Electro-Voice
TX1152

今回のレビューはElectro-VoiceのTX1152です。正確にはElectro-VoiceのDC-ONE,Q1212,TX2181,TX1152のレビューです。それぞれがどうこうではなく、いわゆるSpeaker Systemとシステムレビューです。

弊社でOpeを担当したLiveでデモ機としてお借りすることができました。EVI Audio JAPANの神田さんありがとうございます。

Product Overview of DC-ONE,Q1212,TX2181,TX1152

さて、システムを簡単に紹介しておきましょう。
TX2181とTX1152,Ground StackFoHは通常2/1対向と呼ばれるセット、すなわちTX2181 x2, TX1152 x4です。それをドライブするパワーアンプはやはりElectro-Voice Q1212 x2, Channel Divider(というよりはSpeaker Processor)はもちろんElectro-VoiceのDC-ONEです。
許容入力2000W+2000Wのシステムです(ホールのキャパが300人ほどでしたので、そこまでの音量はだしていません)。

お約束のspecですが、

TX1152
2ウェイ フルレンジシステム
周波数特性:55-20kHz(-3dB)
出力音圧レベル:100dB (1m/1W)
最大音圧レベル:133dB
許容入力:500W(連続) 2000W(ピーク)
指向性:水平 60°×垂直 40°
TX2181
サブウーファー
周波数特性:50-160Hz(-3dB)
出力音圧レベル:103dB (1m/1W)
最大音圧レベル:138dB
許容入力:1000W(連続) 4000W(ピーク)
Q1212
定格出力(20Hz-20kHz; THD=0.1%) 1100W(@4ohms), 550W(8ohms)
DC-ONEとQ1212,CP4000S

DC-ONEの中にプリセットが入っているのでアンプの名称とスピーカーの名称を入力してどう鳴らすかを選べば自動的にクロスオーバー周波数等が設定されます。手動で変更も可能です。非常にラクチンです。

店頭にもTX1152はあるので音は聞いたこと有りましが、やはりレスポンスなどはCDではわかりません。やはりSRスピーカーですからそれ内の会場でそれなりの音量で、可能であればMixで使用するのが一番なのです。ですから今回のデモは非常に楽しみでした。

設置が完了し、CDをうっすら流しながらSubとH/MのバランスをEVIさんと相談していたのですが、プロセッシングはDC-ONEの処理に任せてみて、いわゆるE/Vの推奨バランスをだしてみようかということに落ち着きました。

Sound Impression of DC-ONE, Q1212, TX2181, TX1152

さてさて、実際の音はどうでしょうか?

前述のセッティング完了後、いつものReference CDを流してみます。間口を広めに確保したにもかかわらず、まずセンターはきっちり見えます。音量の変化によるバランスの変化も少なく好印象ですね。早速EQでチューニングを開始しますが、ここでも非常にレスポンスよく操作できます。周波数に対する反応が素直というか。今回はDC-ONEのEQは使用せずにコンソールに設置したパラメトリックEQでチューニングしていきましたが、2,3ポイントをカットしただけです。
少し低域が強いかな、と言う感じだったのですが、お客さんが入ればこのくらいは解消するとの判断のもと、一旦そのまま進めていきました。

そのままリハになだれ込んでいきます。Gainを確保し、ざくっとしたバランスを作っていきました。非常にダンピングの良い音です。飽和感も全くなく、余裕で高解像度な音像を提示してくれます。

変ににじむことがなくリバーブも綺麗に広がります。

FoHの音も交代でメンバーさんに確認しもらったのですが、良い感じとのこと。リハはモニターの調整に終始しました。

ライブの詳細はエンジニア日記を読んでいただくとして、スピーカーシステムのレビューを続けましょう。

出力に非常に余裕があるので、パワーアンプのClipなども皆無です。おそらくこの半分のシステムでも出力的には大丈夫だと思いますが、指向角の関係でこのセットにしました。会場全体を無理なくカバーできたので正解だったかなと思っています。

パンポットを回した時のレスポンス、チャンネルEQを操作した時のレスポンス、どれも非常にスムーズで「あれ?」ということが皆無です。

今回はBig Bandということも有り、特に要請が無い限り、EQはほとんどしなかったのですが、問題なくMixできます。

正直この価格帯の中(TX1152は1台10万円以下)で、ずば抜けた性能を持っていると言えるでしょう。CD等だとやはり整えられているのでパッと聴いたときには性能の差というのは分かりづらい台ことも有りますが、ライブで使用してみて、ここまでの音がするとは思っていませんでした。
オペレーターがやったことがきっちりわかるスピーカーというのはオペをやっていて緊張感が保てるので良い結果になることが多いですね(シビアなオペレーションが必要とされますから)。

2011/9/10追記

2011年、TX1152が弊社 PAセクションの機材として導入されました。その1発目、前回のデモと同じような感じで、今回は野外で鳴らしてみました。

前回とちょっとだけシステム内容が異なりますので記載しております。

FoH Hi/Mid
E/V TX1152 x4
FoH SW
E/V TX1181 x4
Prosessor
E/V DC-ONE
Power Amp
E/V Q1212 x2

です。

バンドイベント、というわけでは無いのですが、バントによる演奏もあり、ジャグリングショーなどもあり、といったオムニバスなステージです。

前回のLiveは屋内でBigBandということや、出演者の意向もあり、「あまり音量を出す」という感じではありませんでした。前回、実際リハの終盤にアンプを見に行きましたが、Input Meterはほとんど振れていない状況です。

今回は違います。屋外のイベントで500-700人にそれなりの音量を提供しないということですからコンソールもそれなりにメーターを降らせます。

前回のLiveが「TXの解像度ってどうなの?」というチェックだとすれば、今回は「TXの音量ってどうなの?」という感じでしょうでしょうか。スペックから問題は無いはず、と言う所はもちろんありましたが、とはいえ、それだけが全てでは無いのが音響機材です(正確には細かいところ詰めていけばスペックは嘘をつかないのですが)。

結論からいうと音量に不足は全くなく、充分な音量を会場に提供できました。前回のLiveで感じたダンピングやレスポンスの良さは健在です。

イベントの内容にもよると思いますが、300-500人キャパのホールなどに持ち込むのに最適なシステムではないでしょうか

Afterwords

最近多い、プロセッサー+ パワーアンプ+スピーカーといういわゆるSpeaker Systemのデモができたのは非常に良かったです。
DC-ONEも「単純に信号をディバイドしているだけ」では有りませんし、自社製品だから癖が分かりきっているというメリットもあると思います。

システムとして安心できる良さが有りますね。今回のセットだと決して安くは有りませんが、価格以上の音がする(←すごいことだと思います。)といえるスピーカーシステムで、なにより非常に汎用が効くセットだと言えると思います。

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