されており、天板の振動はVD-PROPを伝わり支柱内部の超微粒砂で制振されます。それに加え封入されたケーブルインシュレーターのHelca1もVD-PROPを制振させています。Helca1に関してはレビューをご覧いただくとしてその効果は大きなものでした。その証拠(?)にシステムに導入し、今もその数をジワジワと増やしています。

超微粒砂との違いですが、Helca1は主に高周波領域の制振に大きく影響しているとのこと。

こちらの記事も参考になると思います。

Stage IIは基本的に天板:W200×D280×H10mm 底板:W260×D340×H10 mm 支柱:580mmを標準製品としてリリースしていくとのことですが、カスタムも可能とのことです。詳細はお問い合わせください。ただ、特注扱いになるので少々納期をいただくことになりそうです。


Sound Impression of 2S60-2026T

さて、実際の音に参りましょうか。まえがきの通り、Stage IとStage IIの両方を目の前で切りかえることが可能、という贅沢な環境の下の試聴です(I奈さん、本当にありがとうございました!!)。比較に採用されたStage IはS60-2024Tです。

どうやろうかな、と思案したのですが、スピーカー自体も解像度が高いほうが良いだろう、ということで弊社Annex RecordingのControl RoomのADAMをスピーカーとして採用することにしました。

Stage I,IIがそれぞれ同間隔になるように左からStage I,Stage II, Stage I, Stage IIと並べ微調整です。
水準器とにらめっこしながらT-Propを調整して水平と安定性を出していきます。
このとき感じたのが、Stage IIのほうが安定感があるというものでした。T-Propの決まりが早い、と言うんでしょうか。試聴した環境の床も硬い材質ではなかったので多少は仕方ないと思っていたのですが、Stage IIはしっかりしています。
Diamond Formationは4点支点ですから、ちょっと締め込みすぎると、逆にぐらつきが出てきます。水平になりつつ、各T-Propに同じ荷重がかかるよう調整です。
Stage Iよりも重量が有るのでそれも関係しているのかもしれませんが、専用アダプタの採用も大きく影響していそうです。

使用したソースはよくReferenceとして使用しているものに加えクラシックめいた音源なども持ち込んで見ました。

Stage Iでしばらく試聴して、スピーカーをStage IIに移動させ同じソースを試聴、これを本人が気が済むまで繰り返す、というものです。

結局4曲ほどで試聴は終わった(=Stage IIの威力が身にしみてわかった)のですが、一緒に試聴したHagiもほぼほぼ同意見だったので僕の思い込みでは無いようです。

簡単に記載しますと

音量感のアップ
音量差にして1dBくらいですが大きくなったように感じます。ただ、解像度が高くなったのでそういう印象を受けたのかもしれません。
中高域の解像度がアップ
シンバルの成分やギターの成分などがくっきり見えるようになります。
濁りが更に減った、という表現をしてもいいかもしれません。中低域が痩せる感じではありません。
定位感の向上
まず左右のつながりが良くなります。酷い状態の設置状態ですと、だとステレオというよりは2chモノラルという表現をしたほうが正確なスピーカー設置状態もありますが、Stage IIではそれはないでしょう(部屋の影響はある程度あると思いますが)。
各楽器の定位感が向上し左右にぼやっとしていた音像がよりしっかり分かる感じ、オーケストラの団員の並びがわかる感じ、と表現してもいいかもしれません。
定位感が良くなるので分離感も向上し、ステレオ感がよりワイドに感じられます。

Stage Iも良くできたスタンドなのでそこまで差はないんじゃないか、と推測していましたが、Stage Iと比較してこの有様です。ただただ脱帽、というほかありませんでした。

Afterwords

試す前は、正直自宅のStage IをStage IIにする必要はないかな、と思っていました。少なくとも不満はありませんし、成果は出ているのでいいかなと。

ただ、Stage IIを試してみてびっくりです。
一緒に試したHagiと二人で「くそー、聴かなきゃよかった...。」などと話していました。

自宅のStageもStage IIにしたくなっています。

そういえば、過去いくつかのKRYNA製品を試してきましたが、どの製品も期待を悪い方に裏切った製品はありませんでした。むしろ想像の上を行ってくれる製品ばかり。今回のStage IIもそんな製品です。

KRYNA,2S60-2026T 画像

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KRYNA,2S60-2026T
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