Ehrlund Microphones
EHR-H
今回見ていくのはハンドヘルドコンデンサーマイクです。いわゆるVocal用ハンドマイク、という類の製品ですが、SHURE Beta87A, Beta87C, Neumann KMS 104, 105, AKG C5, C7, C636, DPA 4018Vなど多くの製品がリリースされています。
そんな中にわかに注目が集まっているブランド Ehrlund MicrophoneがEHR-Hなる製品をリリースしました(といってもだいぶ前ですが...)。トライアングル・メンブレンをステージでも!
というコンセプトのもと開発された製品です。
早速見ていきましょう。
Product Overview of EHR-H
まずはスペックと参りましょうか。
- TYPE
- Ehrlund特許 "トライアングル・カプセル・メンブレン" コンデンサー・マイクロフォン
- 指向特性
- カーディオイド
- 周波数範囲
- 7 ... 87,000 Hz
- インピーダンス
- あらゆるインピーダンス値にも対応(周波数特性も変わりません)
- セルフノイズ(絶対レベル)
- 9 dBA以下
- 最大入力音圧レベル
- 135 dB
- 動作電圧
- 48 Vファンタム電源,2.0 mA
- コネクター
- 標準3ピンXLR
- 構造
- アルミニウム製本体,高靱性ステンレス鋼製メッシュ.マットブラック・パウダーコーティング仕上げ
- 寸法
- ø53 mm×152 mm
- 重量
- 272g
感度と最大音圧レベル、重量、サイズ以外はEHR-Mとほとんど同じ、と思って良さそうです。重量ですがSHURE SM57とほぼ同じ、グリルの直径もBeta58、SM58とほぼ同じです。全長がSM57より少し短いくらいですので意外とコンパクトなマイクですね。
グリップの部分は手に馴染むようにデザインされています。さすが北欧、という感じです。更にデザインで感心したのは、グリルを包み込むように持ちづらくなっている、とうことです。もちろんやろうと思ったらできなくはないですが。
EHR-Hも単一指向性の圧力勾配マイクですからダイヤフラムの背面側に音を送り込むために穴が空いています。普通に持つとこの穴は塞がれることなくカーディオイドが確保されるようになっています。永遠のスタンダード SHUREのSM58はトランスデュサー側とXLR端子側で分離できますが、ここより下を持たないと単一指向性は崩れます。Beta58Aは分離できないのに同じ位置に線が掘ってあります。やはりこれより上(=グリル側)を持つと設計された指向性が崩れハウリングを誘発しやすくなり、周波数特性にも変化が出ます。周波数特性の変化はまだいいと思いますが、指向性が崩れ(=無指向性に近くなる)ハウリングが起きやすくなるのは避けたいものです。これをスマートに解決しているのはさすがデザインの北欧
という印象です。
Sound Impression of EHR-H
普通に喋ったりして印象レビューしても面白くないので今回はLiveの現場で試してみました。
某Live houseからOpeを依頼され、その時の出演者はCarpentersのCopyとのこと。そこまで広くないステージなのですが、楽器構成もシンプルとのことなのでコンデンサーマイクを使用しても大事(=楽器の音がVocalマイクにかぶって制御不能)にならないだろうと思い現場に持ち込んでみました。
会場は某Live Houseで開催されたLiveで、VocalistはSinonさんです。ご自身所有のマイク、SHURE Beta58A, Neumann KMS105 bkもお持ちいただいたのですが、「折角なら試してみたい!」とのことでEHR-Hでリハーサルに突入です。
今回の編成はPf+Vocalというシンプルな編成で多チャンネルとは別の難しさがあります。事前にOne Twoをしておいたのはもちろんです。その時の印象はEHR-Mのときと同じく、非常に自然な音色のマイク
というものです。フラットに近い位相特性のおかげなのでしょうか。
VocalもPfも強引なEQをしない前提で音量を出していきます。音量感としてはちょうどよいところに落ち着き、数曲歌っていただいてMonitorのリクエストを頂き調整、マイクも気に入っていただけました。
時間があったのでNeumann KMS105 bkも試しましたが、今回は不採用となりました。個人的な印象としてはKMS105bkの方が中低域が持ち上がってパワー感があるい印象です。Supercardioid特性も影響しているのでしょう。周波数特性曲線を見ても近接効果が派手に感じられます。KMS104の方が今回のようなしっとりした女性ボーカル、にはマッチしたのかもしれません。
念の為、補足しておきますがKMS105は優秀なマイクです。あくまでに今回のset listにはハマらなかった、とお考えください。
レスポンスもよく非常に好印象です。
Afterwords
Vocal Handheldマイクとしては高価な部類に入りますが、その価値のあるマイクだと思います。
あえて苦言を呈するとなるとマイクホルダーが少し頼りないということでしょうか。SHUREのA25Dにはキレイに収まらないので対策してほしいです。
date:
checker:Takumi Otani
Ehrlund Microphones,EHR-H
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