Ehrlund Microphones
Pickup/Preamps
さて、今回は楽器用のPickupを見ていきましょう。Ehrlund Acoustic Pickupというシリーズの製品で、ピックアップとプリアンプがその製品群となります。ピックアップは1種類でその名もPickup
、プリアンプは2種類でPreamp Portable
とPreamp Phantom
という名称です。
今回はPickup
とPreamp Portable
を借りることが出来ました(オタリテック,K本さん、ありがとうございます!!)。
Product Overview of Pickup
製品の箱に入って届いたデモ機を早速開けてみると、缶の中に格納されています。小さな、けど高級感のある袋入っています。
PickupとPreampのspecと参りましょう。
spec of Pickup
- ピックアップの寸法
- 28×25×5 mm
- ケーブル長
- 150 cm
- ピックアップの重量
- 4 g
- ケーブルを含む重量
- 42 g
- コネクター
- L字型オスφ6.3 mmモノ・ジャック
- 動作温度範囲
- -40...+120℃
Preamp Portable
- 入力インピーダンス
- 4.7 MΩ
- 出力インピーダンス
- >1.2 kΩ
- フルゲイン・インピーダンス
- 100 Ω
- 出力電圧
- 最大2 V RMS
- 周波数特性
- 5 Hz~160 kHz ±1 dB
- 電流消費
- 0.5 mA
- 寸法
- 92×60×37 mm
- 重量
- 150 g
- 電源電圧
- 最小7.2 V / 最適9 V
- 接続
- 入力=モノ6.3 mm(1/4")テレ・ジャック,出力=モノ6.3 mm(1/4")テレ・ジャック
- 電池
- 9V(6LR61/6LF22/MN1604)×1
Preamp Phantom
- 入力インピーダンス
- 4.7 MΩ
- 周波数特性
- 5 Hz~160 kHz ±1 dB
- 電流消費
- 2.5 mA
- 寸法
- 92×60×37 mm
- 重量
- 105 g
- 電源電圧
- +48Vファンタム
- 接続
- 入力=モノ6.3 mm(1/4")テレ・ジャック,出力=メス3ピンXLR
今現在本国のwebsiteにも周波数特性の記載はありませんが、Preamp Portableの周波数特性が5 Hz ... 160 kHz ±1 dBですからそれに相当するくらいなのでしょう。
PreampはPadとして使用できる、High/Lowの切り替え、Phaseの切り替え、Volume(-∞dB ... 0dB)を搭載しています。
Preamp portableの出力インピーダンスは1.2kΩとのことなので接続先はDIかInst Inになるでしょう。
PickupはいわゆるContact pickup
というタイプです。Portable/Phantome Preampの入力インピーダンスは4.7MΩですので、Pickupの出力インピーダンスもそこそこの値だと推測されます。代理店の担当さんの話によるともちろんPickupの出力を直接DI inなどにつないでもらっても使用は出来ますが、Portable/Phantome Preampを併用してもらたほうが良いと思います。
とのこと。このへんも試してみましたのでお楽しみに。
音質云々意外にもPortable/Phantome Preampを併用するメリットはあります。音の確認の際に貼り付け位置を変更しようと少し本体に触っただけでかなりのノイズが発生します。マイクで言うハンドリングノイズに近いものだと思いますが、Portable/Phantome PreampにVolumeが搭載されているおかげでVolumeを絞りきりにすればOperatorに回線のMuteを頼むことなく、位置の微調整などが可能です。ただPortable/Phantome Preampはbody packなので、ストラップなどに取り付けることになると思いますが、何かにあたったりしたときにVolume knobが回ってしまう可能もあるのかなと思います。ここはメーカーにも対策をお願いしたいところですが、ケーブル長が150cmあるので譜面台に設置したりするなど設置場所を考慮すれば良いのかもしれません。
Sound Impression of Pickup
さて、実際の音に参りましょう。
今回は弊社Music Schoolの講師宍倉先生にご協力いただき、Double BassとEle Aco Bassで試してみました。前者は動画にもしましたのでそちらも御覧ください。
Double Bass
宍倉先生がいつも使ってらっしゃるSchertlerのContact pickup,とFishman typeのBridgeに挟み込むタイプとの比較です。
どれもpickupでEhrlundに至っては製品名がPickupと紛らわしいので、以下では
- Fishman type
- Ehrlund Pickup+preamp
