Empress Effects
Compressor

さて,今回見ていくのはGt/Baペダルの製品です。ちょっとまれなReviewですね。対象となるのはコンプレッサーペダル,その名もCompressorです。

スタジオコンプレッサーの定番 1176にインスパイアされて開発されたとのことで,非常に興味があります。

コンプは奥が深い,と言われますが,効果がわかりづらく上手く使いこなすのが難しいエフェクターですね。早速見ていきましょう。

Product Overview of Compressor

あまり気にする人も少ないかもしれませんが,簡単にスペックを掲載しておきます。

Input Impedance
1M
Output Impedance
2.2k
Frequency Response (-3dB)
40Hz - 35kHz
Distortion
< 0.1%
Noise
-101dB
Power Input
Voltage 9 - 18 V DC (Negative tip)
Power Input Connector
2.1mm barrel connector (Negative tip)
Power Consumption
< 100mA
Enclosure Material
Die Cast Aluminum
Input connector
1/4" Jack
Output connector
1/4"" Jack
Size
50mmH x 88.9mmL x 114.3mmW
Weight
約450g

入出力のインピーダンスはギター/ベース様に作られています。ACアダプターは9-18Vに対応とのことですが,18Vを使用したからといって音質の恩恵は得られないそうです。

さて,パネルを見ていきましょう

トップパネルにアルミニウム削りだしのノブが並びます。左から

input
Input Levelの調整を行います。1176の影響でしょう。Thresholdを上げ下げするのでは無く,Inputを上げていくことで本体に固定されているThresholdに当てに行く,タイプの設計です。
attack
アタックタイムの調整です。5microSec-50mSecで調整可能です。
release
リリースタイムの調整です。50mSec-1Secで調整可能です。
mix
Wet/Dryのバランスを変更します。左に回しきりでDryに,右に回しきりでWetになります。所謂パラレルコンプレッションが1台で可能です。
output
出力レベルを調整します。

その奥にはRatioをMeterの切り替えのスイッチがあります。Ratioは2:1,4:1,10:1から選べます。
meterの切り替えはGR,input,とその両方が選べます。

Meterがあるのはうれしいですね。LEDの光り方でCompressorの挙動を示すモデルはありますが,GRメーターが付いているペダルはこのCompressorとKeeley Compressor Pro位でしょうか。

人間の耳は音量の大小に関して,音程の変化より鈍感なので実際にメーターでGRがどれくらいなのかを確認するのは非常に重要です。コンプが難しいと言われるのは単体で処理したときに,先程の理由により効果がわかりづらいというのが上げられます。エフェクティブに叩きに行くのであれば良いですが,ほんのり補正のつもりが,ガッツリかかってしまっていると結構取り返しがつかなくなります。

腹とコンプは八分目という言葉があるくらいなのでメーターを見て「ああ,かかってるんだなぁ」くらいで良いと思います。

端子はInput,Outputに加え,Sidechainがあります。ペダルタイプのコンプにSidechainがあるのはレアでは無いでしょうか。

簡単にSidechainに関して説明しておきましょう。通常コンプレッサーやゲートなどのダイナミクスエフェクタは入力信号を[処理される信号]と[処理のための信号を検知するための信号]に分岐され後者がDetectorと呼ばれる検出回路に送られます。このDetectorで信号がTheresholdを越えると回路が作動するようになっています。
Sidechainとはこの[処理のための信号を検知するための信号]に手を加える機能,または端子のことです。

例えばですが,ベースを処理しているコンプレッサーにSidechain信号としてバスドラムの信号を入力するとバスドラムが鳴る度にBassがコンプレッションされます。また,ディエッサーと呼ばれる歯擦音を低減させるエフェクターはこのSidechainの機能を使用しEQとCompressorで作ることが可能です。

Sound Impression of Compressor

さぁ,実際の音の話に参りましょう。

弊社のお客さん(ベーシスト)に「なにか良いコンプはないだろうか」とご相談頂き僕なりに考えた結果,Empress Effects Compressorを紹介したのですが,試奏,試聴のタイミングで音がでない,などは許されないのでまず新品のチェックです。

とりあえず繋いでざっくり音を出してみましたが,非常にクリーンかつ上品な印象です。

1176にインスパアされたとのことで,Thresholdは無く,[input]ノブを回してGRを見ていきます。Thresholdの設定は-本体のメーターの10dBあたりに設定されているようです。[output]ノブを設定しバイパスとの音量差をなくしチェックです。

GR=1 ... 3dBくらいに設定したのですが,非常に上品なサウンドが得れられます。ちょっとここいらないなー,という低音の辺りがクッと締まり,ベースらしいミッドレンジが相対的にヌケよく聞こえます。

[Input]を上げ,メーターギリギリまで持ち上げ,コンプ感全開の音にしてみました。attackを遅めにしアタック感を稼げば,それはそれはアグレッシブなコンプサウンドです。

かなり好印象なCompressorです。後日ご来店いただき,一緒に試して行きましたが,一般に多いの「叩きに/潰しに行きます!」というペダルコンプと異なり「整えます!」という側面を持つ本機にお客さんも非常に好印象です。

しばらく指弾き,Slap,Pickなど色々試してご自身のPlay Styleとのマッチングをご確認頂きましたが,どれもしっくり来たご様子,ご自身の他のペダルコンプとも比較なさっていましたが,Compressorが一番しっくり来たようです。僕のオススメセッティング等もお伝えし試聴/試奏は完了です。

Afterwords

僕もコンプは大好きですが叩きすぎると演奏のダイナミクスをスポイルしますので注意が必要です。むしろ音作りのツールとして積極的に使っていけるペダルだと感じます。

現在のペダルコンプに不満がある方,是非試してみてください。

Empress Effects,Compressor 画像

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checker:Takumi Otani

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