KLARK-TEKNIK
76KT
今回見ていくのは1176系コンプです。しかもKLARK-TEKNIKがリリースした,と言うことでちょっと話題になりました。
国内レビュー一番乗りになるでしょうか,早速見ていきましょう
Product Overview of 76KT
メーカーサイトによればRev. DとEを完全再現したとのこと。まずはSpecに参りましょう。
- Audio Input
- Type : XLR, 1/4" TRS transformer balanced
- Impedance : >600 Ω balanced and unbalanced
- Max. input level : +30 dBu
- Pad switch : -20 dB typical
- Audio Output
- Type : XLR, 1/4" TRS transformer balanced
- Impedance : 105 Ωbalanced and unbalanced
- Max. output level : +25 dBu
- System Specifications
- Frequency response : 20 Hz to 20 kHz±1 dB
- S/N ratio : 80 dB @ +4 dBu
- Distortion (THD+N) : 0.15% typical
- Compressor
- Attack time : 25 to 760 μsadjustable
- Release time : 80 to 670 ms adjustable
- Ratio settings : 20:1, 12:1, 8:1, 4:1
- Meter settings : Gain reduction +8 / 6 / 4 dBu
- Power Supply
- Mains voltage : 100 - 240 V, 50/60 Hz
- Power consumption : 10 W
- Fuse : T1AH 250V
- Mains connection : Standard IEC receptacle
- Physical
- Dimensions (H x W x D) : 88 x 483 x 159 mm
- Weight : 2.8 kg
参考までに本家Universal Audioの現行品,1176LNのSpecも掲載しておきます。
- 入力インピーダンス
- 600 ohms、ブリッジ-T コントロール(フローティング)
- 出力負荷インピーダンス
- 600 ohms、フローティング、ダンピングファクター 20
- 外部接続
- Jones Barrier 端子と XLR 端子
- 周波数レスポンス
- ± 1 dB 20 Hz ~ 20kHz
- ゲイン
- 50 dB
- 歪み率
- 50 Hz ~ 15 kHz で0.5%以下のTHD(リミッティング時)
- S / N 比
- +10dBmで70 dB以上
- アタックタイム
- 20 mSec ... 800 mSec
- リリースタイム
- 50 mSec ... 1.1 sec
- ステレオ相互接続
- 1176-SA(別売)を使用
- メーター
- dB ゲインリダクションと、 dB 出力
- 電源
- 120/240 V
- 寸法
- 19" ラックマウント・シャーシー 2U
- 重量
- 5kg
あと比較に使用したPurple AudioのMC77のスペックも記載しておきます。こちらもRev,D/Eを再現した,とのことです
- Input
- Constant Impedance Input Attenuator
Transformer Balanced and Floating - Input Impedance
- 600 ohms at all input gain settings
- Maximum Input Level
- +30dBu with limiting active and input cranked up full (Prolonged exposure to signal levels in excess of +30dBu may burn up the input attenuator)
- Maximum Gain
- 45dB ±1dB (with limit action switched off)
- Frequency Response
- 15Hz to 80KHz ±1dB typical
- Output
- Floating Transformer Balanced
- Output Load
- 150 ohms or higher
- Load Dependence
- The Output Level as measured while driving into a bridging load will drop by no more than 1/2 dB when a load of 600 ohms is added there will be a loss in headroom
- Maximum Output Level
- +24 dBm into 600 ohm load (12-1/4 volts RMS)
+30 dBu into bridging load (24-1/2 volts RMS)
チョット見づらいので一部を表にまとめます。
