Golden Age Project(GAP)
PREQ-73 PREMIER
さて、ちょっとしたことからPREQ-73 PREMIERを試す機会を得ました。Golden Age Project(以下GAP
)のHAを検討中のクライアントがの以前Reviewを見て導入したとのこと。
ご厚意で使わせていただく機会を得ました。
Product Overview of PREQ-73 PREMIER
PREQ-73 PREMIERはGAPのPRE-73シリーズの中の最上位機種なわけですが、どちらかというとHAの回路がメインかなというのが外観からの印象です。というのもEQは1073 moduleと若干違いがあるからです。難癖をつけるつもりは全くありませんが、
GAP PREQ-73 PREMIER | GAP EQ-73 | NEVE 1073 module | |
---|---|---|---|
LF | 55 / 220 Hz | 20/33 / 55 / 100 / 175 / 300 Hz | 35 / 60 / 110 / 220 Hz |
MF | 350(700) / 1.6k / 3.2k Hz | 60 / 240 / 500 / 700 / 1k / 1.6k / 2.4k / 3.2k / 4.8k / 7k / 10k Hz | 360 / 720 / 1.6k / 3.2k / 4.8k / 7.2k Hz |
HF | 10k / 16k Hz | 8k / 10k / 12k / 16k / 20k / 24k Hz | 12k Hz |
とEQのPointが結構違うからです。
Rupert Neve氏が1073を開発した時代とGAPがPREQ-73を開発した21世紀の現在ではRecorging Mediaに大きな差があります。現在はDAWで周波数的にフラットに収録が可能ですが、1960年台の磁気テープの特性は現在のmediaの特性と比べるとフラットとは言い難いものでした。高域と低域の解像度が低下するという特性を考慮し、そのナローなメディアの中で、音楽の重要なポイントを操作できる、という観点で設定されていたのでしょう。ちょっと言いすぎかもしれませんが、メディアの特性に依存する補正のためのEQの必要性
は最近ではほとんどなくなっているといって良いでしょう。となるとEQポイントのもうひとつの(そして最大の)側面、音作りのためのツールという役割のほうが録音の現場では重要視されると思います。
そういうことを考慮するとコピーモデルを作る際に全く同じにする必要はないのでしょう。実際GAP以外のメーカーの1073コピーモデルにもEQのポイントが追加されたものが少なくありません。
トランスにはCARNHILLが用いられて(Mic input=VTB9045M/Output=VTB2514)おり、駆動回路はClass-A Discreteです。だからといってNEVEサウンドになるわけではありませんが、重要なFactorですね。オプションでの対応の様ですが、ライン入力用のトランスをCarnhill 9046Mに変更することも可能な様にプリント回路基板はデザインされているとのことです。
HAの増幅率はMic:+20 … +80dB,Line:-10 … +20dBの増幅率を持っています。Output knobもありますからLine Driverとして使用することも可能です。
level Indicatorも-10dBu, +4dBu,+14dBuと気の利いた数値になっています。
LOW-Zボタンはマイク入力時にInput Zを1.2kΩから300Ωに切り替えます。音質も変化するので積極的に音作りに使っていけます。
Sound Impression of PREQ-73 PREMIER
1台しか無いのでDsの録音ではどれか1回線になります。今回はKick inの回線に使用しました。MicはAKG D112(mk I)を使用し、KickのFront headのholeから中に入れヘッドの中央軸上、前後中央あたりに配置しました。
HAノブをカチカチと回していき、Mic/20dBからはじめます。歪むとまずいのでHeadroomをしっかり確保しdbx 160XTで3-5dBほど叩きます。
ザックリレベルを確保できたところで160XTをバイパスし、EQを掛けてみました。
PointはLF=55Hz、MF=350Hz、HF=10kHz/16kHzです。
イヤー、しっかり効きますね!! HAがメインとか勝手なこと書いちゃいました。すいません。誤解を招く発言かもしれませんが、Over EQ気味にしても大事にならず、1目盛りCut/Boostしただけでもかっちり音は変わります。
再度160XTのThresholdを微調整して音作りは完了です。
さて、次はベースです。Line収録しようということになっていたそうなのですが、DIなどいくつか選択肢がある中、曲調とBassistのイメージから、独断と偏見に基づきPREQ-73のDI inを使用することにしました。もちろんちょっと録音してBassistとメンバーにOKはもらってからのOverdubbingです。
ゴリっとした感じの音をイメージしてHAを若干ドライブ気味にしてEQで少々味付け、という状態でOKが出ました。
Gtに移りましょう。通常Gt ampのon-mikingには2本のマイクを使用するのでそちらには別のHAを使用し、PREQ-73はAmbientの回線に使用することにしました。マイクはSM57-TL(transformer-less)です。多分使わないだろーなー、と思いつつも素材は有るに越したことはありません。
最後はVocalです。Micは Movaje Audioの MA-201 fetです。かるーく歌ってもらいつつGainを設定しDAWのHeadroomを確保し、ちょっとだけEQを施し録音スタートです。
Afterwords
1Uで2台マウントできますので4Uラックに8台収納可能です。世に出回っている8CH HAと比べても決して見劣りのする値段ではありません。
8chまでいかなくても4chでも充分な武器になるでしょう。ただ、そうなるとACアダプター駆動がちょっと面倒ですね。100-240VACから24VAC x8とかのラッキングタイプの専用電源とか有ると嬉しいですね。
All-in-oneタイプのAudio Interfaceの録音に一癖つけるのはこういった若干クセのあるアナログハードな部分も有るでしょう。
主要回線に複数台あってマイナスにはならないと思います。
date:
checker:Takumi Otani
Golden Age Project(GAP),PREQ-73 PREMIER
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