Golden Age Project(GAP)
PRE-73 Jr

令和最初の製品レビューの対象製品はHAです。製品自体は平成にリリースされた製品です。録音業界に燦然と輝くHAの銘機 Neve 1073のコピーモデルの一種ということになるのでしょうか。Golden Age Project のPRE-73 Jrを見ていきましょう。お客さんから「手軽に持ち運べて分相応なHAとしてPRE-73 Jrを考えているのだがどうだろうか?」と相談をうけ、だったら試しましょうよ、と。タイミングよくデモ機も空いていた(O野さんいつもありがとうございます)のでスタジオでチェックすることにしました。

Product Overview of PRE-73 Jr

PRE-73 Jrと名のある通り、Golden Age Project(以下「GAP」)の製品群にはNeve 1073 moduleを意識したものがいくつかあります。価格順に

  1. PREQ-73 PREMIER
  2. PRE-73 DLX(20190507現在生産完了。2019秋ごろ後継機種リリース予定)
  3. PRE-73mk3
  4. PRE-73 Jr

です。
機能の比較などは PRE-73シリーズ比較チャートがわかりやすいと思います

チャートを見るとわかりやすいのですが、PRE-73 Jrは回路設計はオリジナル1073を意識しつつ機能を絞り込み低価格化に成功した、といって良いでしょう。また電源部を外部化することにより、コストダウンに成功したのでしょう(世界中各国の電圧に対応させるのは大変だと思います。)

さて、代理店ページからの転載になりますが、主な特徴です

HAに機能を限定している(=Mic,Inst Inのみ)ということもあり非常にシンプルなパネルレイアウトです。Gain knob, Output Level, +48V Phantom Power Switch, Phase Invert switch, DI 入力Switchです。背面もInput(Neutrik Combo Jack), Insert(Balanced Phone), Outputと電源が並ぶシンプルな構造です。

サイズの割にはずっしりと重く、内部が詰まっている印象です。

Sound Impression of PRE-73 Jr

さて今回はお客さんと一緒にデモする、という感じです。いつも使っているポータブルなシステムをお持ちいただいて「いつものシステムにPRE-73 Jrを追加したらどうなるか」を見ていきました。

ベーシックなところが良いだろう、ということでKick, Snare, VocalのマイクのHAとBassのDIとして試してみました。

使用したMicは一般的なところでKick: AKG D112, Snare: SHURE SM57, Vocal: Movaje Audio MA-201 fet です。ついでにAcoustic Gtなども試してみました。

お客さんが使っているAudio IFは16 inputのUSB タイプのものでした。HAは8機搭載(Input 1-8)しており、Input9-10はLine/Inst対応、Input11-16はunbalanced (-10dBV)/Balanced (+4dBu)に対応した製品です。

今回はPCも持ち込んでもらってお客さんのシステムで収録、チェックしました。後々試聴するのも楽でしょうし、弊社のシステム(例えばClock)などの使用は避けることにしました。

まず、比較の意味でAudio IFの音も収録しておきました。で、その後1回線づつHAを入れ替えていく感じです。

まずはKickです。マイクはAKG D112です。

単体での試聴での印象は、「Quietで密度感のある音を提供してくれる優秀なHA」という感じです。さすがにNeveの音かと言われれば「いやいや、価格差考えてくださいよ。」となりますが大きな傾向としては傾向としてはVintech Audio のX73などと同じ方向を向いています。

PRE-73 Jr.のGainが5dB stepなのでAudio IFと同じLeveにはなりませんでしたがそこを差し引いても全然音質は違います。Kickの重たい感じの質感がしっかり収録できつつクリスピーな感じの音質です。プラグインやoutboardのレスポンスも良さそうな感じの好印象な音色です。

次にSnareです。マイクはSHURE SM57です

ここでもKickの時と同様、香ばしく、明るくヌケの良い感じの音色です。

次にBassを収録してみました。PRE-73 JrをDIとして使用しました。ここでも感じたのはやはり密度感、粘りのある中低域という印象でしょうか。音が前に出てくる感じの印象です。

次のAcoustic Gtです。マイクはsE electronics sE7を使用しての収録です。

少し太めの音になる印象ですが、抜けが悪い、という感じではありません。

最後にVocalを収録しました。

ここでもAcoustic Gtの時と同じ感じの印象を受けます。収録段階からある程度音質を作っていきたい方はEQ73と併用するのがいいんじゃないかと思います。

今回はベーシックな使い方、ということで試しませんでしたが、Output knobもあるのでHAをドライブ気味にしてLevelをOutput knobでコントロールする、というようなことも可能です。Wes Audio DUE-PREのレビューに記載しましたが、よりHAの個性を引き出せると思います。Ds Rec時のRoom Micなど使用して少し隠し味に使う、BassのLineを少しDrive気味にして収録するとか可能ですね。

Afterwords

出したい音の方向に少なからず影響を受けると思いますが、Kick, Snare, Bass, Vocalなどのセンターラインと呼ばれる楽器には非常に向いているHAだと思います。

全ての製品がそうだとは言いませんが、一般的なAudio InterfaceのHAは価格との兼ね合いでどうしても音質が犠牲になりがちです。もちろんPCで音楽をやる人がみんな業務用のHAを導入する必要はないと思いますが、良い音を追加したいときに好みの音質のHAを追加するというのは一つの正解であり、シンプルな投資ですみます(Audio IF入れ替えるとかとなるとドライバーの更新などいろいろ厄介ですから)。

しっかりしたHA欲しいな、と思っているHA初心者の方から、ご自身のシステムにNeve taastのHAを加えたいな、と思っている方にお勧めできる優秀なHAです。

PRE-73 Jr IVを使えば1Uで4ch分のNeve系サウンドテイストを付加することが可能です。

Golden Age Project(GAP),PRE-73 Jr 画像

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checker:Takumi Otani

Golden Age Project(GAP),PRE-73 Jr
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