KLARK-TEKNIK 76KT | Universal Audio 1176LN | Purple Audio MC77 | |
---|---|---|---|
Input Type | トランスバランス | トランスバランス(Floating) | トランスバランス(Floating) |
Input Z | 600Ω以上 | 600Ω | 600Ω |
Max Input Level | +30dBu | - | +30dBu |
Output type | トランスバランス | トランスバランス(Floating) | トランスバランス(Floating) |
Output Z | 105Ω | 600Ω | 150Ω以上 |
周波数特性 | 20 Hz ... 20 kHz±1 dB | 20 Hz ... 20 kHz±1 dB | 15 Hz ... 80 kHz±1 dB |
Ratio | 20:1, 12:1, 8:1, 4:1 | 20:1, 12:1, 8:1, 4:1 | 20:1, 12:1, 8:1, 4:1 |
Attack time | 25 ... 760 microSec | 20 ... 800 microSec | 20 ... 800 microSec |
Release time | 80 ... 670 mSec | 50 mSec ... 1.1 sec | 50 mSec ... 1.1 sec |
重量 | 2.8kg | 5kg | 5.4kg |
こうしてみるとちょこちょこ違いが有るものですね。なかなか興味深いです。76KTのトランスはMIDASが提供しているとのことなので期待が持てます。トランスは音質に影響を与える部分なので全く同じ音質にはならないでしょう。
パネルは他の1176のコピーモデルとくらべてもレイアウトは似ています。違いといえばPower Switchが押しボタンではなくトグルスイッチで有ること,メーターの切り替えに[+6]が追加されている位でしょうか
ただ,個人的にはエフェクトを掛けたとき,必ずでは無いにせよバイパスとの音量差/音質差などを確認するのでバイパスの機能/ボタンが欲しかったです。「電源OFFでリレーが切り替わるかなー」と思ったのでやってみましたが,得られたのは無音でした。
あと背面の入出力はXLRに加えてBalance Phoneが追加されています。あと入力段に20dBのPadも装備しています。
電源は100...240Vのユニバーサルです。
Sound Impression of 76KT
さて実際の音に参りましょう。
録音時に試そうかと思ったのですが,sessionが止まるのも問題なので後日,Lineソースを使って試してみました。
DAコンバーターから76KTとMC77にそれぞれ信号を入力し,Output signalを[SOLO]で聞ける様にRoutingを組み試聴です。電源環境,使用したケーブルなどはもちろん同じです。
以前Wes Audio Beta76のレビューのときにも書きましたが,今回も別メーカーの製品なのでGR Meterなど完全には一致しませんでした。今回もGRの目安を一致させての試聴です。
ただ,戸惑ったのが,同じようなGRの振れ方にしてDAWのメーターを揃えると,Outputのノブの指す値が結構違いました。Pad ONでオリジナルと同じ状況になるようです。代理店の方も測定器など持ち出して色々測定してくれたようですので間違いないようです。
まずはBassから。
コンプレッションの印象はあまり変わりがありませんが,76KTのほうがややどっしりした印象の音質です。100Hz前後をすこしブーストした,という感じでしょうか。ヌケが悪い,とは特に感じませんでした。
Ratioの印象ですが,4:1のほうが20:1よりも,今回のテストではハマっていたと感じました。指弾きがどっしりし,Slapのツペツペした音が張り付いてきます。
次にKickです。
ここでもCompressionの印象の差は結構小さめです。こちらでは12:1とかの方が印象が良いです。録音時にもある程度下処理してありますのでそのへんの影響もあるのかもしれません。
次はSnareです。
こちらもHi Ratioのほうが好印象です。ただ,MC77のほうが少しパキっとした感じのsound colourなのでMC77 vs. 76KTという意味だとMC77のほうが好印象です。
アタックタイムが早いコンプなので当たり前ですが,Inputを上げていっても76KTのリターンのPeak Meterがほとんど変わらないのが面白いです。昔Limiterで遊んだのを思い出しました。
最後にVocalです。
結構派手に叩いてみましたが,やはり通常のコンプとは違いGRが大きくなっても音が引っ込んでいく感じは少ないです。ダイナミクスが大きいVocalなどによく使用される理由をあらためて認識しました。
Afterwords
全く差がないわけではないのですが,76KTいい仕事します。MC77のほうが聴き慣れている部分はありますが,価格差考えれば充分です。
1176系コンプに新たなコピーモデル登場,といった印象です。
音響/設備系のプロセッサーのブランド、というイメージのKLARK-TEKNIKですが、今回の76KTやEQP-KTといったどちらかというとスタジオギア、という製品もリリースされて来るようです。こちらも楽しみですね!!
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