- Schertler Contact pickup
と記載することにします。
Double Bassで今回試した場所は
- Body side
- Body top(Upper bout)
- Body top(C bout) 指板した辺り
- F hole 付近
- Bridge
- Bridge 真下
- Body back(Upper bout)
- Body back(Sound post)(魂柱)
です。
Fishman typeは場所の変更が不可能なので耳をリフレッシュする意味でも毎回Fishman typeをreferenceとして聞いていきます。
それぞれの音は動画をご覧いただくのが良いと思いますが、僕と宍倉先生の意見はほぼ一致したのですが、ざっくり箇条書きしますと
- Ehrlund Pickup+preampは明るめな音の傾向がある。
- Schertler Contact pickupは低域にパンチがある。実際Liveでも低域からハウり始める。
- だから、Ehrlund Pickup+preampが太く音を拾う場所にSchertler Contact pickupを使用すると大事になるだろう。
- だが何故かそうはならなかった。
- Body back(Sound post)の場所はぜひ試して欲しい。
僕的に当たりの貼り付け場所は3箇所、F hole 付近、Bridge 真下、Body back(Sound post)(魂柱)の3箇所でした。他の場所が使い物にならない、という感じでは無いのですが、何かと併用する必要を感じる
という印象を受けた、というべきでしょうか。
動画ではすべてのポジションの、
- Fishman type
- Ehrlund Pickup+preamp
- Schertler Contact pickup
- Mic(Nuemann U87Ai)
の視聴が可能です。
デモ機の数量の関係上、完全に同一の演奏、とは参りませんでしたが、演奏が違うから音質に差が出たのだ
というレベルの差では無いくらいの音質差があります。
Electric Acoustic Bass
こちらは宍倉先生にお持ちいただいたご愛用のElectric Acoustic Bass搭載のPickupとの比較です。
3箇所くらい場所を張り替えてみてかなり良い場所を見つけました。宍倉先生もPlaybackを確認して「これは...!!」と興味津々です。
すべてのエレアコベースに対して共通するナイスポジションかどうかわからないのとそもそも設置不可能なモデルもある可能性もあるので場所の詳細は伏せますが、Pickup
はかなりコンパクトなのでいろいろ試していただくのが良い思います。
Bass本体のPickupの信号とEhrlund Pickup+preampの信号を同時収録してのPlaybackです。動画がないので音声は確認いただけませんがDAWのtrockのwaveformを貼っておきます。
上がBass本体のPickupで下がEhrlund Pickup+preampです。本体のPickupはダイナミクスに差がありますが、Ehrlund Pickup+preampはそうではありません。今回の傾向ですと本体のPickupは高域になると音量が落ち込みましたが、Ehrlund Pickup+preampではそんなことはありませんでした。また、Acoustic
という部分が空気感、という状態で再現できていたのも好印象です。
いかがでしょうか。
せっかくなのでPickup
を直接Inst inに入力してみました。厳密な比較では無いのですが、Portable preampを経由した音質のほうが若干整えられて上品な印象で、逆にPickup
のみの音質は若干フレッシュな印象です。
Double bass, EleAco Bass総合して言えるのは、Contact pickupなので貼り付け位置の影響を大きく受ける、ということでしょうか。当たり前といえば当たり前ですが、マイキング以上に違いがあるといっても良いと思います。
逆に言えば自由度が高いといってよいかと思います。
Afterwords
いかがでしょうか。今回はDouble bassでしたが、Ehrlund Pickup+preampは共鳴胴のあるギターやヴァイオリンを対象として開発/設計されています。演奏家の近くで使用する、ということもあり、汗など対策で100%防水となっています。動作温度も-40~+120℃と物騒な数値を叩き出しています。
余談ですが、開発中に沸騰したお湯の中に入れたら、沸騰するお湯の音が収録できたとか(試さないでください。保証対象外です)。
現在お使いのContact Pick upに不満のある方、ぜひ試してみて下さい。
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checker:Takumi Otani
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