GENELEC
8250A

今回はニアフィールドモニターです。GENELEC 8250Aを見ていきましょう。

Product Overview of 8250A

以前取り上げた8030Aとの違いは、まずサイズ、出力ですが、最も大きな違いはDSPを搭載しAutoCal™でその環境で最もフラットな特性を簡単に実現できることではないでしょうか。先日GENELEC International Sales Managerのラルス氏にご来店いただいたときのこともスタッフ日記6/2に書いてありますのであわせてどうぞ。

さて、まずはスピーカーとしてのスペックから参りましょう。8250Aはバイアンプ駆動で、X-overは1.8kHzです。低域の出力は150W,高域は120Wです。周波数特性は38Hz-20kHz(± 2 dB)、入力はアナログはもちろんAES/EBUの入力も搭載しています。この理由は後述します。重量が14.6kgです。高さが452mmあります。コンソールトップという位置よりはもう少し離して設置したいサイズのような印象です。

GLM,AutoCal™用のcatケーブルの端子も2ポート搭載しています。

補正用のdipスイッチも多数並びます。8030Aでは4つでしたが8250Aは12個、正確には6つが音質補正用のBASS TILTやTREBLE TILTなどで残り6つはDigitalのシステムの設定などに関係するスイッチです。

Sound Impression of 8250A

さて、8250Aのデモ機が届いてまず場所を作り程よい間隔をあけまずは音を聞いてみます。ふむふむ、といった感じでしょうかGENELECサウンドがどっしり聞こえてきます。サイズのせいもあるのでしょうか8030Aよりも低域が延び、40Hz辺りまでしっかり確認できます。Kickの低域がとても気持ちいいです。ただちょっと高域の歪感も感じられ、あまり長時間はちょっと..という印象もあります。この歪感は8030Aでは感じられなかったのでひょっとしたらAD-DSP-DAの段階で発生しているのかも知れません。
前述のAES/EBUはそういうときに大活躍です。"AD"のプロセスをすっ飛ばせるので有利ですね。InterfaceにAES/EBU出力が搭載されている方は是非試してみてください。今回は試せなかったのですが、オタリテックさんいわく、「歪感が減る傾向にある」とのことです。

さぁてAutoCal™を試しましょう。Apple MacBookにインストールして、準備完了です。オタリテックのスタッフの方もいるので安心です。測定用のマイクをリスニングもポジションに設置して...。「じゃぁ行きますね。静かにしててください。」という声のあとボタンを押すと、なにやらMacが考えている様子です。と突然「うにゅー」というサイン波のスイープがR側のSpから、ほんの一瞬です。0.5秒くらいでしょうか?Macの画面を見ていると8250AのDSPが補正用のフィルターを作っている様子が分かります。それが終わると同じ音がL側から、やはり補正しています。作業開始から5分くらいでしょうか。「え、終わり?」と言うような時間でBest settingが出来上がったようです。

試聴してみると、高域の歪感が減り、低域のもっさり感がなくなっています。ちなみに場所などの変更は一切行っていません。さらっと書きましたが、低域のもっさり感はともかく歪感がなくなっているのには驚きです。AD辺りのセッティングも内部でベストな状態に持っていっているのでしょうか。
Macの画面をみてスタッフの方にご説明いただいたのですが、(僕が最初の試聴で感じた)40Hzは補正され、おそらく平面の壁の反射で持ち上がっていた部分でそこを押さえているとのこと。

左右の広がりや、レンジも非常に改善されていますから位相も操作しているのかもしれません。左右が綺麗につながっているという感じです。測定マイクのポジションでフラットセッティング(超低域は除く)になるというのが素直にうなずける音です。

「なんかインシュレーターや吸音材とかでちまちま補正をかけていただのが馬鹿馬鹿しくなりますね(苦笑)」という言葉が思わず出てしまいます。もちろんそういうこと(=インシュレーターや吸音材での補正の努力の蓄積)も無駄にはならないと思いますが、客観的にフラットを追求したセッティングになるのは魅力です。重要なのはフラットなセッティングを作ることではなくその中で何を作るかということですから。

Afterwords

サイズの問題もありますのではやりある程度の環境をお持ちの方ににオススメする感じになるとは思いますが、シリーズに8240Aもあります。固定設備のお仕事をなさっている方よりは、いろいろ現場が変る方にお勧めできるモニターといえるのかもしれません。
Homegroundがあるというのは、やはり「こういう音がしていれば大丈夫」という確信が得られるのが大きいと思いますが、それを確実に何処でも作る事ができる(というといいすぎでしょうか)モニターは非常に信頼に値します。
「機材を持ち歩く」という以上の恩恵があるように思います。空間が変っても同じ目的に向かってDSPが出力を計算してくれるわけですから。
モニターを調整したことがある人はなんとなくおわかりいただけると思いますが、なかなか思い通りにならせるのはコツというか経験が必要です。それをDSPに任せてクリエイティブな作業に没頭できるのは大きな魅力ではないでしょうか

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