KRK
KNS 8400
今回、2011年初のレビューはヘッドフォン、米国の名門KRK社が発表したKNS8400です。早速見ていくことしたいと思います。
Product Overview of KNS 8400
製品の箱の中には本体とポーチ、あとケーブルが取り外し可能なのですが、そのケーブルなどが入っています。いわゆる「イヤーコンシャスデザイン」なのでパッド部にはある程度の大きさがあります。
スペックとしては
- 型式
- ダイナミック
- オペレーションシステム
- クローズドバック(密閉型)
- ヘッドカップリング
- 耳覆い型(アイソレート)
- ボイスコイルの材質
- 銅覆アルミニウム配線
- ドライバのタイプ
- 軽量ネオジム
- ドライバの直径
- 40mm
- 感度 / 効率
- 97dB SPL @1mW
- 周波数特性
- 5Hz-23kHz
- 全高調波歪
- < 0.1%
- 定格インピーダンス
- 36オーム
- 環境ノイズアイソレーション
- 最大30dBA
- 最大パワーハンドリング
- 1000mW
IEC60268-7により各側500mW - イヤキャップの回転
- 90度
- 公称ヘッドバンド圧
- 4N(近似値)
- ケーブル
- 長さ2.5m、
99.99%の高純度OFC、脱着可能 - コネクタ
- 金メッキ仕上げステレオ
1/8"(3.5mm) - アダプタ
- ネジ止め式 1/4"(6.3mm)
- 重さ(ケーブルを除く)
- 232g
- 出荷時の重さ
- 850g
- 寸法
- 245mm x 268mm x 94mm
黄色いケブラーがどこかに使用されていないかなぁーと探してみましたがありませんでした(笑)。
装着感もよく、やはり、耳にストレスがかからないのがいいですね。移動中に音楽を聞く、とかそういう用途で使用するのではありませんから耳が押し付けられて痛くなる、というのはやはりあまり好ましいものではありませんでした。
Sound Impression of KNS 8400
さて実際の音に移りましょう。比較対象として使用したのはスタジオの定番SONY MDR-CD900STです。僕もそうですが、一時期弊社スタッフが必ず持っていた、いわばMP標準のHeadphoneでもあります。
出力などのスペックは基本的に同じ1000mWです。インピーダンスが36Ωと63Ωある900STと比べてやや小さめです。
さて、いつも聞いているCDを聞いてみました。CDデッキのHeadphone出力でつなぎ変える、という原始的な手法です。900STで聞くとまぁ当たり前なのですが、いつもの音です。
KNS 8400に切り替えてみました。変化としはまず音量がやや下がります。能率が結構違います(KNS8400=97dB SPL/mW, MDR-CD900ST=106dB SPL/mW)から仕方ありませんね。聴覚上同じくらいかな、というレベルにボリュームをあげてみました。あっさりとした感じの綺麗な音がします。低域がちょっと弱いかなぁと言う部分もなくはありませんが他のソースで確認したときにはちゃんと聞こえていたので、さほど特筆するようなことではないのかもしれません。
リバーブテイルの見え方も綺麗です。耳を押さえつけることがないので、定位感もすごくいいです。もちろん音像は脳内定位になるのですが左右の配置が立体的になる、というイメージでしょうか。MDR-CD900STは結構平面的な印象があります。
今回一緒に試聴していたスタッフ(そうですね、「ABC」くんとしておきましょう)ともいろいろ話していたのですが、「KNS8400を基準にするとMDR-CD900STはすごく厚化粧が施されている気がする」という部分で意見が一致しました。
今まで結構フラットなヘッドフォンという認識があったのですが、KNS8400と比べるとジャリッとした部分がちょっと目立つ印象があります。低域の解像度はさすがなのですが...。
ABCくんも「もう少しエージング進んだ状態で聞いてみたいですねー」と低域がもう少し見えてほしい部分があるとのこと。
たしかにMDR-CD900STから乗り換えるとそこが一番気になるかもしれません。
逆にミックスなどでは使いやすいと思いますし、録音の時にも良いのではないかと思います。後日いろいろ試して追記しますので乞うご期待!!
弊社スタジオにはKRK V4 series1が設置されていますが、それを印象として持っていたので今回KNS8400を聞いたときにスッキリしていてちょっとびっくりしました。V4はちょっと音が派手になる感じがあったので
20110125追記
しばらく(2,3日)PinkNoiseとWhiteNoiseでBreak-inをかけ、再度チェック。低域の解像度がだいぶ上がり、高域のサラサラした硬い部分が取れてきました。
ダイアフラムがよりしなやかに動くようになった分、解像度もアップしています。イマまでが900STだったのですべての音が耳に張り付いていいたのですが、(なんども出てきて恐縮です)イヤーコンシャスなので自然な定位が広がります。奥行き感の違いがよりはっきり分かるようになりました。ここまで来てやっとKRKの製品らしくなるなぁと今更ながら実感です。
高域の解像度がKRKのそれですね。
ただV4にいだいていたような派手さはあまりありません。奥行きの見えやすさなどは(誤解も招くかもしれませんが)YAMAHA NS-10Mに近い部分があるかもしれません。
あとはMixに使用してみたいと思います
Afterwords
音の好みがあるのでそこは影響するとしても解像度、位相感など現場で使えるクオリティだと思います。
バックアップもかねてもう一台買おうかと思います。次世代スタンダードに最も近いHeadphoneと言えるかもしれません。
メーカー名を隠して新品の状態を試聴するとKRKには結びつかなそうな音をもつheadphoneです。タイミングにも依りますが試聴可能です。ご来店お待ちしております。